Lappの覚え書き
過去ログ26
2022/12/20 10:15
▼TesshoSchmitt Pacemakerのデマンド機構を考える2図1は“1st demand pacemaker”の発振時のコンデンサ―C1の電圧Vcの波形である。
Q1のコレクタ(PUTのゲートに相当)の電圧4.5V(Vcc=9VをR3,R4で2分割した電圧)
にQ2のベース・エミッタ電圧0.6V程度を足した振幅で上下(上5V,下1V程度)している
のが分かる。図2はデマンド機構が動作する時のVc波形(5秒後以降はR波によって
ショートされる)である。Vcはショートされた瞬間ゼロになり,その後充電されていくが,
PUTがonになる前にショートされるので,PUT発振器は発振できない。で,出力は
出なくなる(「inhibitされた」という)。
(ただ,ペーシングパルス発生時のVcの最低値0.9Vとデマンド作動時の最低値0Vは
ほゞ同じであるのがわかる。←このことの意味は,後で明らかになる。)
さて,この予備知識をもとに,Schmitt de PacemakerのVc波形を見てみると,図3の
ように,発振している時は, C1の電圧Vcはヒステリシスの範囲で上下する(74HC14の
場合は2.5V±0.5Vの範囲)ので,Vcは図左の赤波形のようになる。この波形の,
high→lowの遷移領域でパルスを発生している。
図4はデマンド機構をつけたSchmitt de Demand Pacemakerの回路図であるが,ここに
途中から,ペーシングレートより早い周期の心電図が入力した場合,C1はリセットされ,
Vcはゼロになる。発振時の2V→3VのVc波形とは大きく異なる(ここがPUT pacemaker
と大きく違うところである)。このことの弊害を考えてみる。
図5は,5秒後に速い心電図が入力し,さらに10秒後にその心電図が消えた場合を想定
したDemand Pacemakerの応答である。波形の一番上は,ペーシングパルスと心電図を
重ねて表示してあるのは,このレートで心臓は鼓動し拍出していることを意味している。
この波形を見ると,10秒後に心電図が消えて,本来のペーシングパルスが回復するまで
の時間が,それまでのペーシング間隔より長く(2秒位),心臓の休止時間が長くなるという
問題が生じる。これは,中段のVc波形で,心電図でゼロにリセットされたC1電圧Vcが
Schmittが発振するレベルまでにC1R2(s)の時定数で上昇していく時間で,これが通常
発振の周期の2倍ほどかかってしまうためである。このことを解決した回路が図6である。
図6ではリセット用のトランジスターQ2に直列に放電抵抗R6を入れて,ゆっくり放電
すると,心電図R波パルスで放電された時,Vc=2V付近になるように調整して,ペーシング時
と同じ状態にすると,心電図が消失したときに,前のペーシングレートでペーシングパルスが
発振されるようになるのである。
ちょっとペースメーカのマニアックな話になっているが,demand機構を考える上で,
大事な話なので,すこし詳しく話した。
▼Lappこれスゴイよ!女性の電子工作オタク(若干セクハラ気味の表現だが,とっても珍しいので)が主催する
YouTubeチャンネルで,すごいのを見つけた。3極真空管を自分で作って(ガラス管
から)それでアンプを1920年代風に「パン捏ね台(本当の意味でのBread Board)」
の上に再現して,音出しまでしている。1時間近い動画なんだが,見ていて飽きない。
この人のサイトには,このほかに,沢山の「製作動画」がある。他の多くの電子工作YouTuber
の作業場が,ものすごい高価な測定器や工具が並んでいるんだが,彼女の作業場は,
揃ってはいるが,どれもガラクタ寸前で,これもとても好感が持てる。
▼Lappスゴイ女性電子工作オタクの最高峰
https://i.imgur.com/jCOVs26.jpghttps://i.imgur.com/PCzw6Bx.jpg