1 パイン

休日出勤

 利根川まさるは中年フリーターだ。プロ作家を目指している。正直、中年フリーターはキツい。むちゃくちゃ低賃金だ。早く小説で稼がねばならん。
 たまにイライラして、包丁で人を刺す。
「痛いいいいいい」
「ごめんなさい」
 警官に連れて行かれた。三時間も説教されて、へとへとである。
「うーん腹へった」
 まさるは寿司屋に行って、食い逃げした。大将が追いかけてくる。大将は拳銃で撃った。まさるに命中。
「痛いいいいいい」
 まさるは大将に捕獲された。三時間も説教された。ウンザリだ。何もかも低賃金が悪いんだ。
 社長の家の前にウンコをした。
「ザマーミロ」
 気分爽快である。
 まさるは、気分よくなったが、すぐに悪くなった。コンビニ店員の接客が悪かったのである。
「なんだお前。その態度は」
「やかましい」
 店員が逆らうから、いらっときて、まさるは日本刀でばさりと斬った。
「痛いいいいいい」
「ごめんなさい」
 店長がやって来た。叱り始めたから、まさるはまたイライラして、店長の頭をハンマーで叩いた。
「痛いいいいいい」
「ごめんなさい」
 コンビニを出た。家で小説を書いた。
 小説を書いた。恋愛小説を。
(WX12K/w ID:EGaPkU)