愛らしい賭博師殿。

独りっ切りの部屋というのは、こんなにも空虚で寒々しい物だったでしょうか。時間にしてみれば無伴の方が遥かに長い筈だ、…知らぬ間に貴方と過ごした星霜の深さが、小生の総てを留めてしまって居たのですね。……離去ってから気付くとは、何たる不覚。

小生が暫し留守として居た訳合ですが。私的過ぎるが故に、詳細は此処では伏せさせて頂きますよ。やんごとない事情があった…とだけ。然し如何なる理由があったとして、貴方を悲しませてしまった事は紛うかたなき事実。赦してくれとは小生の口からは言えやしません。ただ、…心からの詫言が帝/統へ届く事を唯々祈り、此処へ刻みます。

帝/統……ごめんなさい。

嘘、ではありませんよ。流石に時と場合を心得ますからね…、貴方への申し訳無さと己の不甲斐無さに少々混乱が収まらず、支離滅裂となって居たら申し訳ありません。

…さて、言の葉が貴方の眼に止まるよう鍵を残しておくとします。鍵の処遇を如何するかは貴方に任せますよ、帝/統。

:出逢いは昨年の朱夏。小生の募集に貴方がいらっしゃった。
:聖夜に逢おうと話をして居たが、叶わず。
:春陽を迎えたら桜を見に行きたいと、貴方は笑って居た。
:渡そうと愉しみにして居た揃いの御守は、今暫く小生の掌中に置かせておいて下さいな。
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今一度、上げさせて頂きます。
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