トリプルは宇野浩二が大好き

　トリプルはラーメン屋にいるという設定。
「まずい！」
「なにい生意気だな」
　店長はトリプルを持ち上げた。
「ひいいい怖いいいい」
　床に叩きつけた。
「痛いいい骨があああ」
　トリプルは大人しくラーメンを食べる。微妙に涙が出る演技も忘れてはならん。
　あとで俳優と打ち合わせをする。
　トリプルが、はー食った食ったまずかったとお腹を触っていたら、店長がギョーザを出した。
「え。オレ頼んでないけど」
「あちらのお客さんからだよ」
　女の子がウインクしてる。
　ひゃーっ！　めっちゃかわいい！
　トリプルは腹いっぱいだったが我慢して食べた。
　このシーンはすごく大事だったから、何回も撮り直した。
　ついには則之がダウンしたので、今日はここまでとして、翌日、また撮影。

「テイク18！」
　女の子がトリプルに言った。
「ねえ。あたしヒマなの。今からホテルに行かない？」
「行きたいけど妻に殺されるから、やめときます」
「生意気ね」
　女の子はトリプルを持ち上げた。
「ひいいいまたあああ」
　床に叩きつけた。
「痛いいいもうやだあああ」
　仕方なく、トリプルはビクビクしながら、女の子と腕を組んで、店の外に出た。
　警官がトリプルを呼び止める。
「おい何女子高生とデートしとんねん」
「え？　女子高生？」
　よく見たら、女の子はセーラー服を来てる。
　小説！
　小説らしいミスだ。マンガではありえん。

　警官がトリプルを連れていこうとするんで、女の子はカチンときて、カバンからハンマーを出して、そいつで警官の頭を思いきり叩いた。
「痛いよう痛いよう」
　警官がわんわん泣く。国家権力のくせに情けないやっちゃ。犬のお巡りさんか。
　かわいそうだから、キャンディあげる。
「ひっくひっくありがとー」
「男だろ泣くんじゃないぜ」
　夕暮れ。カラスが、Ｇ→Ｅｍ→Ｃ→Ｄと鳴いている。女の子がトリプルの腕をつねる。
「痛っ！」
「はやくホテル行こうよう」
　当たり前だが、妻が登場。買い物袋を投げて、駆け寄る。
「なによ。このガキ」
「うるさいなあ、オバン」
　二人、にらみあう。火花が散る。妻の背後に虎。女の子の背後に龍。マンガかよ！
「二人とも、《資本主義的なの》（注）はやめてね」


おしまい


注……アホな真似

題名ぜんっぜん関係ねーーーーーーっ！(笑)

これどういうドラマだよー！
俺痛い目に合いまくりじゃんー！
それでさ、思ったんだけど、"このシーンはすごく大事だったから、何回も撮り直した"ってさ、腹一杯なのに何回も餃子食わないといけないってことかーいっ！！
愉快なドラマだぜ。

ツッコミうまいじゃん