1 南◆QyhO

ミナミ家 第六巻

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愛を 探す振りをして
恋に 躓いてたんだ


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2 南◆QyhO
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だから、普通の子供ならばこのような可及的速やかな対処が求められる緊急事態に直面すると、アッという間に心が折れてしまい、漕ぐことを止め鼻水を垂らしながら泣き出してしまう。だが、人一倍負けん気の強い井上は自転車を降りることなく猛然と漕ぎ続けた。俺は井上だ、世界にたった一人の井上、つまりは唯一無二であり完全無欠の井上だ………と、言わんばかりに立ち向かったのである。角刈りの頭を掻きむしり、自らを奮い立たせ、この未知からの拷問に打ち勝った暁には、女の子と手を繋いだりロマンチックにキスをしたり、さらにはもっともっと淫らな、覚えたての性に乱れ狂う中学生レベルのいかがわしいことだって出来るのだと、苦し紛れにデタラメな設定をでっち上げ、狂信的にペダルを踏みつけて突き進んだのである。


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3 南◆QyhO
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4 南◆QyhO
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不思議と恐怖心はなかった。これは決して勝ち気な人間に良くありがちな強がりなどではなく、井上のストロングポイントである爆発的な闘争本能と妄想力がそれを打ち消していたと思われる。井上は良く理解していた。性的なインセンティブこそ男のやる気を危険極まりなく剥き出しにする最も有効な手段であると……誰に教わるでもなく理解していた。だからこそそれを逆手にとり、闘争本能を起爆剤に、自ら妄想という名の淫らな夢花火を爆発させることにより、なんとか正気を保っていたのである。

井上は精神病患者を薬漬けにして儲ける精神科医のように中途半端なことはしない。男の性(さが)を最大限に生かし、困難な状況を打破しようとする。その的確な戦術理論は誰もが興奮を隠しきれない、敵味方なくオールスタンディングで称賛の拍手を送らざるをえないファインプレーと言っても過言ではないだろう。


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5 南◆QyhO
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それでも鳴り止まぬ反響音のなか、是が非でも正気を保とうと自らの両頬をパチッパチッと叩いていた井上は、ふと遠く先の茶畑に揺れる白い影を見付けた。2qほど先だろうか………。

井上は視力が良い。日本人離れしている。目だけとってみたらそれは非国民の域に達している。だから視力を下げるため祖父の伊達眼鏡を借りて掛けてみたり、工夫してみたのだが効果はなく、去年行われた健康診断ではあまりにも見えすぎるため測定不能という結果だった。そしてその結果に驚愕した養護教諭は、青ざめた顔で冷や汗を垂らしながら震え上がった。井上の驚異的な視力を目の当たりにして、「並外れた視力の持ち主は稀に透視能力を持つ」という、子供でさえ馬鹿にするようなくだらない風説が頭をよぎったからである。もちろん、あくまでも風説であり、そんな事例は存在しない。しかしながら、本来は児童の養護を司るべき立場の養護教諭が、そのような非科学的な風説を盲信し、震え上がったのには正当な理由がある。


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6 南◆QyhO
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その養護教諭は、清楚でキレイだと町で評判のうら若き美女だった。凛とした空気を纏うも仄かに香るあどけなさ。陽の光さえあれば化粧など要らないといわんばかりの透明感。例えば、化粧した女性の美しさが化学合成によるものならば、養護教諭の美しさは光合成である。まさに天賦の才色であると言うより他に説明のしようがない。控え目だが明るい性格は嫌味がなく、男女問わず絶大な支持を獲得する言わば町の美の象徴的存在であり、そして町長の愛人でもあった。


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7 南◆QyhO
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町長は普段から意欲的に家族や町民を制圧していたが、愛人である養護教諭にだけは逆らえず子供みたいに甘えてばかりいた。これは、銀座などのクラブで「先生」などと呼ばれてもてはやされる、割と社会的地位の高い男に屡々見られる傾向だ。権力に強い憧れを抱いていた町長は、家族や町民に対して「私のことは先生と呼べ」と強要していたのだが、いかんせんその器ではなかったらしく、むしろ「先生」という肩書きに自縛的な重圧すら感じ始めてどうにも息をつく暇がない。それでも大言壮語を吐き続ける。するとその反動により、唯一気の許せる養護教諭の前では一気に脱力して幼児化が進み、腑抜けにも程がある全力で無能な糞ジジイに成り下がってしまう。また、町長の母親も養護教諭であったという幼少期の記憶も少なからず影響しているのかもしれない。酷いときはお漏らしをした小便の処理を養護教諭に頼むのだが、それは嫌だと毎回パチッと平手打ちを喰らって断られては、玩具をねだる子供のように手足をジタバタさせて泣き喚いた。


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8 南◆QyhO
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一方、養護教諭もまたそんな関係をあえて好意的に、自己暗示をかけるように受け入れていた。

町長の魅力といえば、男女問わず絶大な嫌悪感を禁じ得ないあのミステリアスな加齢臭。思わずマジックリンを死ぬほど吹きかけてやりたくなる強烈な口臭とともに、ところ構わず下ネタ混じりの不用意なオヤジギャグを乱発する無神経な立ち振舞い。仮にこの男が病院の無菌室のようなナーバスなところへ立ち入ろうものなら即刻逮捕は免れない。マスクや無塵服に加えて空気清浄器を脇に抱え、涙目で懇願してもやはり逮捕は免れない。或いは、激怒した婦長クラスのベテランナースが狂気のハイキックを無防備な後頭部に一発お見舞いすると、それを見て触発された血気盛んな若いナースたちも次々と牙を剥いて襲い掛かり、延髄蹴りやバックドロップ、踵落としやジャンピングニー、持っていた尿瓶でこっぴどく殴り付けるなど、あまりにも危険な攻撃を手際よく立て続けに何発も浴びる事態に発展し、町長はそのまま帰らぬ人となってしまう可能性もある。


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9 南◆QyhO
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「そうよ、町長程度の男を懐柔するのは造作もないこと。あとは割りの良い老人介護だと思って、たまに叱ったり頭を撫でてやったり、年に数回程度は性的なサービスをしてやれば良い。たったそれだけであの腑抜けは喜んで私に跪く。男って不思議。美しい女をいやらしい目で見るとき、どうしてあんなにポジティブなの?親切なの?卑屈なの?考えられない。どうして心なんて無形のモノを信じて頼ったり願ったり、笑ったり泣いたり、そして手に入れようとしたりするの?愛だとか恋だとかいうラベルを貼って、下心丸出しで金品に換えてプレゼント出来るの?ほんとうに笑える。無形のモノを金品に換えることが許されるのなら、美しさをお金に換えることも許される。私はそう思う。お金がなくっちゃ、なんにも始まらない。権力がなくっちゃ、なんにも出来ない。笑えないよ。アハハ。だってそうじゃない。戦争で一番大切なのってなに?お金よ。お金がなくっちゃ、どんなに強い兵隊さんだって餓死しちゃう。あの人はお国のために戦死したといくら花を持たせても、真実は餓死。乞食になってしまったら、それはもう本当に大変なことなのよ………」


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10 南◆QyhO
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そんな、臭くて腑抜けた気色悪い甘えん坊の糞ジジイを、年頃の若い女が受け入れると言えば大概はその権力や財力が目的である。そう、清楚でキレイな養護教諭は、その安っぽい肩書きの裏面に極めて強欲な悪賢さを併せ持っていたのである。

「そうよ、町長程度の男を懐柔するのは造作もないこと。あとは割りの良い老人介護だと思って、たまに叱ったり頭を撫でてやったり、年に数回程度は性的なサービスをしてやれば良い。たったそれだけであの馬鹿は喜んで私に跪く。男って不思議。美しい女をいやらしい目で見るとき、どうしてあんなにポジティブなの?親切なの?卑屈なの?考えられない。どうして心なんて無形のモノを信じて頼ったり願ったり、笑ったり泣いたり、そして手に入れようとしたりするの?愛だとか恋だとかいうラベルを貼って、下心丸出しで金品に換えてプレゼント出来るの?ほんとうに笑える。無形のモノを金品に換えることが許されるのなら、美しさをお金に換えることも許される。私はそう思う。お金がなくっちゃ、なんにも始まらない。権力がなくっちゃ、なんにも出来ない。笑えないよ。アハハ。だってそうじゃない。戦争で一番大切なのってなに?お金よ。お金がなくっちゃ、どんなに強い兵隊さんだって餓死しちゃう。あの人はお国のために戦死したといくら花を持たせても、真実は餓死。乞食になってしまったら、それはもう本当に大変なことなのよ………」


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11 南◆QyhO
間違えちゃったw
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12 南◆QyhO
ついでに間違い探しを入れておきました。
(ID:7xcaPt)
13 南◆QyhO
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町長主催のホームパーティで、老いぼれの植木職人が一心不乱にヴァイオリンを弾いているその姿を見つめながら、養護教諭はそんなふうに思っていた。錆び付いた自転車のブレーキ音のような演奏を隣で聴いていた喫茶店のマスターに、「素晴らしい演奏ですね」と、声を掛けられたのだが聞こえない振りをして無視した。

「とても素敵な演奏でしたわ、植木屋さん。美しいヴァイオリンですね……触っても……いいですか……?」

渾身の演奏を終えてぐったりとした植木職人が頷くと養護教諭は嬉しそうに微笑んだ。白い手袋をして、ヴァイオリンを手に取り、うやうやしく目を凝らしてヴァイオリンの隅々に熱い視線を送る。

「ストラディヴァリオスだわ!!」

養護教諭は叫び声を上げて歓喜した。このヴァイオリンはとても高価なモノで、選ばれた人しか演奏出来ない、手に取ることさえ憚られる至高の名器なのだと、集まってきた町民に興奮した様子で説明する。その爆発的な熱意に、ならば是非ともアンコールをと町民たちが植木職人に再演奏を促す。しかし、ぐったりとした植木職人にそれは無理だと判断した町民たちは、養護教諭に出演のオファーを持ち掛ける。水分補給のためビールをがぶ飲みした酩酊状態の植木職人がそれを了承すると、養護教諭はそれらしく背筋を伸ばして顎を上げ、いかにも神秘的にヴァイオリンを構えると、一寸の迷いなく弾き始めた。


