1 柳生比呂士

【捜索】欠けた弄月。仁王君へ。

「幕を下ろすような厚い雲」
幕裏で秘め事を重ねる内、見え隠れする月の表情にどんな変化が生まれるのか──…新書を結ぶ紐を解く時と同様に心が躍ります。

私自身、君の呟きに同調したという事実もあります。

その紅差し指に絡んだ糸が左右どちらの腕であったか、敢えて伏せる辺りが非常に「らしい」です。
都合の良い男としての立ち位置には定評のある私です。どうぞ、御贔屓に。
6 柳生比呂士
勿論、風化を望んだ君の呟きを掘り起こしてまで手を伸ばしたのは私自身なので当然「帰巣」となる空間の下地が整い次第エスコートはさせて頂きますが──…あまりにも偶然にしては出来過ぎた邂逅に正直なところ戸惑いもあります。だからと言って、半ば強引に絡めた縁……「フと思い出すような存在」という目標も出来た事ですし、早々に根を上げる程心身共にか弱くはありませんので。それなりの御覚悟を。

鍵の受け渡しのみでしたら平日・土日を問わず21時以降、午前0時前までは動けます。私自身、どうも長考傾向がありますのでテンポの良い会話は中々に慣れず申し訳無い…
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4 仁王雅治
不利、其れは御前さんの物差しじゃろう。其処に安堵を覚える俺の様な輩は異形とでも言うんじゃろうか。喩え憑きモノが影に潜んで居ようが祓わずとも何ら支障は無か。

ずぶりと嵌まった脚を引き抜こうと藻掻けば藻掻く程に抜け出せんくなる。一層の事甘受し然も当然と振る舞う方が失うモンは少ない。―…じゃが、其の諭告は心に留め置かせてもらうぜよ。

否、御前さんの考えは興味深い。飲み込まれた言葉を秘め事の一つとし、幕裏でゆるりと聞かせてくれ。掬い上げられた此の手を握り返して紳士にエスコートされるんも良え。

一度落ち合う必要が有ると思うが如何する。都合の良い日や時間帯が有れば教えてくれると有り難い。
3 柳生比呂士
哀愁…、其れはまた若干不利な印象を。ですが、生憎憑きモノを祓う力は持ち合わせていないので其処は徐々に慣れて頂けると有り難い。

駆け引きの中でしか本音を生かす術を知らないとでも言いたげな口振りですが、…囚われ慣れてしまわれぬよう。大事なパートナーを「彼奴はオオカミ少年だから」と万人に指差され孤独に震える姿は決して心地良いものではありませんので──…

この特殊な街で出逢う者が皆、誰かが誰かの都合の良い男なのではないか、と。君に二つ名があるように、この街自体にも二つ名があると私は…──お喋りが過ぎました。君さえ良ければ板への移動を考えているのですが如何でしょう。
2 仁王雅治
何処か哀愁すら漂わせる御前さんの琴線に触れたと言うなら、欠けた月の欠片を集め無くとも互いの其れで隙間だらけの満月を作れそうじゃ。

戯言と称し「らしさ」を脱ぎ捨て溢した先に、絡めた糸に見出だしたんは「らしさ」であり。何とも心地の好い事。

都合の良い男。其れは誰にとって――…と、釘を刺すには至らん指摘を残して。馴染みになる日もそう遠くはなさそうじゃ。