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1 理穂子

子守りも楽じゃない!

「なぁ、どっか行こうぜ〜。」

「だぁ〜め。良い子でお留守番してなさいって言われたでしょ?」

日曜日。
私は隣の家のガキんちょ……お子様とふたり、部屋でさほど興味もないテレビを観ていた。

「(…あぁもう、なんで私が……。)」

そう、せっかくの日曜日だというのに。
親達から押し付けられた子守りのおかげで、どこにも外出できずにいる。

「なぁ、外行きたい〜。」

「だめです。」

「ケチ。」

家の中でも手がかかるのに、外になんて連れて行ったらとても身がもたない。
そう判断した私が今日は部屋で過ごすことを提案したのだが、やはり素直に聞き入れてはくれず。
本当なら、小学生なら一人で留守番くらいできるでしょうがと言ってやりたいところなのだが。
昔はこちらが向こうの親に世話になっていたため、そうやって投げだすわけにもいかない。

それにしてもだ。

「あ〜あ、つまんね〜の。」

「(……ホント、生意気…。)」

近頃の小学生というのは、こうも礼儀がなってないものなのだろうか。
怒りを通り越して心配になってくるほど、一挙一動から注意したくなった。
[作者名]
理穂子
(PC)
2 理穂子
ほどなくしてチャンスはやって来る。
どう言えば素直に聞いてくれるのかと頭を抱えていた折、彼が玄関近くでコソコソ動いているのを見つけた。
もしも勝手に外出されてはかなわない。
そう思った私がとっさに放った一言は、自分でも焦っていたのがわかるくらい場にそぐわない内容。

「コラ、勝手に外へ出たらお尻をペンペンするわよ。」

我ながら、体もそこそこ大きな小学生相手にお尻ペンペンはないだろう。
また生意気を助長させてしまうのも覚悟していた。
「馬鹿じゃね〜の」と一蹴されて終わるに違いない。
そんな私の予想を良い形で裏切ってくれたのが、彼の反応だった。

「…で、出てね〜し。」

「(……あら?)」

表情がほんの一瞬曇ったことを、私の目は見逃さなかった。

「…そ、そう。それならいいけど。もう玄関の方には来ないでね?絶対外には出ないって約束して。」

「……わかった。」

「(…どうしたのかしら?さっきまであんなに生意気だったのに…。)」

すごすごと部屋に戻っていく彼。
私はこれまでとの豹変ぶりに驚きながらも、その原因を冷静に考えていた。

「(あの子、もしかしてお尻ペンペンされるの怖いんじゃ…?)」

あれだけ好き勝手に振舞っていた生意気な子が。
弱点を一つ見つけるだけで、ずいぶんと可愛く思えてしまうものだった。
(PC)
3 理穂子
しかし、部屋に戻ると生意気ぶりはすぐに復活した。
退屈だ、お腹が減った、部屋が狭くてつまんない。
どこかの貴族のような我侭っぷりに、さすがの私も腹が立ってくる。

「(…ホントにもう〜。一度、思い知らせてやろうかしら?)」

ただ腹は立っても、そんな程度で手をあげるわけにもいかず。
親達の帰りを待つ間どうやって気を静めようかとばかり考えていた。
彼はそんな私を見て、つい油断したのだろう。
ついやってはいけないことをやってのけてしまったのだ。


「お風呂場の窓から出ようだなんて、危ないにもほどがあるわ!」

「…だから、まだ出てね〜し。…窓のところ乗ってただけじゃん。」

「……そんな屁理屈はなし。」

玄関がだめなら一階どこかの窓から飛ぼうと考えたらしい。
あまりの浅はかさにうっかり許してしまいたくなったが、もしケガでもされたらどう責任をとればいいのか。
今後の彼の態度にも影響すると考え、少し強気でいくことにした。

「約束だからね、お尻をペンペンするわよ。」

「で、出てね〜って言ってんじゃん!」

「出ようとした時点で約束破ったじゃない。…さ、何回にする?二十回?三十回?男のコなら百回くらいにしないと反省しないかな?」

「…ホントに、やるの……?」

「当ったり前でしょう。…嫌なら、お母さんに言って怒ってもらおうか?」

母親の名前を出した途端、彼の表情は一気に沈んだ。
想像するに、"お母さんのお尻ペンペン"が相当怖いと見える。
ここまで効果的ならば最初から脅し文句として用意しておいてほしかったと、今さらながら思ってしまう。
(PC)
4 理穂子
「さ、こっちおいで。」