(ID:7xcaPt)
14 南◆QyhO
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その演奏は、まるで錆び付いた屑鉄を大きな石の挽臼でゆっくりと押し潰しながら悲鳴を上げるそれを挽き潰す様を連想させるような、とても気合いの入った独特の音色だった。誰もがうっとりとした表情で酔いしれた。町長は涙を浮かべている。あまりにも美しすぎるのだ。神秘的なのだ。そのヴァイオリンにとても小さく細細とした字で“ストラディヴァリオス”と落書きがしてあったこと。養護教諭がそれを見つけて歓喜したこと。本当の呼び名は“ストラディヴァリウス”であること。だからほとんど無価値だということ。名器でもなんでもないということ。定価9450円だということ。それに誰一人として気付かないということ。微塵も感じさせないということ。一寸の迷いもなかったということ。そして、それは全て養護教諭の美しさと、気合いの入った神秘的な演奏が引き起こした奇跡であったということ………。

もはや養護教諭の美しさは町長を…いや、この町全体を完全に支配していたと言っても過言ではない。

他に例を挙げるならば、「茶畑を斜めに横断する道があったら通勤が楽なのに……」と、養護教諭が物憂げに呟くと、町長は無理矢理にでもそれを強行してしまうといった案配だ。


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15 南◆QyhO
なんか仕様がアレですねたぶん。ありがとうございます。悪ふざけはもう少し続くけれど、GW前とかには終わりますから大目に見てください。
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16 南◆QyhO
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そんな養護教諭の日課は、振動式の淫具、いわゆるバイブレータを股間に忍ばせて町を練り歩くことだった。赤ちゃん連れの主婦を見掛けると、「すごく可愛い。良かったら抱かせてください」などと、赤らんだ顔でバイブレータを振動させながらも、ほほえましく声を掛けるというコミュニケーション能力の高さを見せつける場面もあった。

それは誰も知らない、親にさえ告知していない、養護教諭のプライベートな趣味だった。町長が何の気なしに「趣味は何ですか」と聞いたとき、「隠し事は嫌いなのでハッキリと言っておきます。プライベートを詮索する人は嫌いです」と、糠漬けにした豆腐に釘をさすような強弁に出たのは、股間のプライバシー保護のため、そして、それを弱味として握られ町長とのパワーバランスが崩れることを未然に防ぐためであり、全体を通して実に狡猾で抜け目がない。そんな感じの女だった。


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17 南◆QyhO
>>>109045-93

健康診断の日はどしゃ降りの雨だったが、校庭では町長の銅像を建てるための工事が行われていた。ずぶ濡れの工事業者たちが送る阿鼻叫喚のいやらしい視線をよそに、養護教諭は珍しくリスクを侵してまで大胆不敵な淫楽に耽っていた。平然とした顔で生徒の健康診断をしながら、遠隔操作式のバイブレータを自らの股間に忍ばせていたのである。窓を叩く雨の音と工事の振動音で、股間に忍ばせたバイブレータの振動音をハーモニックに相殺するという、実に機転の利いた巧妙な手口で、教職者にあるまじき背徳行為に及んでいたのである。


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18 南◆QyhO
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「……左です……左です……左です……左です……左です……左です………」

「あら……良く見えるのね……井上くんは………」

視力検査の途中、井上の計り知れない視力に驚愕した養護教諭は直ぐさま井上を別室に連れ出した。根も葉もない風説ではあるが、もしもこの角刈りの小僧が透視能力を持っていたら……このバイブレータが見透かされていたら……そんなことを他言されてしまったら……。権力を失うどころの騒ぎではない……。週刊誌に追い回され、「女教師の股間に町が震撼!性と権力に歪む地方都市の実態!」などという中年男性の股間を食い物にしたような見出しが電車の中吊りに揺れ、この先、普通に生きていくことさえ困難を強いられるかもしれない………。そんなネガティブな思いが頭をよぎる。そして、意を決した養護教諭は優しく微笑んだ。それに釣られて井上も微笑んだ。

「井上くん、このアイマスクをしてください」


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19 南◆QyhO
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この突発的な申し出に、井上は冷静に対応した。子供らしく両手で素直にアイマスクを受け取ると、ゴムバンドを角刈りの頭に滑らせて、すんなりと手際よく装着した。常識的に考えて、理由もわからぬままアイマスク装着のオファーを承諾するなんてことは、大変危険な賭けである。もちろん井上はそのことを重々承知していた。だが、此処は別室である。言わば非公式の場だ。身体検査の舞台裏だ。アイマスクの暗闇に、なにか重要なことが潜んでいるかもしれない。そんなふうに思う。授業ではなく、身体検査という非日常的な空間……雨天にも関わらず強行で工事が行われ……普段とは違う学校の雰囲気になんとなく浮き足立つ生徒たち……運動しか能がない奴などちょっとしたお祭り騒ぎだ……これはもしかしたら、学校側のスピン・コントロール……誘導ではないのか……?例えばこんな日は給食のおかずが一品少なくても、冷静さを欠いた生徒たちからの苦情は最小限に抑えることが出来るはずだ……そして、給食費を滞納しているモンスターペアレントたちにそのことは伝わらず、揚げ足を取られることもなく請求が出来る………。ならばこのアイマスク装着をきっかけに、そんな疑念とも言うべき違和感を追及出来る何かを炙り出せるかもしれない……。わざわざ危険を侵してまでアイマスク装着を承諾したのはそんな理由で、井上が好奇心旺盛な角刈りだったからだろう。

「私が、見える?」

「いえ、なんにも見えません」

「目、開いてる?」

「アッ……いま、開きました……けど、見えません」

養護教諭はホッと胸を撫で下ろし、切っていたバイブレータのスイッチを再び入れると、恍惚感に満ちた表情を浮かべ、アイマスクをする井上の目の前で勝ち誇ったように力強く、そっと中指を立てた――。


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20 南◆QyhO
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茶畑に揺れる白い影は床屋の店主だった。井上の目なら2q先でもにこやかな歯茎がハッキリと見える。揺れる白衣がこちらに手を振っている。きっと一時的に店を閉め、車で先回りをして井上の無事を確認しに来たのだろう。その田舎ならではの愛育的な光景を、井上は率直にくだらないと思った。横を通り過ぎる際、取って付けたようなアイコンタクトで、紙コップに注いだホームメイドの生温い麦茶を手渡そうとしてきたが、井上はそれを叩き落としてさらにスピードを上げた。

苛立ちは頂点に達した。未だ正体不明の反響音に悩まされていたうえに、ここへきて前輪までもがパンクしたのだ。ガタガタガタとたちまちのうちに自転車はコントロールを失う。何よりも風がやんでしまうことを恐れた井上は遮二無二になって叫んだ。

「ちくしょう!!図に乗るなよ!!!」

しばらくは壮絶に蛇行していた井上だったが、健闘むなしく、慎ましやかに自転車は止まってしまった。反響音もまた空に吸い込まれるようにして一斉にやんだ。その刹那、井上は一瞬の静寂を聴いた。

すると次の瞬間、凄まじく騒々しい、まるで、たったいま母親の股間から取り出されたばかりの泣き叫ぶ新生児と、いよいよ死刑台に上がり泣き喚く死刑囚が奏でる、最初で最後の馬鹿騒ぎのような痴話喧嘩のような、想像を絶する賑やかな雑音が井上の鼓膜に襲い掛かった。

そして井上は激しい目眩に襲われ、いかにもドラマチックに卒倒するとそのまま意識を失ってしまった――。


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21 南◆QyhO
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「うう………」

気が付くと井上は床屋の向かいの喫茶店にいた。思わず目を伏せてしまいたくなるほど埃まみれで不衛生なティーキャンドルの火が、ボロボロに剥げ落ちた革製のソファーにぐったりとだらしなく横たわる井上を照らしている。起き上がろうと腹筋に力を入れてみると絶壁の後頭部に激痛が走った。何かで殴打されたらしく、角刈りの絶壁にひょっこりと丸いたんこぶのステージが出来ている。吐き気や悪寒などを感じないことから、死に至るほどの傷を負ったわけではないと直感した井上は、「いちにのさん」で上半身を起こそうとしたのだが、運悪くテーブルの角に側頭部を強打してしまった。

「うう……!」

あまりの痛みに咽び返ると、その声に喫茶店のマスターが少し慌てた様子でガタンと椅子から飛び跳ねる。グラスに氷の揺れる音がして、足音が此方へ迫ってくる。その気配に、頭の痛みより先ずは身だしなみを整えることを優先した井上は、角刈りの頭を手櫛で整え、座ったまま背筋を伸ばす。上手いことにその緊張感が頭の痛みを和らげた。

「おっ……と、目が覚めたかい。うん。思ったより元気そうだ。とりあえず水を一杯……」

マスターは馴れ馴れしく井上にグラスを手渡そうとしたが、井上は挑発的な態度でグラスを床に叩き落とした。そして間髪入れず、まるでバレリーナのように柔らかく華麗なステップで、粉々になるまで積極的にそれを踏み潰した。


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22 南◆QyhO
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「ところで、どうして俺はここに寝ていたんです?」

誠意のグラスを蹂躙され、憮然とした表情で井上の隣に腰を下ろしたマスターであったが、その反面、井上の勇猛果敢な、オリジナリティ溢れるその行為に心を奪われ、熱狂した自分を認めざるをえなかった。そして、ついには薄気味悪い笑みを浮かべながら次のように事情を説明した。

今日は休みで普段やらない高窓を掃除していたら、ちょうど床屋で断髪中の井上が見えた。しばらくして井上が出てきた。直ぐに後を追って白衣の店主が出てきた。持っていたドライヤーで井上の後頭部を鬼の形相で殴打した。意表をつかれた井上は倒れ意識を失った。店主は井上の財布から一万円札を奪うと俊敏にまた仕事に戻った。そこへ老いぼれの植木職人が通りかかり、井上の自転車を盗んで意気揚々と逃走した。これは気の毒だと、自分はここまで井上を運んで寝かし付けた――。

