例えば…そう、本当に単純に「例えば」の話だが…
ゲームってのは大抵勝者と敗者がいるものだ。
ここまでは当たり前の話で…

だが、敗者無くして勝者はいないし、勝者無くして敗者はいない。
そうなんだ、勝者と敗者は常にどちらも存在しなければならないんだ。
片方だけのスリッパは存在こそすれど、そこには「違和感」が残る。
そうだ。勝者だけじゃあ駄目なんだ。ではどうか。勝者になったことを喜ぶ理由は…。
勝負で得られるのは勝利か敗北か…それは「喜」か「哀」か…ではないんだよ。
そう、本当にそうなんだ。そうだからね、私は常々ね、物語を作ってきた人間だが勝負事についての物語は作ったことがないんだ。
さてこんな私は変だと思うヤツもいるかもしれない。実際共感されたこともないしされたいわけじゃあないんだ。
ただそれを黙っておくのも悪いと思っていたんだよ、常々。
そもそも…他人からどう思われるかを気にしているようじゃあロクなストーリーを紡げない。
村上春樹がヤクルトスワローズのファンじゃあなかったらここまで人気になっていなかったかもしれない…その可能性があるように世界の可能性を集めても尚確定していないが、私はきっとそうなんだ。
ロクなストーリーを紡げない可能性をそこに秘めているんだ。