１０行小説群

１
　まどかちゃんはケーキが大好きだからケーキ屋に就職したけど、つまみ食いばかりしてたら解雇された。悲しいけど、世の中は厳しいのさ。まどかちゃんはケーキを食べまくった。やけ食いだ。「太るよ」「いいもんっ太っても！」怒ったまどかちゃんも可愛いぜ。


２
　雨が降っていた。喫茶店でコーヒーとタバコと本。幸せである。しかし、財布を忘れた。マスターが怒って、俺の腹を殴りやがる。「コノヤローッ」俺はマスターを持ち上げた。「ひいいい怖いいい」床に叩きつけた。「痛いいい骨があああ」雨は激しさを増した。

３
「おい。キャッチボールしようぜ」「やだよ。苦手だもん」田中は悲しい。悲しいが、前向きに生きないとね。それが人生だからな。「キャッチボールだめならあれをやろうぜ」「あれか。いいな。やろうぜ」田中と中田はあれをやり始めた。さっぱりわかんないよ。

４
　野良犬みっくんはドラム缶の風呂に入っていた。「星がきれいだなあ。まどかちゃんと入りたいなあ」まどかちゃん人間だからね。身分が違い過ぎてムリなのさ。でもみっくんはまどかちゃんが大好き。日本には思想の自由があるから好きになるのは勝手なんだよ。

５
　ヘリコプターをローンで買った。アルバイトだから支払いが大変だぜ。でもさ、空を飛んでると、いろんな嫌なことを忘れることができる。買ってよかった。でもね、ヘリコプターにも弱点がある。例えばスーパーの駐車場に停めたりできん。そこは、不便だなあ。

６
　みっくんはカウンセリングを受けた。「まどかちゃんが好き過ぎて眠れません」「人間と野良犬だからＮＧですよ」「わかってますよ」みっくんはカウンセラーが当たり前のことを言うからイライラしちゃう。「でも恋はいいですね。みっくんがんばって」「はい」

なんじゃこりゃー？　どういう意味やねん。

どれも面白いけど俺は3・5・6が好きかな。

3は、あれとか具体的に書かれていないところも良いけど、おい田中よ、あれならやるのかよ！って感じだぜ。
5はもうツッコミどろこ満載だよね。
6とかみっくんイライラしたのに最後「はい」だけだもんね。オモロイね。

ツッコミどろこってなんだよ。

ありがとー


嬉しいぜ…


それでいいのさ
たかが言葉さ


でも好きさ