この懇切丁寧なマスターの説明に井上は懐疑的だった。シックスセンスが働いた。直ぐさま財布の中身を確認してみると、そこでやはり矛盾が生じる。


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23 南◆QyhO
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財布には一万円しかなかったはずなのに、一万円札が差し込まれている。これは昨日、祖父の財布からくすねたもので間違いない。無学な祖父は福沢諭吉を毛嫌いしており、決まって一万円札に落書きをしていたからだ。諭吉の顔は蛍光ペンを何本も使い、虹のように塗り潰されており、それは確かに昨日盗んだ一万円札だとほぼ間違いなく断言出来る。要するに昨日から今の今まで、財布の中身は変わっていない。話が本当ならば、今ここにある一万円札は強奪されて無いはずである。そこで井上は尋ねた。

「あの床屋、カットだけなら一万円と消費税ですよね?もしかして払わずに出て来ちゃったかな……」

「そう、一万と消費税。しかしそれはいけない、井上くん。無銭断髪だ。補導されるよ。殴られても文句は言えない」

「それもそうだ、一理ある。そしたら今から床屋にお伺いして、おとしまえをつけてきます」

さらに一万円札の謎に触れようと思った井上だったが、考えてみたらこんな虚言癖の疑いのある奴に何を迫ったところで、きっと病んだ大人特有の負けん気の強さで、ヒステリックで言い訳じみた苦し紛れの説法を垂れるだけだろうと踏みとどまり、努めて理性的に振る舞い店を後にした。


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24 南◆QyhO
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外に出るとすっかり日は落ちていた。辺りは暗く静まり返り、ただでさえ閑散とした商店街が完全に生気を失っている。まるで仄暗い洞窟の奥深くに置かれた棺桶で眠るマネキンのように、不気味なほど微動だにしない。向かいの床屋は閉まっていて、店内は真っ暗だ。喫茶店のスモークガラスで外の様子が確認出来なかった井上は少々面喰らった。と言うのも、井上は自分自身、暗闇が唯一の弱点であることを自覚しているのだ。驚異的な視力が仇となり、明暗のギャップを埋めるのにいつも苦労する。そんなときは月明かりが唯一の救いだ。月に照らされたモノを見ていると、ちょうど虚実の狭間、ニュートラルな、何にも左右されることのない桃源郷のような場所に自分は立っている気がして、何かに赦されているような、なんとも言い難い不思議な安堵感を覚えるのだ………と、言うのは単なる言い訳で、要するに暗いところが怖いだけなのだから井上の二枚舌は油断も隙もない。


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25 南◆QyhO
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「まあ、暗いし……今日のところは仕方ない……帰るしかないかな………」

言葉より先に商店街の出口へと歩きだした自分をハッキリと認めた井上は、眼前を支配する漆黒を深々と吸い込んでゆっくりと吐き出した。俗にいう深呼吸をした。と、吐き出した息のその先に、ぼんやりと灯りが見える。いや、灯りのある気配がする。商店街の出口を右に折れた二軒目辺りに、営業中の店があると感じる。真っ暗闇の洞窟内で、否応なしに五感が研ぎ澄まされるのと同じで、微かな灯りさえいまの井上には確からしく感じ取ることが出来る。


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26 南◆QyhO
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トボトボと商店街の出口少し手前まで歩いてきた井上は、角を曲がる手前でふいに立ち止まった。ここまで接近すると、この角を曲がった先の灯りは目を瞑っていても感じられるほど煌々としている。それに安堵した井上は、まるで愛の告白を受けた少女がイエスの返事を白々しく焦らして、わざとらしい戸惑いを演出するような、なんとも煮え切らない気持ちになって微笑した。その灯りにいま直ぐに飛び込めば良いのに勿体ぶる。暫しこの幸せな時を楽しみたい。そう、どうせいつの日かこの愛の灯火は憎しみの炎に変わる。互いの環境の変化や理不尽な男の浮気、がんじがらめの束縛によるストレスからの言い争い、記念日を平然とスルー、性交後の速やかな喫煙……などにより、いまこの時はまるで嘘だったかのように呆気なく消え去ってしまうだろう。冗談じゃない。ほんとうに腹が立つ。だったら返事を少し焦らすくらい何の罪にもならないと思う。むしろそれに腹を立てるような器の小さな男はこっちから斬り捨ててやるんだ。実際、法で罰せられることもないのだから……。


(ID:7xcaPt)
27 南◆QyhO
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そうこうしているうちに、その灯りの点いた店のドアが開いた。カランカランと音が聞こえて、店内の喧騒が外気を吹き飛ばすように飛び出してくる。下手くそな演歌だ。どうやらその店はスナックらしい。あれは老いぼれの植木職人の歌声かもしれない。甲高くて間の抜けた、実に不愉快な歌声だ。その歌声だけで、店に対して憎悪の念が盛大に沸き起こるほどおぞましくて不愉快な歌声だ。眉間に殺意の皺を寄せた井上は、いま直ぐにでも店内に押し入り、奪い取ったマイクであの老いぼれの植木職人をこっぴどく殴り付けてやろうか……などと画策していたのだが、寸前のところで店の外に出てきた者がドアを閉めたらしく、幸運にも命拾いした老いぼれの植木職人に、暗闇のなかから「おめでとう、次はないからな」と、小さく呟いた。


(ID:7xcaPt)
28 南◆QyhO
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「今日も早いのね……あんまりお呑みにならなかったし……」

「ええ、明日も仕事がありますからね。やはり手元が狂うといけない」

「やっぱり真面目ね。評判ですよ、思った通りの髪型にしてくれるって、みなさんそう仰いますから……」

「アハハ、それはそれは。御世辞でも嬉しいですね。仕事への意欲が沸いてきます」

「今度、私も切って貰おうかしら……なんてね。床屋に女なんて、御迷惑かしら……」

「アーいえいえ、銀座辺りのホステス風に仕上げてみせます。アハハハ……ならば明日の昼頃なんてどうです?御予定は?そうしてそのあと、腹ペコになったら一緒にランチでも……」

「あら嬉しいわ。嬉しいけれど私、普段は養護教諭をしているからあんまり派手な髪型はいけないわ。ま、夏休みの間なら大丈夫かしらね……うーん……けれど明日のお昼は……お散歩に出ていまして……どうしましょうね……」

「アッ……よく散歩しているのをお見掛けしますよ。実に健康的なバストを揺らして……」

「あらやだ、なかなか胸糞の悪いことを言うのね。お店の中ではあんなに無口なのに……。はい、そうしたら明日のお昼は、お散歩をやめて御伺いしますね………」

「アハハハ……滅相もない。いまのはちょっとしたリップサービスみたいなアレで……」


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29 南◆QyhO
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外で会話しているのは床屋の店主と、それを見送りに出てきた養護教諭だ。夏休みの間、スナックでアルバイトをしているらしい。床屋の店主が満を持して発した中年男性特有のぎこちなくセクハラじみた、そしてあわよくば……という気概をヒシヒシと感じるその言葉を、物怖じせずにさらりとかわした養護教諭が深いため息をつく。そして、おもむろに店のドアを開けると突然床屋の店主の腕を掴み、ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべてヒステリックな金切り声を上げた。

「キャー!!早く誰か来て!!早く!変態!この人です!!痴漢です!!!」

酷い頭痛に疲労困憊の井上は、暗がりに腰を降ろして二人の会話を盗み聞きしていたのだが、予期せぬ養護教諭の叫び声に仰天し、硬直した。盗み聞きしていたという罪悪感も相俟って、その悲痛な叫び声にも応えることが出来ず、なんともばつが悪そうにうずくまり、ジッと身を潜めているしかなかった。


(ID:7xcaPt)
30 南◆QyhO
>>>109045-93

「おい!こら!!どうした!!!」

成り行き任せに飛び出してきた老いぼれの植木職人が、凛々しくて甲高い怒声を即席の正義感に乗せて響かせる。床屋の店主は一瞬なにが起きたのかと酷く狼狽した様子で思わず土下座しそうになったが、直ぐにその考えを改めた。それは、定期講読している全国の床屋御用達の月刊誌【切る友】のなかで、「実践!痴漢の冤罪を吹っ掛けられた時の対処法!」という記事を読んだことを思い出したからだ。そこには「周囲の人は全て敵」「焦らずゆっくりハキハキと反論」「直ぐに名刺など渡さない」「もし鋏を持っていた場合、バレないように捨てる」「知らない人についていかない」「劣勢に立たされた場合、逃走も視野に入れる」「かしこまり過ぎはよくない」「スマイル」「知らんぷり」等々、あらゆる状況を想定、網羅した的確なアドバイスが載っていた。自信を取り戻した床屋の店主は、なだめすかすように笑った。

「アハハ、植木屋さん、どうしたんです?血相を変えて、なにがあったんです?私になにか?用ですか……?」

「うるさい!知らん!わからん!悪いが聞こえん!!言い訳にしか聞こえん!!どう見ても床屋!おまえが痴漢したとしか思えん!!いま直ぐに歯を食いしばれ!!ホラ早く!!食いしばれ食いしばれ食いしばれ!!!」


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31 南◆QyhO
>>>109045-93

“パチッ、パチッ、パチッ…”という生ぬるい音が一定の間隔で暗闇を切り裂き鳴り響く。状況からして、床屋の店主が老いぼれの植木職人に平手打ちされているのだろう。些か理不尽ではあるが、こうなったらもうおしまいだ。手が付けられない。命を懸けても男は女を守るもので、女を虐める奴はとりあえず懲らしめてやるという、頑固一徹で近視眼的な老いぼれの植木職人の哲学が、明白な証拠も正当性もないままアナーキーにぶちまかれている。そんな、冤罪の匂いが濃厚に充満するこの茶番劇に、井上は心の底から呆れ返った。そしてため息混じりに立ち上がると、もと来た商店街の道を引き返した。その後ろで「おとしまえをつけろ!」などと老いぼれの植木職人の甲高い怒声がしたのだが、やはりため息しか出なかった。


(ID:7xcaPt)
32 南◆QyhO
>>>109045-93

ちょうど床屋と喫茶店に挟まれるところまで戻ってきた。月明かりがゴミ置き場を照らしている。どこか遠くで、途切れ途切れに蝉の鳴き声がする。七日目の蝉が命乞いでもしているのだろう。

