嘘の話、嘘の過去

少しばかり、小生の話を聞いてはくれないか。
文箱にしまった懐かしいやり取りを見ていたら、不覚にも涙がこぼれてしまいまして……付随して思い返す、筆を走らせた時の感情や、香る匂いに高鳴る胸の音。それらを懐古しても、当然ながら、共有する相手はおらず。
ということで、あなた。私のお話を聞いておくんなまし。

もちものはひとつ、僕の話を聞ける気持ちだけ。
約束はふたつ、この話を他言しないことと、適当に相槌をうつこと。
部屋の鍵はこちらで用意するし、きみの姿も問いはしないよ。どうぞ、身一つでおいでませ。

それでは、暫く待ちます。削除までは、あなたの訪れを。
文箱の中身を受け止めてくれる奇特なお人がいらしたので、〆ますね。ありがとうございました。