1 パリハ???

帰宅

今日は付き合ってくれと身内から頼まれたので同行したのだが、目的地に着くまでかなりうろうろした。
方向音痴の祟りだ。俺は地図もあまり読めないし、地元の道さえも覚えていない。

今日は身内についていけばたどり着くものだろうとばかり思っていたのだが、「確かこの辺りなんだけど」と言われてから何度も駐車場から往復している。おかしい。
そうだ、この人もまた方向音痴だったのだ。
あちゃーと頭を抱えそうになったその時、その人がGPS機能の備わった現在地をリアルタイムで示してくれる地図をスマホで開いてきた。ナイス!グッジョブ!
ところがどっこい目的のビルは見つからない。
またもやおかしい。
これは俺の助けがいるようだな。
待たせたな全国の子どもたち!とばかりに方向音痴の俺がその地図を覗いてみた。
おい、左右逆じゃねーか。すぐに分かった。
先ほどのナイスとグッジョブという言葉は俺の為にあったのだ。身内に唖然としながらも、道案内をした。
ここら辺のはずだ。おかしい。どのビルだ。
結局その辺りを何度かうろうろし、やっとのことで目的のビルを見つけたのである。

憎いことに、それには他のビルのような看板がなかった。社名がビルと同系色で打たれているだけだ。
お前は忍者か。何故そんな隠れ身の術を使った。
と声にはしなかったが何はともあれ無事にたどり着けて良かった良かった。


その後で湖に連れていってもらった。
鯉に餌をくれてやったのだ。
体の小さな鯉の口に直接入れてあげたい気分だった。
弱肉強食の世界はそこにもあった。
大きめの鯉に餌を独り占めされるのは勿論のこと、その上を行くのが白鳥だ。
アイツらは、鯉に餌をやっているこっちの目の前で待機し出し、餌を撒けば長い首を器用に使ってバクバクと譲りあいの心がないのだ。
俺は地団駄を踏みたくなった。
んもう!!お前じゃないの!!鯉なの!!
あっちへ行けーーい!
まあ3粒ぐらいはあげてもよかろう。
ほい。
餌を湖ではなく俺が立っている足場の隅に置いた。
ガツガツ。
ヤツは喰った。
1度あげると調子に乗って、こっちのやり方が悪いと威嚇してくるのを俺は知っている。
だから白鳥は嫌いだ。
白鳥の湖なんて美しいもんじゃない。
アイツらは気性が荒い。
怒ると追い掛けてきたりもする。
そもそも食べ方が怖い。
俺は移動した。
鯉よ、ほらほらお食べ。
ススススーーー。
むむむ、またヤツらが来た。
俺はヤツらの首の届かない場所目掛けて餌を投げる。
お気付きだろうか?複数形になっているのを。
2羽になったからだ。決して分身の術ではない。
だがしかし、そんなのに怖じ気づく俺ではないのだ。
移動して撒いて、移動しては撒いての繰り返し。
途中で餌やりをしたがっていた男の子がいたので分けてあげた。案の定ほとんど白鳥に喰われていた。
その子の親にも餌を分けてあげた。
親子で楽しんでくれたまえ。
その後親子を観察はしていなかったので、果たして鯉に餌をやることが出来たのかは俺は知らない。

そして、俺が会えるのを楽しみにしていたアヒルたちがいなかった。何処へいったんだ。係員に聞いてみると、居るのは居るが、居場所はわからないらしい。
残念。アヒルボートは浮かんでいるのに肝心のアヒルがいないなんて。
来年は会えるといいな。
白鳥め、覚えていやがれい!
そっちの出方によっては許してやってもいいけどな!
(SOV36/dion ID:ph8e.v)