ゴミ置き場には、もしかしたら人糞?かもしれない犬の糞がなりふり構わず散乱し、髪の毛がパンパンに詰め込まれた大量のビニール袋や、使用済みらしき淫欲にまみれたバイブレータ、脱サラの夢が粉々にくだけ散ったようなティーカップの破片、「死ね、バカ」などと落書きされた銅像、その他にも情けなく黄ばんだ汚ならしいブリーフや、図に乗ってパンクした自転車のタイヤ、原型を留めていないほど破壊されたヴァイオリンらしきモノ、アイマスクをしたマネキンが納められた棺桶、小指掛けの折れた理容鋏……等々、大量のゴミが情け容赦なく山積みに不法投棄されており、ここは一発、手榴弾でも放り投げて、ひとつ残らず木っ端微塵に爆破したくなるほど不謹慎極まりなく、甚だ以て遺憾の極みであることは間違いない。尤も、外国からの旅行客などはまさか日本にこのような汚ならしい場所が存在するとは思いもせず、「これはコラージュアートだね。素晴らしいよ」などと言って記念撮影をするかもしれないが。


(ID:7xcaPt)
33 南◆QyhO
>>>109045-93

井上はそこに棄てられていた業務用らしきドライヤーを拾って、床屋のガラス窓めがけて放り投げた。経年劣化による蜘蛛の巣のようなヒビ割れに苦悶するその窓ガラスは、いまにも崩れ落ちそうで大変危険である。昼夜問わず道行く人を脅かし、見れば見るほど陰鬱な気分に陥れ、いま直ぐにでも教会に飛び込んで神父様の包み込むようなレトリックに身を委ね、とりあえずでも良いから安心感を獲得したくなるほど憔悴しきっていて、もはや窓としての体を成していない。

放り投げたドライヤーが威勢良く窓ガラスを突き破ると、それをまちわびていたかのように、太っ腹の大盤振る舞いで窓ガラスは全壊した。突然響いたその音に、喫茶店のマスターが飛び出してくる。床屋の店主、老いぼれの植木職人、養護教諭も現場に駆け付ける。慌てふためいた床屋の店主は、目撃者はいないかと真っ赤な顔で辺りを見回す。先程まで痴漢の容疑者だった床屋の店主は一転、理不尽な器物損壊の被害者となったことを大袈裟にうなだれてアピールする。これに乗じて、痴漢容疑を揉み消そうとする余力はまだ残されているのだ。そんな打算を働かせている最中、ふとゴミ置き場に目をやると、不法投棄のゴミ山に混じって気持ち良さそうに大の字で寝ている乞食がいる……。


(ID:7xcaPt)
34 南◆QyhO
>>>109045-93

「す……すみません……!お休みのところすみません…!宜しければ、ちょっとだけお時間を頂けないでしょうか?いま、うちの店の窓ガラスが………」

ゆっくりと起き上がったその乞食は、毛髪も髭も見捨てられた雑草のように自由奔放、縦横無尽に伸び散らかり、その鋭い視線だけで豚の一匹くらいは楽に仕留めることが出来そうな、狂虐に満ちたグロテスクな目付きをしていた。人としてではなく、家畜として飼い慣らされた挙げ句に呆気なく棄てられ、行き場をなくして野生化した人間のような、四の五の言わず感漂う危険な殺気とおぞましさを漂わせながら……。

「ど……どうして裸にエプロンなんですか?」

「……俺ァなんも知らねえよ…………」


(ID:7xcaPt)
35 南◆QyhO
>>>109045-93

仮に、【世界乞食図鑑】という本があるとするならば、その乞食は間違いなく先進国カテゴリーの7頁目くらいに、基本的なスペックや好きな言葉とともに、その生い立ちなどもカラー写真付で紹介されるだろう。それを見た先進国の乞食たちは手を叩きあって熱狂するが、途上国に於いてはいまいち理解されない。一度飼われて棄てられるという、そんなストーリーは途上国の乞食目線では悲劇でもなんでもない。それはむしろ、一度飼われた時の匂いだけで空腹を満たせる……といった具合のドリームであり、7頁目が乞食の定義の範疇であるかすら危ぶまれ大論争に発展しかねない。それもそのはず、途上国の乞食たちの大半は一度も飼われることなく生まれつき乞食なのだから無理もない。少なくとも、「こいつが乞食だと?笑わせやがる」「もし会ったら絶対にブッ殺してやる」「焼いて喰ったら美味そう」などという物騒な苦情が大量に寄せられることになるのではないだろうか。


(ID:7xcaPt)
36 南◆QyhO
>>>109045-93

パトカーが到着した。さまよえる虫たちが赤色灯を凌辱している。床屋の前には、いつの間にか騒ぎを聞きつけた野次馬の人集りが出来ていた。ざわざわと皆その様子を気にかけてはいるものの、どこか浮わついた空気が形成されており、お気に入りの一張羅で近所の祭に繰り出し、わざと大声を張り上げたりする男子中学生の集団と、そんな男子たちを意識しながらも、これといってそのことに触れずに会話を続ける女子中学生の集団がいつしか立派な社会人になり、同窓会的な立食パーティで再会をすると、悲運なことにそのパーティでなんらかのトラブル(停電やバイオテロなど)に巻き込まれてしまう。しかし、男子は冷静な判断で的確な指示を。女子も負けじとそれをサポートする。もうあの頃とは違う、仄かにセックスアピールすら感じるかもしれない垢抜けた互いの姿に両者リスペクトの気持ちが芽生えずにはいられず、パトカーが到着する頃には「なんか、この人、いいな……」といった具合でひとつの恋が芽吹いてしまいそうな………そう、床屋の惨事をきっかけに商店街は、妙に甘酸っぱくて無責任な態度が見てとれる、ポップでファニーな雰囲気が充満していた。


(ID:7xcaPt)
37 南◆QyhO
>>>109045-93

そんななか、バイブレータのスイッチを入れた養護教諭の証言により、喫茶店のマスターは器物損壊の容疑、老いぼれの植木職人は暴行容疑、床屋の店主は痴漢の容疑でそれぞれ身柄を拘束、逮捕されてしまった。ともすれば、いよいよこのパーティ(床屋の惨事)も収束、お開きになってしまうのか……と、出席者(野次馬)の誰もが心のなかで物足りなさに落胆したその時、このパーティに出遅れた町長がクラクションを激しく鳴らしながらフルアクセルで車を飛ばしてやってきたのだが、見事なハンドル捌きで山積みにされたゴミ置き場へ絶叫とともにノーブレーキで突撃する。クラッシュだ。そして、ゴリラの十匹くらいは楽に仕留めることが出来そうな爆発音とともに車は大破し、ゴミ置き場は瞬く間に炎上してしまった。まるで刑務所から我先にと飛び出す脱獄囚の群れのように、威勢良く立ち昇る黒煙を月明かりがひんやりと無表情で見つめている。何の変哲もない田舎の商店街で行われていた野次馬たちによるパーティの終幕直前……そこへ突如として巻き起こった満場総立ちの刺激的なヴァンダリズム。炎が奴らを狂わせる。閾値のリミットが爆発する。出席者たちは一気に息を吹き返し、一斉に歓声を上げた。

「こいつはすげえや、本格的にド派手なカーアクションだ!」


(ID:7xcaPt)
38 南◆QyhO
>>>109045-93

何処からともなくダンサンブルな小鼓のリズムが聴こえてくると、燃え盛る炎に歓喜の白目を剥いて粗大ゴミを放り投げる者が続出し、老若男女が入り乱れて脱いだ下着や連絡先の交換をしたり、消火器を天に向け発射して何度も何度も夜空に謝罪する者、奇声を上げながら自販機の釣り銭を手当たり次第に漁る者、シャンプーハットを深々と被って誰彼なしに睨み付けて回る者、料理雑誌に松ヤニを執拗に塗りたくる者、それをクッキングペーパーで丹念に拭き取ろうとする者、シュタイフ社製のテディベアの脳天を噛みちぎり、その裂け目に小さな木彫りの仏像を懸命にねじ込もうとする者……各々がやっとなにかの呪縛から解放された瞬間また別のなにかに呪われてしまったような、居ても立ってもエキサイトする出席者たちは既に理性が完全に崩壊してしまったかのように見える。が、誰一人として炎に飛び込むような危険なことはしない。なんとしても死傷者ゼロの健康第一。やはりそれが望ましい。此処にはジェノサイドを画策する者も居ないし、ゾンダーコマンドも居ない。だから差し迫って重大なこともなく、余程の馬鹿をしなければ命を失うようなこともない。我が国の危機管理の甘さが、世界中のテロリストたちを魅了していることの真偽など、いまはわりとどうでも良い。


(ID:7xcaPt)
39 南◆QyhO
>>>109045-93

そんなふうに出席者たちのボルテージは最高潮……いや、まだまだ加速して収まりそうにない。きっと夜通し続くに違いない。だから、こんなやさぐれた町民の暮らす町はダムの底に沈めてしまうのが得策に違いない。クレイジーマイノリティは、生々しく村八分にするより他にない。そんな空前絶後の支離滅裂……献身的に馬鹿になる群衆の熱気から少し離れたところに、ひとり佇む乞食の姿があった。

乞食はパチッと指を鳴らし、うっとりとした表情でその様子を眺めていた。時折ゆっくりと艶かしく首を回して骨の音を聞く。その視線は一点を離さずにいた。


(ID:7xcaPt)
40 南◆QyhO
終わりです。お付き合い頂き大変ありがとうございました。


>>>109045-93


参りましたm(_ _)m


(ID:7xcaPt)
41 南◆QyhO
レアルマドリードってサッカーのチームがありますよね。むかしベッカムが所属していたスペインのチームです。

そのレアルマドリードと、バイエルンミュンヘンというドイツのチームが対戦しました。欧州最高峰の大会の準決勝です。結果はPK戦の末、バイエルンの勝ち。

で、いまサッカー雑誌のサイトに行ってきたら、レアルの監督のコメントが載っている記事がありました。抜粋コピーしてきたので下記参照。


監督 「シュートを外しただけだよ。PKを失敗するのは蹴る勇気のある選手だけなんだ。だから私が失敗することはないよ。彼らは素晴らしい。(リオネル)メッシだって昨日の試合でPKを失敗していることを忘れないでほしいよ」


