Write
1 ガルシア

母との約束〜厳しいお仕置き〜

「実花、この前お母さんとどんな約束をしたかしら。」

 一通り説教を受け、自室で母と正座で向かい合う実花は、うつむき、唇を震わせていた。母の質問に答えないのは、何も以前交わした約束がどんな内容だったのかを忘れたからというわけではない。答えることで僅かばかりの執行猶予すら与えられることなくその約束を履行されてしまうからだ。自ら、もはや刑とも言える罰を口に出すのは、小学5年、10歳という年の女の子にはまだ荷が勝ち過ぎているのだろう。

「実花、お仕置きです。お尻を出して膝の上に来なさい。」

 そんな実花の気持ちなど意に介していないのか、あるいは汲んでいるからこその丁寧な物言いなのか、母は静かに、だが確かな圧力を纏った声で実花に判決を下す。
 閉じられた目から涙がこぼれ、膝の上で握り締められた手の、その甲に落ちる。もはや逃れる術はない。すでに母からの圧力に耐える事で精一杯。その健気な心すらもいつ崩れるか分からない状態での宣告に、実花はただ震えて身を固くする事しかできなかった。

「実花……!」

 一度だけ名前を呼ぶ母のそれは或いは、娘に覚悟を促す為の優しさなのかもしれない。実花は手を引かれ、母の膝の上に腹這いになった。同年代の子よりも一回りは小柄な実花は、傍から見れば本人の意思とは無関係に『これからお仕置きを受ける女の子』としてしっくりと絵になっている。
 腰の辺りを強く押さえられ、身動きが取れない。それは同時に今回のお仕置きがとても厳しい物となるということを物語っていた。
[作者名]
ガルシア
(EZ)
2 ガルシア
 普段なら予め回数を教えてくれる。それはおおよそそれくらいの罰で充分だろうと判断されるからだろうが、特に悪い事だと判断された時は、『反省できるまで』が回数となる。そして事の重大さに応じて反省に必要な時間は増えることとなり、それに伴ってお尻をぶたれる回数も増えると言う事だ。

「お母さん……。」

 懇願する様に母を呼んでみるが、返事はない。事前に回数を告げない事でそれは確定的となった。ゆっくりと捲りあげられるスカート、続いて膝まで下げられる下着。母の手が真っ白なお尻の上に置かれた。

「さぁ、お仕置きよ。今日は厳しくします。しっかりと反省なさい。」

 言い終わるのと同時に手が離れる。感覚的にゆっくりとした動作で手を振り上げられていくのが分かる。最後に与えられたその数秒で実花は最後の覚悟を決め体を強張らせる。

「あっ……!」

 乾いた音とほぼ同時にやってくる熱い痛み、少し遅れてジンとした鈍い痛み。

「んぅっ……!」

 それらの痛みに上乗せする様に新たに次の平手が小さなお尻に加えられる。お尻のてっぺんを中心にして全体を数秒の間隔を置き、一定のリズムで母は打ち据えていく。10回を超えた頃には桃色に薄く色付き、頬を流れる涙も増していった。

「あぁっ!くうっ……!ごめんなさい……!」
[作者名]
ガルシア
(EZ)
3 削除済
4 ガルシア
 お仕置きの最中、痛みの中でふいに冷静になる瞬間がある。現実逃避なのか、暗闇に目が慣れる様に痛みにお尻が慣れ、他に意識を持って行くことができる瞬間。ふと目を上げると涙で霞む視界に一体のぬいぐるみが映った。5歳の誕生日に母が買ってくれたものだ。優しい母の笑顔とぬくもりを感じられ、今でもお気に入りの子、『まゆたん』。恥ずかしい話だが夜はベッドで共に眠る程だ。そんな思い出の子が今ここに、自分の腕に抱き締められたらどれほど心強いだろうか。だが勿論それは叶わないだろう。
 母は今までより僅かに力を込めて平手を振り下ろす。再び視界が霞み、意識が痛みに引き戻されてしまう。

「はあぁん!んんっ……うぅ……!!」

 必死に絶えるも宣告通り母のお仕置きは厳しく、緩むことはない。ただただ痛みが増していくばかりだ。思わず体をよじってしまったが、母はしっかりと腰を押さえ付けて放さない。更にそれをたしなめる様にひときわ大きな音を立てて平手が振り下ろされた。

「ああっ!ご!ごめんなさい!!」

 しっかりと反省できるまではぶたれ続ける。厳しい判断を下された以上そう簡単にはお仕置きは終わらない。実花のお尻は段々と赤みが増してきている。しかし厳しくすると言われた以上この程度では終わらない。文字通り真っ赤になるまでぶたれるだろう。

「うあああぁ〜〜ん!!ごめんなさ〜〜い!!ごめんなさ〜〜い!!」
(EZ)
5 削除済
6 削除済
7 削除済
8 ガルシア
 やがて訪れる限界。恥を感じる余裕もなく、泣き声を余所に聞かれるかもという思考力も失われ、実花は目一杯声を上げて泣いた。お尻は痛い。母に叱られて怖い。いつ終わるかも分からず身動きも取れずどうしようもない状況で、もはや声を上げて泣くより他にできる事はなかった。
 そんな実花を見て母は手を緩めるどころか更に力を込めて赤く染まったお尻を打ち据える。限界を超えた所で最も厳しくお仕置きする事で、ある意味実花が耐えやすくし、尚且つ非常に厳しくしたという事実を作る事ができる。

「ごめんなさ〜〜い!!痛いよ〜〜!!うわあああぁぁん!!!あああああぁぁぁんっ!!!」

 言った事は決して曲げない。厳しくするという言葉を体現する様にその最も厳しいお仕置きはそれまでよりも長く続いた。
 お尻をぶつ大きな音と、恥と外聞を捨てた泣き声と謝罪。それだけが実花の部屋に長く響いていた。


「ちゃんと反省できたかしら?」

 最後の一回を打ち据えてからおよそ5分。実花は幾分落ち着いた様だがまだ母の膝の上でしゃくり上げていた。そんな実花を目を細めて見つめ、お尻をゆっくりと撫でる母。そこにはもうさっきまでの怖さも厳しさもなく、いつもの、ぬいぐるみを買ってもらった時の優しい母がいた。

「ごめんなさい……。まま、ごめんなさい……。」
「あらあら……まぁ♪」

 程なくして小さな寝息を立て始める実花。今よりもっと小さな頃、お仕置きの後はいつも母の膝の上で眠ってしまっていた。お仕置きが終わった安堵と、目一杯泣いた疲労と、母の膝の温かさから自然と眠りへと誘われてしまうのだ。
 今日はまた、久しぶりの厳しいお仕置きとなったため、思い出のぬいぐるみが視界に入った事もあいまって昔を思い出してしまったのだろう。
 母もまた、同じ心境なのだろう。下着とスカートを整えると愛しげにわが子を抱き上げ、そっとベッドに横たえた。汗で額に張り付いた髪を払い、ハンカチで汗と涙の跡を丁寧に拭う。布団を掛け、そっと髪を撫でて最後に『まゆたん』を傍らに置き、母は部屋を後にした。
 次に実花が目を覚ますのは、大好きなクリームシチューの匂いを嗅いだ時だろう。

END
(EZ)