1 パイン

鍵山

 鍵山はカネがほしかった。図書館で5000円の哲学書を借りた。うっかりコーヒーをこぼして弁償。初めは逃げようとしたが、拳銃で射殺されるかもわからんと思って、仕方なく支払った。鍵山は中年フリーターだ。5000円は痛い。まどかに借りようかと思ったが、まどかはまだ高校生だ。そんなにカネを持ってない。はやくプロ作家にならんなーと思いつつ、今は今日の食事だ。食い逃げでもするかと思ったが、拳銃で射殺されるかもわからん。
 鍵山は悩む。
「あっ。いいことを考えた」
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2 パイン
 鍵山は寿司を握って売ることにした。回る寿司はあまり儲からんが、回らん寿司は儲かる。
 寿司屋に行った。
「よし。握るぞ。がんばって稼ぐぜ」
「なんだお前は」
「オレは鍵山。中年フリーターだ」
「出ていけ」
 鍵山は包丁で寿司屋のオッサンを刺した。
「痛いいいいいいい」
 オッサンはわんわん泣く。よほど痛かったのであろう。鍵山はお詫びに寿司を握ってオッサンに渡した。
「食ってみろ。むちゃくちゃうまいぞ」
「まずい」
 鍵山は包丁でまたオッサンを刺した。何回も何回も刺した。さすがに死んだ。
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3 パイン
 鍵山はおろおろした。まずい。犯罪者になってしまった。このままだと逮捕されてしまう。逃げるか。
 しかしながら腹へって動けん。寿司でも食うか。
「おい親父。起きろ。親父」
 死体を揺する。
「むにゃむにゃ。よしこちゃあん」
 生きてた。
「寝ぼけるな。今から寿司を握ってくれ。腹がへってるんだ」
(WX12K/w ID:EGaPkU)