うん。

慰めてくれて、本当にありがとうございました。
(ID:7xcaPt)
42 井上博士
南さん、リアル電話番号交換しないか?(笑)
(ID:Vfx25J)
43 南◆QyhO
>>42

なんでいきなりwwなんすかそのww南さんってww丁寧なのwww


うん。

もうね、井上博士のね、存在自体がですね、どうしてそんなにシュールでいて効果的なんですかね?ちょっと長い前フリだった気がするけど、僕的にはこれでもう書いた甲斐があったってもんです。想像を絶するレスポンスに戦慄しました。完全に敗北した。

だからお断りします。


(ID:7xcaPt)
44 井上博士
わかったよ(笑)
(ID:Vfx25J)
45 南◆QyhO
切ないですね。

番号を訊いても拒否された時の虚無感は僕なりにわかっているつもりです。

でも、もし僕が女だったとしたら玉砕覚悟でもう一度食い下がってみるべき。そういった、マッチョなアジリティを見せつけておくべき。昨今の男子諸君には必要だと思う。男が痩せすぎたモデル体型を実はそこまで評価していないように、女も男の草食化をそこまで望んではいない。「こいつ出来る」って感じで、自分の金銭に触れるような女の人との出会いは大切にするべき。色々と人生の教訓になったり、そんな経験が人生に彩りを加えて、いつの日かエンジョイを手繰りよせてくれるはずだと力強く信じるべき。


さて、いつもの殺伐が戻ってきましたね。
(ID:7xcaPt)
46 南無死参上
ホンマや
(ID:不明)
47 南無死参上
(ID:不明)
48 井上博士
をなにー・をなにー・をな・をな・ニ〜♪
(ID:Vfx25J)
49 沖田◆ydaR
>>109045-99


毎度レス遅くてすみませんorz


いや‥なんかお世話でもじゃな
くても嬉しいですお(〃'∀'〃)

ありがとうございますー!!!


ちょwwからあげやめなさいw
からあげくんに謝って下さい←
あれは流石にやりすぎなのかも
だけどたまたま手元にあったの
がからあげで多分、あまりのう
まさに感激して他の誰かにも食
べて欲しかったんだと思います
たぶん‥!とゆうかそーゆうこ
とにしておいてくださいお願い
します←

アッ、最終回見ました。って
アレふざけすぎだろおおお!!
てか近藤さんが一番ふざけてた
気がするんですけどねww

でもいつもの銀魂らしい終わり
方で安心しました。あんなんじ
ゃなかったら不潔どころの話じ
ゃなくなっちゃいますし。ふふ

復活待ち遠しいっす!!!!!

おおおっ!!

一緒ですな( ´∀`)σ)∀`)

じゃー誕生日前日くらいに教え
てくれますか??ちょっとした
アレしたいのでお願いします♪


_
(ID:PUro9n)
50 沖田◆ydaR
>>109045-99>>>109045-99

またミスってたらごめんなさい((泣
(ID:PUro9n)
51 南◆QyhO
>>49

まじっすか。10月なの?一緒なの?

これは大変失礼しました。僕と一緒で、さぞかし不快な気持ちになったでしょう。わりとリアルに。僕は1日だけどね。アレならアレで、アレしますよ僕も。

さらに10月は、すづきさんがなんらかのサプライズを僕たちに与えずにはいられないかもしれない。たとえば殺伐の配色をいかにも誕生日らしい仕様で、黒の背景にすべて黒の文字とかね。

要するに誕生日を迎える僕たちも、ありとあらゆる事態を想定、備えておく必要がある。

ちなみに僕は、同じ日に同じ病院で生まれ同じ病室で全裸で横に並んで二人してわめき散らした女の子と、今でもたまに会う程度ですが、繋がりがあります。

微妙に凄くない?


(ID:7xcaPt)
52 南◆QyhO
>>48

をなにーじゃない、オナニーだッ!

ばかやろう!


(ID:7xcaPt)
53 南◆QyhO
頭狂…アッ間違えた。東京電力の話ですが、明日、現場取材が行われるようです。

今回は新たにフリーランスの枠が2枠追加されました。前回フリー記者には枠が与えられず、激怒した数人の記者と広報が揉めまくったわけで、今回は東電側もそれなりの対応はとったように思えます。が、今回もまたフリー記者に対しての扱いが波紋を呼ぶことになったのであります。

なんとッ……たった1台のスチールカメラ持ち込み禁止ッ!まさかのフリー記者だけ禁止ッ。で、写真が必要ならネットメディアの動画から切り取って使ってくれと。

理由として、カメラが1台増えると現場で記者たちに逐一指示を出す東電側の人員不足が起きると。

ちなみに記者全体の人数が40人ちょっと。それに対して指示を出す東電社員は6人くらい。(それなりに現場に精通している社員)まあ、社員1人で記者7人の面倒を見る感じ。

例えば、「核防護上の問題で撮れる場所と撮れない場所がある」とか、「機材の養生など、手間が増える」とか。これらの対応が記者の人数に対して間に合わないと。カメラ1台増えるともう厳しいんだと。限界なんだと。

てか、核防護云々言うならそんなギリギリの体制で良いのかな…?とか思うけど、まあ実際ギリギリなのかわからない。

当然、フリー記者側は「社員をひとり増やすことは出来ないか?」「カメラがないと仕事にならない」「カメラ1台増えると、どのくらいの労力を要するのか?」などという発言を威勢良く広報にぶつける。(実際はもっと詳細な、突っ込んだ質問や要望が飛び交っていた)

だが断る東電。すべて却下。なんというか、東電はこの件に限らず、こういったやり取りに発展すると決まって会話不全を貫く。

広報「社としての取り決めです」
記者「もう少し詳しく、どの部署の誰の責任で?」
広報「社としての取り決めです」
記者「いや、ですから…」
広報「社としての取り決めです」

記者「」


何を言っても、無駄無駄無駄無駄ァァ!

広報「今回はこれで、宜しくお願い致します」

そしてそんな一悶着あった数日後。

東電がカメラを1台用意して、フリー記者の要望した箇所を、用意したカメラで東電社員が撮る。

という、気合いの入った折衷案が東電から出され、とりあえず今回は一件落着ッ……的な?

な、な、なんだそれww

って思った。
(ID:7xcaPt)
54 南◆QyhO
「5人+老人と僕」


僕は車好きの16才。免許はないけど、親の目を盗んでドライブしてしまうほどの車好きだから手に負えない。

気持ち良く晴れたある日の昼下がり。ピカピカの愛車を威勢良く走らせていたら、すごく喉が乾いたのでコンビニを探した。

5分ほどで直ぐに見付かった。これは助かる。馬鹿馬鹿しいほど広い、駐車場付きの豪華なコンビニ。パトカーが2台停まっていて、警官の姿がみえる。1…2…3…4……4人の警官がたむろしている。

何事かと思えば、痩せ細ったひょろ長のみすぼらしい老人が、大の字になって地面に寝転がっている。どうしたことだ。それを取り囲んでいる。

「ね、起きてよ、頑張って。とりあえずパトカー乗ってよ。あとでお茶があるから」

なにやら警官は説得を試みているが、老人は微動だにしない。

すると、さらにもうひとり、自転車に乗った警官が援軍として駆けつける。なごやかに苦笑しながら。コンビニ前で合流した大学生のように。と、その瞬間に観念したのか、老人は起き上がり、速やかに脇を抱えられて呆気なくパトカーに吸い込まれたのだった。


老人ひとりに5人の警官。凄まじいまでの労力。冗談だろう?彼らは呆れた様子で笑っている。そんな光景に、僕のはらわたは煮えくり返った。殺意を覚えるほどに。

「おい、ちょっとまてよ。あんたらが無駄にたむろしている分で、その老いぼれにお茶のひとつは楽に買ってやれるくらいの無駄な税金が発生しているだろう。もしくはだ。もしくは僕がいまコンビニでお茶を買ってきて、倍の値段であんたらに売り付けてもまだ足りない。ひとりずつ鈍器で一発殴られてちょうど良いくらい」


そんなふうに説明したところで、どうせ金と時間の無駄だろうと思いながら車に乗り込む。気を取り直し、エンジンをかけて出発。肝心の飲み物を買い忘れたことに気付いた。
(ID:7xcaPt)
55 沖田◆ydaR
>>51


一緒ですヾ(*`∀´)人(`∀´
*)ノ

わたしは銀さんの誕生日の1日
遅れです。一緒が良かったんん

アレの意味わかってますか?ア
レですよいいんですかアレして
アレされるんですよ。

あああ‥そうですよねなんかそ
んな事考えると今からムラムラ
しちゃいます。色々な意味で?

ええええ微妙どころかそれって
すごい事じゃないですか!!!
まさに運命ってヤツ(*/□\*)
その繋がりがアンな繋がりにな
っちゃって全裸で再びry←
それで2人の間に子供が産まれ
てその子供も2人と同じように
繋がってしまうヤーハー!みた
いな。すみません勝手な妄想で
す。

まぁでも‥その女の子が♂の子
ならアッー!な感じでアレなん
だけど♂の子同士が結ばれちゃ
うのかと考えるとそれもそれで
気になっちゃいます。リアルに
実在してたらなあ‥とかそんな
事考えてる自分がきめええry


すみません自重はしませんん!


_
(ID:PUro9n)
56 南◆QyhO
>>55

アレですね。いや、アレかな。けれどアレはアレとしてアレだとしたらアレのような気もする。まあ、アレだろうね。


で、アンな繋がりってなんやねん!しかも「ヤーハー!」な事態に発展するならそれはもう人口が15人くらいの地図にない閉ざされた村の出来事でしょww「相手選べないから」みたいなハプニングでしょww

てか“アン”って、もしかしてアンジェラ・アキさんのことですか?たしかに眼鏡は掛けたり掛けなかったりな案配だけども、僕はあんなにいきり立ってピアノを弾くことは出来ません。さらに、あれほどまでに直情的な黒縁メガネから生き生きと発せられる日本人離れした眼光は前代未聞の事態だと言える。


しかし君は本当にBL的なアレに興味津々な人生を送っているね。前に変な動画を紹介しちゃったから、みなぎってしまったのだろうか。それとも、生まれ持った才能か?