目線を合わせるためしゃがんだ私のところへ、彼はとぼとぼと歩いてくる。
観念したのかその目には既に涙のようなものが浮かんでおり、少々可哀想にもなってしまうがここで甘やかしては意味がない。
体を固定するため背中に手を回そうとすると、彼は思わぬ行動に出た。
目の前でくるりと後ろを向き、パンツごと下にするりと落としてみせたのだ。

「(あ…、脱ぐんだ?)」

そして剥きだしになった小ぶりの白桃のようなお尻を無言で私に差し出す。
母親に怒られる時はいつもそうしているのだろう。

「…お母さんにはいつも何回叩かれるの?」

「……わかんない。」

「わからないことないでしょう。もしウソついたら百回にするわよ?」

「い、いっつも違うからわかんないんだって!十の時もあるし、二十の時も……。」

「それは少ない場合よね?すごく悪いことした時は?」

「…窓に立ってただけじゃん……。」

「何回なの!?」

「ご、五十…………から、七十…くらい。」

「七十ね、わかった。」

「………!!」

「あと少し遅かったら、百になってたかもね。いくわよ〜?」

彼が身をすくめるよりも一瞬早く、私はそのお尻めがけて平手打ちをお見舞いしてやった。
(PC)
5 理穂子
「五!……六、……七、……八、……九、……十っ!」

ぴしゃり、ぴしゃり、ぴしゃりと一定の間隔をおきながら、お尻の肉が厚そうな部分を狙って叩いていく。
子供だから手加減はしているが、懲りなくては意味がないので甘やかすことはしない。
叩く私の手も適度に痛くなるよう調節しながら。
全く同じ強さではメリハリがないだろうと考え、五回おきにかなり強めの平手打ちを入れている。
反射的に伸び上がる彼の背筋を見るに、相当効いているはずだ。
三十を過ぎるころには、彼のシクシクとすすり泣く声が聞こえてきた。

「泣くくらいなら、初めからいい子にしてなさい!……三十三、……三十四、……三十五っ!」

「…だって、だってぇ〜……。」

「……三十九、……四十っ!」

「痛ぁい〜!!」

「七十叩くまでやめないからね。……四十三、……四十四、……四十五っ!」

「……うわぁぁ〜ん!!」

「……四十八、……四十九、……五十っ!」

すっかり赤くなったお尻を見ると、もう十分ではないだろうかとも思った。
それでも心を鬼にして叩いたのは彼のため。
間違っても泣けば許されるなどと勘違いしてほしくないのと、彼の中で絶対である母親の躾を揺るがすわけにはいかない。

「……五十七、……五十八、……五十九、……六十っ!!」

腫れあがったお尻をなおも叩き続けるというのは心が痛んだが、細心の注意を払いながらそれでも痛そうなところに平手を落としていく。

「……六十四、……六十五っ!!」

七十を叩き終えようとするころには、叩く私の方もびっしょり汗だくになっていた。

「……六十七、……六十八、……六十九、……七十っ!!」

最後の一つを打った瞬間、私の中にもなにか熱いものがこみ上げてくる。
私は彼を抱き起こすと、それを悟られないようぎゅっと抱きしめて諭すことにした。

「……もうしない?」

「………ひぐっ、……しない……。」

「そっか、…約束だぞ?」

両手でパンツを途中まで引き上げてやると、それを恥ずかしそうに静止して自分でやるといい始めた。
この元気があれば大丈夫だと静観してはみたものの、やはりお尻が痛いのか歩き方もどこかぎこちない。
少々やり過ぎたかと帰ってきた親御さんに謝ったところ、逆にお礼を言われてしまった。
「あの子のためにありがとう」だそうだ。

たまには子守りも悪くない、かな。
もちろん彼の方が望むとは限らないけど。
(PC)
6 あいり
最近体罰やらで叩く事が少なくなってきた
よその子を叱る親が少なくなってきた
いいねぇ もっと増えて欲しいな
(PC)
7 たい
良いですね。
シチュエーションや描写等興奮しました。
(docomo)