1 パイン

レディ・マドンナ

 光利の妹、光枝は恋をしていた。恋する乙女イコール光枝。国防省はそう発表したふりをしてみた!
 まるで、恋のマヨネーズ祭りだ。なんか悲しい。マヨネーズて。ケチャップじゃダメなの。ちなみに、誰に恋したかは内緒である。秘密だ。まさか、国家機密かなー?
 いや、何かムカついてきた。内緒だなんてそりゃないよ。悲しいよ。
 ゆえに、光枝にインタビューしてみた。
「恋をしたって本当ですか」
「うそよ」
 ズコーッ。
 不気味なブルースが流れている。こんな陰鬱なことってありうる?
 情けないよ。
 もういい。知らん。めんどくさい。こんな光枝だが、仕事は頑張った。スーパーでアシスタントをしていた。
 光枝の上司に話を聞いてみよう。
「アシスタントは頑張ってますか」
「ええとね。わしは今日、あることがあってアシスタントをいじめてしまったんだよ」
「なるほど」
「しかし具体案も提示したぜ。
今日、店舗で広告の品がゼロだった。アシスタントは真っ青だった。蒼白とはこのことか。青ざめた顔してた。
というのは、本部の発注ミスというのもあるが、アシスタントには、毎週、本部投入商品の発注を調整する仕事を任せてる。調整表を確認したら、確かにうちの店舗だけゼロで、これに気づかなかったのはアシスタントのうっかりミスだと言える。
しかしながらである。アシスタントは怒ってください頼みますと泣いていたが、わしは怒らん。アシスタントに任せたのはわしだから、わしに責任がある。もし責任回避したいのであれば自分でやれよ他人に任すなよという話だ。
ひとまず他店舗に電話するもどの店も在庫薄で確保できんかったゆえ、代価品を安売りすることで対処。配送トラブルによって、みたいな注意書きをパソコンで打ち出した。
まーお客様からのクレームは今のところない。というのは広告品よりいい商品を安売りしたわけだから、あるわけがない。お客様はラッキーだ。ただ店舗としては原価の関係から損益であった。が、本部のバイヤーも仕方ないですねーと言っていた。
アシスタントには、次回からはこれこれこうしたらよいよとだけゆっておいた。怒る時は怒るが、怒らん時は怒らん。アシスタントにはまだまだしてほしいことが山ほどある。てか、今のアシスタントは比較的やる気がある!
歴代のアシスタントはほんとやる気なかった。今のアシスタントには期待しとる。
萎縮されたら困るのはわしだ」
 なるほど。なんかわかってきた。光枝はこの人に恋してるのかなー? わかんないけどさ。
 Am7。
(WX12K/w ID:EGaPkU)