何れにしても、それは日本のネット文化として根付いてしまった節があるし、日本に女子として生まれた特権なのかもしれません。うん。それさえあったら他になにも要らないとか。「ちょっと彼氏棄ててくる」とかね。

うん。

帰ってこれなくなるまえに自重したほうが良いと思いますwww


(ID:7xcaPt)
57 沖田◆ydaR
>>56


ああああとにかくアレはアレし
て!アレして!アレしちゃいま
すから!アレ‥ってもういいわ
!!!

えっ、なんか“ヤーハー“って
意味もわからず発しちゃったけ
ど‥だ大丈夫((‘Д’ノ))ノ?
もう私達意外にヤーハーなんて
言ったら人類滅亡しちゃいそう
で恐ろしいですわ‥!!

黒縁メガネってなんかすごく魅
力的だと思います!とゆうか眼
鏡男子って素敵やん!?
因みに南たんは視力いい方です
か?

いえ、その前からみなぎってま
すよ。生まれてからずっとry
でもそんなことが才能って言っ
てもあまり嬉しくないですねw

てかBLってなんですか。あっ
わかりました!ベーコンレタス
の略ですね。大好物でry

てか‥じ冗談に決まってるじゃ
ないですか(((((;/Д\)))))
流石にリアルだとちょっと‥w


彼を犠牲にしてまで腐りゆく自
分を想像しちゃうと‥うあああ
なんか泣きたくなってくる‥w

ってことでやっぱり自重するこ
とにしますorz


_
(ID:PUro9n)
58 南◆QyhO
>>57

満を持して元気よく発せられた沖田式ノリツッコミ。“アレ”って一体なんだろう?うん。確かにこれ以上の哲学的な展開はもう厳しい。アレだから厳しい。アレの健康を害するかもしれない厳しさ。


うん。

ベーコンレタスだねwww


てかこのAA ((‘Д’ノ))ノ なんか笑った。よくわからないけどすんなりと吹いてしまったよ。やははは!


てことで僕は視力悪いです。勿論、死ぬことはないけれど小3くらいからずっとぼんやりしています。主に頭がね。腐ってるのかもしれない。だから一応眼鏡持ってます。黒縁やん!っていう眼鏡をね。本とか車とかテレビとかで使うありきたりな眼鏡市場の黒縁。沖田先生は?


まあ、活きの良い腐女子がひとつの恋愛で激変するかもしれないし、なんとも言えません。というか、正直なところ恋愛ってのは意味不明です。未確認すぎる。だから広辞苑から削除するしかない。理由なんてどうでも良いから、とりあえず削除するしかない。全面的に。

そんな感じ。


(ID:7xcaPt)
59 沖田◆ydaR
>>56


えっ、なんかよくわからないけ
れどツラレて‥笑いが‥っ!!

(:;゚‘∀’゚:)やはははっ!

わたしも視力悪いです‥orz
中学あたりくらいからだったか
な‥?ただ単にゲームのやり過
ぎが原因かとwえ、頭がぼんや
りしてるってもしやアレのやり
過ぎですか、わかります。

因みにわたしは眼鏡よりコンタ
クト派ですけどね(*‘‥’*)ノ

黒縁にスーツとか絶対似合いそ
うな気がします。南たんって真
面目そうでちょっとやんちゃな
イメージがあるんですけど実際
はどうなんですか?

確かに意味不明ですよね。なん
か考えただけでも頭が爆発しそ
うですもん。ぱァーん!って!


あっ‥!

そういえば昨日はAKB総選挙
でしたね、見ました?わたしは
途中から見たんですけど、予想
通りセンターが優子ちゃんで嬉
し泣きしてしまいましたっ‥!

まゆゆが2位とかは予想外でび
っくりしちゃったんですけど、
正直嬉しかった‥(。ノД’。)


因みに推しメンとかいます?


_
(ID:PUro9n)
60 南◆QyhO
>>57

僕もコンタクトは常備してますよ。主にアレの時に使うますよ。使い捨てのソフト。ハードはなんか恐くて無理っぽい。どっち使ってる?


真面目不真面目ってのは人の見方次第なところがあるからなんともね。わりと場面で変わっちゃうもんでしょ。

たとえば、職場で疎まれて低評価だった人間が転職したら重宝されるとかあるんだからね。

あるいは、必要以上に思春期の香りを漂わせながら一寸の迷いなく道に唾を吐き散らす量産型の不良青年だって、福島の原発で働いたら「作業員の方には頭が下がる思いです」とか、報道では救世主扱いなんだからね。

というのはまあどうでも良いのだけれど、ぶっちゃけ僕は真面目ですよ。だいぶね。万引きや殺人、痴漢や動物虐待などを積極的に楽しんだりはしないからね。やはりそういうことは性に合わないんで僕には出来ない。

うん。ぼんやりしてるね。


で、AKB!!

って、まゆゆ推しなの?大島優子?もしくは大島美幸?

僕もふたりとも好きだったけど、いまは違うよ。いまの僕はあの頃とは違うんだ。うん。いまここで宣言しよう。


峯岸ッ!推しッ!!!やはははッ!!


(ID:7xcaPt)
61 南◆QyhO
夏の強い日差しに、ふと九階の窓から外を見ると、真っ黒に日焼けした黒人二人が隣のビルの屋上でバスケットボールを楽しんでいる。全裸で。

二人とも球技のセンスはないようで、俺のような生まれつき盲目の身障者でさえ、お世辞にも上手いとは言えない。

「あははは、やるじゃないか」

「父さんだってまだいけるよ」

どうやら二人は親子。一瞥したところ、並々ならぬサイズである股間の一物だけが、下着の締め付けから解放され有意義な時を過ごしているように思える。俺はしばらくその二点に注目していたが、それも形状などは他と大して変わらないことに気付いた。単にでかいぺニスだというだけで機能的には凡庸なモノだろう。

「しかしなんだってこんなに糞暑い日に屋上でバスケットボールなんかするんだ。ほんとうに。しかも下手くそ。あいつら馬鹿じゃないのか」

盲目というハンディキャップは、いつの間にか俺の弁舌を豊かなモノにしていた。口喧嘩では誰にも負けない。どんなに恐ろしい容姿の相手でも、目が見えないのだからその分こちらが有利だ。たとえマフィアに喧嘩を仕掛けても、「こいつ、目が見えないのか」と、大目に見てくれることもあるかもしれない。

俺は思わず自信たっぷりになったので、その意気で屋上に駆け上がった。あいつらをこっぴどく罵倒して驚かせてやる。

「おい!おまえら!おまえらだよ黒んぼ!くだらねえ玉遊びはもうやめて引っ込んでろ!!仕事はどうした糞ジジイ!学校はどうした糞ガキ!!真っ昼間から胸糞悪いもん見せるなバーカ!!」


一喝したはいいものの、ちょうど親子はビルから飛び降りたあとだったので、隣のビルの屋上には遺されたボールが暗影を投じていただけで人間はどこにもいなかった。どうやらこれは不戦勝らしい。
(ID:7xcaPt)
62 南◆QyhO
いまサッカーやってますよね。EUROっていうヨーロッパの大会。

ヨーロッパなんかだと様々な人種の選手がプレーしているので、試合中に観客から差別用語が元気一杯に飛び出して選手がやる気をなくすこともしばしば。

例を挙げると、震災直後、ベルギーで活躍する日本代表のGK川島に対して「カワシマ!フクシマ!」って相手チームのサポーターが連呼。川島キレて試合中断。

サッカーって野蛮だね。


一昨日、EUROのイタリア×スペインを観ていて、バロテッリが決めれなかったシーンがなんとなく印象に残りましたよ、と。まあこの調子だと寝不足になってしまう気がしないでもないわけです。
(ID:7xcaPt)
63 南◆QyhO
白熱ッ!!

野田 VS 高橋。


国民の関心を引けるのはどちらだろうか。

ご覧のとおり両者とも始末の悪い不細工だから中身で勝負。ってところだけど、たぶん高橋のほうがだいぶ贔屓目に映ると思います。やはり高橋ほどのポップスターとなると、然るべき配慮がなされるのだろうと思います。
(ID:7xcaPt)
64 南◆QyhO
漫画家の小林よしのり氏はAKBヲタです。

少し前まで橋下さんと喧嘩してたかと思えば、先日の総選挙&指原ネタで熱狂&ご乱心。そしてブログで発狂と相成りました。


例えば、総選挙の結果に様々な思いが込み上げたようで、「布団に突っ伏して泣きながら寝た」とか。

指原の件では、「さしこが博多に王国を築く恐れがある」とか、氏の地元である博多で頑張るHKTへの切実な思いと、そこへ指原というビッグネームが加入することに対する危惧と考察、愛情が渾然一体と入り乱れて、もう、なにがなんだか半端ない。

うん。

どうでも良いけどとりあえずこのおっさん、できる。


というわけで、氏の熱狂ぶりをお伝えしたくブログから一部言葉を拝借。次レスに貼ります。
(ID:7xcaPt)
65 南◆QyhO
※以下は小林よしのり氏のブログから引用した文です。

-


柏木ゆきりん が
3位になったのは衝撃だった。

わしは血の気が引いた。

優子と1位を争うだろうと
思っていたので、
まさか まゆゆ に敗れるとは


すごく反省した。

まゆゆも応援しているが、
ゆきりんは大量に票が入るはずと
思い込んでいたのが馬鹿だった。

油断してた。


ゆきりん、ごめんなさい。

優子があなたに
敗れるかもと思って、
優子に大量に票を
入れてしまいました。

次回は絶対に入れます。


しかし、多くの知識人の
言葉に接してきたが、
AKBメンバーの言葉から
学ぶものの方が多い。

真剣に戦う者たちの肉声は
万人に届く。


あらためてそれを悟った
総選挙だった。
(ID:7xcaPt)
66 南◆QyhO
一般社団法人ホワイトハンズ。


物理的に射精行為を行うことができない人、または時間的・身体的に過度の負担がかかってしまう人に対して射精の介助ケアサービスをする。

●入会金・年会費

無料

●利用料金

15分3,500円

30分5,500円

45分7,500円

60分9,500円


平たく言えば身障者の射精をお手伝いする会社ということです。女性スタッフが。

この会社のホムペを見ると、「あるスタッフの1日」という、スタッフの体験談を綴ったものが載っています。求人欄に。たぶんライターさんの仕事。

でもこれが意外と面白くて、目を血走らせて読まざるをえない状況に追い込まれてしまったわけです。

「40分だと、さすがに後半はしんどくなりますね。毎月1〜2回だからいいのですが、毎日やる場合、手首が腱鞘炎にならないかどうか、ちょっと心配です(笑)」

とか、書いてあるんですね。ざっくばらんに。「1〜2分の人もいるからその時は楽ですね」とか、朗らかな感じで楽観的に。実に生き生きとした経験談が、なんだか妙な文彩を発揮する。

こうなるともう、サービスの是非を問うとか、ちょっと話題になってるみたいだけどそんなことはどうでも良くなるんですね、南的に。純粋に読み耽って、無為にエンジョイしてしまうんですね、これが。

で、仮に業務日誌なんかをつけているなら、それが一冊の本にならないだろうか……?いや、メルマガでも……とか思ったけれど、「個人情報は死守せねばならぬ」という方針らしいので、たぶん無理でしょうね。

しかも二、三回読んだら飽きそう。
(ID:7xcaPt)
67 南◆QyhO
原子力規制委員会設置法が成立。それ伴い何故か付則で原子力基本法がいじられています。付則で。


「原子力利用の安全確保は国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として行う」


…という文のなかで、「我が国の安全保障に資すること」ってところが付記されたと。要は「国を危険から守るために役立てる」って言ってる感じ。

これは、原子力そのものを役立てるのではなくて、高い技術を保持することで他国を牽制出来ますよ的な意味合いだと思う。何れにせよ軍事的な観点です。

それがエスカレートすると、原子力がよくわからん特別な国家機密になって、運用の不透明さは増す。かもしれない。機密は機密で存在するのは当然だけど、はっきりとした線引きもないまま、なし崩し的に僕たちが情報に触れる機会は閉ざされてしまう。かもしれない。極端に言えば3.11以前に逆戻り。

3.11から一年ちょいで、日本を国難に陥れた原子力が国の危険を守るものに成り代わるとは大したもんだね。お見事だ。

もちろん、僕の無知と偏見も大いにあります。

で、それと同日、東電が作成した事故の最終報告書ってやつの会見がありました。ある記者に言わせると、「東電の東電による東電のための報告書」だそうです。詰まり、大方の予想を裏切らなかったわけです。

その会見で、読売の記者が報告書の内容に関して、物凄い剣幕で元気一杯に追及していました。ネットでは拍手喝采。縦割りの組織図に縛られがちな大手の記者があそこまで発奮するのは珍しいこと。左遷覚悟と言わんばかりに。司会の制止を振り切って。

その記者は事故当初からずっと会見に出ている人で、報告書の内容に思わず憤慨してしまったのかもしれない。

で、そこで周りが「そんなことしたってどうにもならんだろ……」って空気を形成してしまうのが、3.11以前の状態なんですよね、たぶん。

正しいかどうかなんて知らんけど、僕はその様子を見て思わず熱狂しちゃいましたね。
(ID:7xcaPt)
68 井上博士
最近になって、ようやくQUOカードが来たが 大型の景品が当たった試しが無いのが不満、ちなみにauにしてから他社に乗り換える事無くau一筋で約11年目! 全く大事にされているとは、思わないかな。まぁ、こないだauショップの○○○店にクレジットカードの切り替えにいったら、そこの○○さんって名前の店員さんの感じが良くて大事にされてる気がしたけどね(笑)今回は是非とも頼みます
(ID:Vfx25J)
69 南無死参上
(ID:不明)
70 南◆QyhO
>>68

絵文字wwエロすぎww

さすがww上手すぎww


(ID:7xcaPt)
71 沖田◆ydaR
>>60


わたしもソフトです。ハードは
怖すぎて無理ィィ(((;∩∀`))ハード痛いらしいですもんね。
いまだにアレ入れる時に一発で
入れらなくていつも格闘しまく
ってますヤーハー!!!!!!

えっ

南なだけに峯岸みなみですか?
といわれるとたかみなもだけど
みーちゃんって可愛いし癒され
ますよね!!もはやあの笑顔は
罪ですよ(*´∇`*)んふふ!!

でもなんか私的に南たんは、さ
しことか、ともちん派かと思っ
てました!

わたしは、元はあっちゃん推し
でした。今は優子ちゃんと玲奈
ちゃん推しですけどねっっ><

因みに、マジすか学園知ってま
す?てか、見た事ありますか?


_
(ID:PUro9n)
72 南◆QyhO
>>71

僕もいまだにヤーハーだよw

初めての時なんて、もう号泣。痛すぎて入れたくても入れられない。とある場面ではあっさりと挿れられたのに。

眼科の先生いわく「女の子のほうが男の子より度胸があるから、あんまり時間は掛からない。泣かずにすんなりと入れちゃう子もいるよ」とかなんとか。僕は白目剥いて30分くらい号泣。いま思えば、鼻水が垂れてたかもしれなかった。


まあ南なだけに峯岸ッ!ってことではないんだけどね。峯岸をいつの間にか推していたのだ。経緯について全く思い出せないのだ。まずいよね。アルツだよね。で、たまにブログとか見ちゃうんだよね。

うん。

大島優子はこないだ雑誌の表紙で下着かもしれない気合いの入った姿だったね。風の噂で、君もアレを真似して部屋でポーズをとっていたら、親に警察呼ばれてそのまま入院したと聞きました。素晴らしいと思います。

マジすか学園はたまに観てた程度であんまり把握してないけど、まゆゆの役が好きだったかも。ねずみだっけ。あの妙な敬語口調には大変萌えた。萌えに萌えた。というのは言い過ぎだけど、そんな記憶があるっす。


(ID:7xcaPt)
73 南◆QyhO



たとえば地球上の油田や水源が枯渇したり、太陽の活動が急速に衰えてしまったら大変困る。適当に想像してみたら、胸焼けみたいな胸騒ぎがして僕は目頭を押さえた。人間とはそういう生き物だからやむを得ない。

というか、いまはそれどころではない。


「ひさしぶりの波乗りデートですね。とても楽しみです」

僕と彼女はいま、波乗りをするため車で海へ向かっている。朝五時に待ち合わせてコンビニに立ち寄り、飲料水を大量に買い込んだ。存分に波乗りを楽しんだあと、身体に付着した海水や砂、要するに大自然が寄越した不純物を洗い流し、身を清めるために必要なのだ。

第一に海水で傷む毛髪。第二に砂まみれになるであろう両足。仕上げにサーフボードを洗って、残った水は海辺に棲息する乞食にでも恵んでやれば良いのだ。「小便を濾過したモノだ」と、言い添えて。
(ID:7xcaPt)
74 南◆QyhO
「いやあ、長距離の運転は緊張感たっぷり。喉が渇いて仕方ないですね。さっき買った水を一本頂いても宜しいでしょうか?」

「駄目よ。無理。そのまま運転なさい。あなたがポリタンクに水道水を入れてこなかったせいで、こんなに無駄な出費をしたんだから。冗談じゃないわよ。反省しろ」

「承知しました」


彼女の命令は絶対。僕たちカップルは上命下服の間柄。力強くて活きの良い彼女に惚れ込んで、やっとの思いで付き合ってもらったのだから、多少のことで文句は言うまい。そう誓っていた我慢強く健気な僕であったが、その時ばかりは違った。死にたくなるほど潤いを欲していたのだ。一滴でも良い。ならば取るべき行動はただ一つ。そう思えたのだった。
(ID:7xcaPt)
75 南◆QyhO
「わあああーーー」

と、試しに心で叫んでみる。取るべき行動を開始する前の景気付けだ。すると彼女がくすくすと笑い出したので、すぐに失態を悟った僕は赤面した。発声することはなかったものの、実は無意識のうちに僕は大きく口を開いていたらしい。とてもじゃないが堪えきれぬコミカルな情緒に、顔を見合わせた二人の笑顔が弾けて、車内は過剰なエンジョイとしか言いようがない空気で満たされたのだった。
(ID:7xcaPt)
76 南◆QyhO
「うおおおあーーー」

二人のエンジョイがまだ醒めやらぬなか、今度は彼女が獣じみた雄叫びを堪えきれずに発した。聴いたこともない情熱的な咆哮。さすがはゲイだ。ノリが良い。そして、僕が行動を開始したことを告げる号令のように聞こえなくもなかった。うまい具合だ。

僕たちの車は赤信号を無視して交差点に突入。そして行儀よく停車。助手席側に目をやると、いきり立った大型のダンプカーが、酷くドスの効いた警告音を鳴らし散らしながら猛スピードで迫って来る様子だ。朝方にも拘わらず。
(ID:7xcaPt)
77 南◆QyhO
“ぷうーーーーーー……”

「じっくりと耳を澄まして聴いたらバグパイプの音かもしれない」……そう思った矢先のこと、車内に飛び込んできたヘッドライトの閃光があっという間に僕たちを飲み込んでしまったのだった。


歯軋りの音を馬鹿みたいに増幅させたような空間から、僕は奇跡的に助かったのだが車内で動きを封じられて厳しい状況。どうやら足を骨折したらしい。威勢よく車外に飛び出した彼女は微動だにしないので即死と見てまず問題ないだろう。常識的に考えて、このように並外れてシリアスな状況で狸寝入りなど以ての他。あってはならぬことだから。

それにしても狂ったように油の匂いがして吐きそう。けれど、このまま生き残れば水が飲めるかもしれない。近辺に棲息する乞食たちの強奪さえなければの話だが。
(ID:7xcaPt)
78 南無死参上
(ID:不明)
79 南◆QyhO
東電。

最近は株主総会があり。一兆円の税金追加投入。国営化の話など、まだまだ熱い話題は尽きません。

税金投入ってのは要するにアレですよね。

みなさんの家に、死に損ないの東電さんと呼ばれる得体の知れないおじさんが居候することになって、ただでさえ負担がかかるのに、しれっとした顔でお小遣いを要求してくる。非常にあつかましい。ならば使途はなにかと明細を要求したら「社内資料なので無理」と、言うのでとても困っています。

という案配でしょ。

うん。

余計わかりにくいね。


で、会見を出禁になった記者がいます。理由は株主総会の様子を外部に配信したから会見を出禁。ちなみにテレビでは株主が盗撮した映像が流れていたそうで。

要は、記者を排除するためのこじつけですね。勿論、記者の行為は良くない面もあります。が、前述のとおりみんなが東電さんの負担をしているのだから可視化すべきという意見もたくさんある。

これ、東電さんが本気になったらテレビ局も排除です。で、広告出してるとこを出禁にするという、意味不明なことが起きる。

というのはまあ、とりあえず置いておくとして。

僕が見る限りその記者は東電にとって最も厄介な存在です。たぶん。しつこくて根性あるし、周りの記者に与える影響もある。東電の隠蔽体質に歯止めをかけ続けてきたと思う。

で、東電の広報さん。その記者に対して最後にこう述べたそうです。


「長い間、ありがとうございました!!」
(ID:7xcaPt)
80 南◆QyhO



「先日、あってはならぬことが起きてしまいました。生後間もない乳飲み子を残し、若い夫婦が首を吊って心中です。今日は各方面からゲストを招き、みなさんとこの事件について議論していきたいと思います」




生真面目さが売りの日本列島は公序良俗が基本中の基本だ。先日、マクドナルドで相席したアメリカ人は笑顔で私にこう述べた。

「日本人は実に勤勉だね。加えて公序良俗がよく行き届いている。ブロンクス育ちの僕にしてみたら、まるでアニメーションの世界にいるみたいに感じられる。とてもハッピーだよ」

日本のアニメーション技術のことは私にはよく判らない。彼の発言はどことなく大袈裟に感じられるが、そこはアメリカ人なので仕方ないのだろう。無論、全てのアメリカ人がそのように発言するとは限らない。が、少なくとも彼のリップサービスは私を上機嫌にさせたし、彼は生粋のアメリカ人とみて先ず間違いない。ブロンクス育ちだからだ。
(ID:7xcaPt)
81 南◆QyhO
しかし冷静になれば当然、彼は私の目の前に居たのだからアニメーションの世界に居るはずがない(尤も、渋谷原宿辺りを徘徊する若者たちの奇抜さ自慢のようなファッションにはそれらしき錯覚を催してしまうが)。本当にハッピーなのかも私には判らない。けれども、それらの無駄口を差し引いたとしてどうだろう。彼の考察はやはり日本人として大変誇らしいと言えるのではないだろうか。

そう思った私は、彼が去ったあと、彼の食い散らかしたハンバーガーやポテトの粕を手際よく床に払い落とし、テーブルをある程度綺麗にしてから店をあとにしたのだった。
(ID:7xcaPt)
82 南◆QyhO
けれどもやはり、野蛮な無法者が後を絶たない現実がそこにある。眼を背け遣り過ごすことが出来ぬほど公序良俗の瓦解は進行していると私は思う。アメリカ人の食い散らかしたハンバーガーなど気前よく掃除している場合ではない。現実を直視せねばなるまい。


例えば、先日も乳飲み子を残して若い夫婦が馬鹿だから心中した。このような痛ましい事件など、むしろアニメであって欲しいと願わずにはいられない。しかしながら、個人主義的姿勢に傾斜する昨今の日本国民にとっては、そんなニュースなどマクドナルドのBGMと大して変わらないのかもしれない。私自身、あのとき流れていたBGMがどうしても思い出せそうにない。自分自身が赦せず、とても腹が立ったので眠れない夜が二日ほど続いた。
(ID:7xcaPt)
83 南◆QyhO


「先日、あってはならぬことが起きてしまいました。生後間もない乳飲み子を残し、若い夫婦が首を吊って心中です。今日は各方面からゲストを招き、みなさんとこの事件について議論していきたいと思います」


「絶対にファック!」としか言い様のないこの事件に対して、報道の大半はやはり、両親を批判的に扱っていた。しかし、いまは両親を直接的な手法で糾弾することも叶わない(スパムメールや電凸、あらぬ噂をネットで流す等)。ゆえに公序良俗の基本姿勢を崩さない紋切りタイプの日本国民は、其々やりきれぬ思いを抱えたまま、粛々と勤勉な生活を送ることしか出来ない状況下に置かれていたのだった。
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84 南◆QyhO
しかしながら他方では、「それは二人にとって純真な態度を野性的に真っ直ぐに、血気盛んに貫き通した結果であったのかもしれない……」といった、比較的同情の意を安易に示す無責任な非国民たちの反論が飛び出していたことも確かだ。

批判の隙間を縫うように、主にネットを中心に、若者の性交について……中出しの是非について……時には避妊具装着による快感の差異について……老若男女が入り乱れて忌憚なく論じられたりもしたのである。
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85 南◆QyhO
「けれどもやはり、子を残して逝く親は二度殺さねばならぬと思うんです。絶対に。既に一度死んでいるのなら、二度目は彼らの墓石をトンカチで破壊しに行けばいい。だってそうでしょう!冗談じゃないですよ!私はその乳飲み子があまりにも不憫でならないんです!!」

多くの国民が見守る中、毎週日曜日の昼に生放送される討論番組【思いっきり生ですよ!増刊号】に出演していた作家の中田氏(58♂)は、番組内で流れたVTRを見終えた直後、そう叫んで涙ながらに怒気を呈すと、机上に拡げられた事件の資料を鷲掴みにした。わなわなと震えながら。

そして次の瞬間、くしゃくしゃになった資料で自らの泣きっ面を覆い隠したかと思うと、なにひとつ恥ずかしがらずに思いっきり鼻をかんだのだった。

「くちゅん!」
(ID:7xcaPt)
86 南◆QyhO
なんともやり切れぬ中田氏の喘ぎを胸元のピンマイクが拾う。すると中田氏の鼻から飛び出した不思議な粘液が、生放送のスタジオ内に異様な臭気を容赦なく放ち始めたのだ。

まったくの予期せぬ事態に番組は慌てて一旦CMへ突入。即座に鼻をつまんだADが中田氏に一礼してティッシュ箱を差し出す。同時に、粘液まみれの資料の回収に見事成功。きつく縛ったごみ袋に封じ込めて、生で中田氏による放送事故という最悪の事態は免れたのだった。

これは余談だが、逆にそういった諸々のハプニングも生の醍醐味であるとの見方も出来る。言わば公序良俗の精神を逆手に取る手法だ。その最たる例として、一人の素人ランナーが二十四時間ひたすら走り続ける不様な姿を、テレビで生中継するというおぞましい演出がある。番組終了の二十四時間以内にゴールしなければならない。まさに局をあげての生々しい拷問。仮に二十四時間以内にゴール出来ないハプニングに見舞われても、ランナーの無念を過剰演出してお涙頂戴という訳だ。私はあまり好まないのだが。
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87 南◆QyhO
【思いっきり生ですよ!増刊号】のスタジオでは、羽振りよくファブリーズの原液でモップ掛けが行われたり、大量の塩が闇雲に撒かれたりもした。しかし、それでもなお中田氏の憂いとその残香を完全に消せすことは出来なかった。ほんとうに強烈過ぎるからだ。

中田氏の不思議な粘液を目撃した女子アナは、思わず顔面を歪めて苦悶の表情を浮かべた。そして朦朧とする意識のなか、昨晩彼氏と楽しんだローションプレイを連想して薄ら笑いを浮かべたのだった。


「はい!CM明け五秒前です!四、三、二……」
(ID:7xcaPt)
88 南◆QyhO
辛うじて異臭騒ぎから立ち直り、番組は視聴者からTwitterなどで意見を募って議論をしたり、それなりの盛り上がりを見せて終盤に差し掛かかっていた。

鼻をかんで以来、中田氏は頑なに眼を瞑り閉口したままであった。眉間に入った縦の亀裂は、事件に対する中田氏の先の発言、実直な姿勢を鑑みればすぐに答えが出るだろう。

番組中、Twitterで寄せられた若者たちのふしだらな性生活の告白に不満を覚えた中田氏は、それが昂じてもはや憎悪の化身と化していた。訊けば訊くほど公序良俗の破壊活動としか思えない。そして、ついには場当たり的な殺意が芽生えるほど発奮してしまったのだった。

「ほんとうに誰でも良いから殺してやりたい。しかし生だ。ここはなんとか堪えねばならぬ……」
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89 南◆QyhO
そう、やはり生放送で殺戮など言語道断。頑張って堪えるしかない。既のところまできているが、いまはこのまま極限の精神状態を死守するしかない。

そうしてなんとか踏みとどまった中田氏は、番組が終了するとスタッフに一礼して速攻で帰宅。冷めやらぬ殺意を存分に溜めながら夜の訪れを待ち、小金を稼いだその意気で威勢よく吉原のソープランドに出向いたのだった。
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90 南◆QyhO
「集団殺戮!」

中田氏は幼少期から重度の花粉症を患っており、そのストレスも手伝ったゆえの軽はずみな運命だったのかもしれない。それは取り返しのつかない殺意であったと言わざるを得ない。

「集団殺戮!」

有能な泡姫の妖艶なプレイに中田氏は熱狂。ローションかもしれない不思議な粘液の快感に導かれるがまま、そこで呆気なく昇天。無惨にも腹上死という最期を迎えたのだった。


このままでは百年後の日本は人口が4200万人にまで減少するという。

氏の冥福を祈りたい。
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91 南◆QyhO
パンダの赤ちゃん可哀想。

なんのために生まれてきたのか。

よく知らんけど、パンダにはたくさんお金がかかるという話。

なんのために生まれてきたのか。

外交?

よく知らんけど。
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