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1 裕香

お隣さん家のわんぱく坊主

「はぁ…、やぁーっと捕まえた」

週末の昼下がり、また家に侵入者があった。
とは言っても物騒な話ではなく、お隣さんのわんぱく坊主が勝手に上がり込んできただけ。
彼は私の驚く顔を見るのが楽しいらしく、たびたびイタズラを仕掛けてくるのだ。

「今日はなに?その水鉄砲でも使うつもりだった?」

私には子供がいない。
欲しい欲しいと思っているうちに齢を重ね、最近ではもうどちらでもいいかと思うようになってきた。
だって…、この和輝クン以上に可愛い子なんていないもの。
そう、私はお隣さん家の男の子にゾッコンなのである。
[作者名]
裕香
(PC)
2 裕香
「痛ぁい、やめてよぉ!」

夢中だからと言って、特別彼を甘やかしている訳でもない。
今度家の中まで勝手に入ってきたら、縁側でお尻を叩くと約束してあった。
約束通り私は、陽の当たる縁側で和輝クンのお尻をひん剥いて、パチッ…、パチッ…、と叩き始める。
戒め程度なのでさほど力は入れていないが、肌が敏感な子供のお尻はすぐに薄いピンク色に染まっていた。

「もうしない?」

「…うん」

「じゃあ、あと十回」

そこからは気持ち強めにピシャピシャと、打つたびにぷるんと震える小さなお尻をお仕置きしてやった。
可愛すぎる。
これで反省して泣きついてこようものなら抱き締めて添い寝してやりたい所だ。
しかし彼は私が許してあげると、

「今日は失敗、また明日だ!」

と元気に飛び出していくのだった。
(PC)
3 裕香
私と和輝クンのおかしな間柄は、一年ほども前から続いている。
彼も最初はあそこまでのイタズラ好きではなかったはずなのだが…どういう訳か、突然私をターゲットに定めたらしい。
変顔に始まり、後ろからの大声、多分意味もわかっていないセクハラお尻タッチ…段々とエスカレートし、遂には家に侵入してくるまでになった。
これはさすがの私も、やめてねと再三注意を続けたのだが効果は見られず。
半年ほど前、「次やったらお尻をペチンだよ!」と叱ったのがいけなかった。
和輝クンはこれを、大人の私が遊びに応じたと思ったようである。
罰ゲームの付いた、イタズラごっこ。
違うといくら言っても聞いてくれない。
最近では私も考え方を変える事にした。
イタズラを無理に禁じないかわりに、それなりの報いを受けてもらうのだ。
結果、最終的には色んな形でお尻ペンペンの刑となっている。
まさか顔を叩く訳にはいかないが、お尻くらいならと彼の母親にも同意を得られた。
それくらいのわんぱく坊主だという事だ。
(PC)
4 裕香
数日経った夕方、私は和輝クンの自宅で待っていた。
これも約束である。
どうしても、私が叱ったところで効かないほどの悪さをしでかした時には。
私の目の前で…、和輝クンが母親にお尻を打たれる所を見せてもらうと。
平たく言えばそういう話だった。
もちろん私から提案した話ではないが、いつもと違って怯えた様子の和輝クンもまた可愛い。
よほどお母さんの存在が怖いのだろうか?

「すいません、お待たせして」

しばらく待っていると、和輝クンの母親が帰ってきた。
少し前に携帯に連絡したのだが、どうやら買い物の途中だったらしい。
申し訳ない事をしたかなと気を遣ってしまったが、どうやらその怒りは和輝クンに向いたようだった。

「和輝あんた、お疲れで寝てる所を無理やり起こしたそうね?」

じつは今日の悪戯、うとうと寝かけている状態の私に背後から襲いかかってくるというなかなかに心臓に悪いものだった。
いや問題はそこではなくて、確か鍵のかかっていた玄関をスルーして別の場所から入ってきた事なのだが。
これを常習化させてはさすがにまずい。

「子供の間は何してもいいけど、ひと様に迷惑だけはかけるなっていつも言ってんでしょうが!!」

私の中途半端な叱り方と違って、かなりの迫力だ。
本物の母親ってすごい。
礼儀正しい感じからすぐに豹変するのを見て感心してしまう。

「ほら、さっさとお尻だしてこっち来る!」
(PC)
5 裕香
「痛ったぁーい!あぁーん」

パァン…!パァン…!ピシィン…!!
威力が違う。
最初の数発だけでもうわかってしまった。
肩と水平近くまで振りあげた腕を、和輝クンのお尻めがけて一気に振りおろす。
パッシィン!!

「痛い、痛いよぉー!」

和輝クンが怯えていた理由がわかった。
これはもはや折檻である。
一発二発でまぁるいお尻の山に、母親の掌の形に赤い痣が浮かんでいく。
それが何重にもみるみる折り重なって、まるで紅葉のようでもあった。

「泣くくらいなら最初からイタズラなんてしない!!」

パァァン…!パァァン…!パシィン!…パァン………
とめた方がいいかな?
いやでも家庭のやり方だし…、怯えてたって事は前にもされてるはずで。
いつもこれくらいがお仕置きだったのなら、そりゃあ私のじゃ効かない訳だ。
お母さんに叱られたら、少しは懲りるかもと思って告げ口したけれど…これじゃ嫌われちゃったかな?

「ごめんなさい…、ごめんなさーい!!」

「まだまだ、あと半分っ!!」

そこから和輝クンは母親に延々お尻を打たれ続け、真っ赤に腫れたという表現では足りないくらいの見事なお尻になっていた。
残り半分と言いながら、三倍近くは叩いたのではないだろうか。
彼にとっては母親の性格がアバウトすぎたのが運の尽きである。
(PC)
6 裕香
「…だ、大丈夫……?」

優しく触れるのすらためらうほどすっかり腫れたお尻。
しかし和輝クンは母親が居なくなった瞬間、すぐに悪態をついていた。

「…くっそー、鬼ババァめ…」

「お、鬼…?」

どうやら見た目ほど懲りてはいないのか、この様子なら大丈夫だと安心できる話し方だった。

「今日は負けた、もうパワー切れ…」

「い…、痛くないの?」

「…え、あんまり?」

どうやら半分ほどは泣く演技だったようだ。
強がっている部分もあるように見えるが、見た目ほどというより全く懲りていない。
いつもの和輝クンである。

「じゃ私も、明日からはこれくらいしないとダメかな?」

「え、いや…そういうのはいいよ」

「なんで?」

「いや、だって…」

やっぱり少しは痛かったんだ。
ほんとに可愛い。
痛みに強いという事もわかった所で、お仕置きの素振りでイメージトレーニングをしてみる。
それを見ていた和輝クンが、しまったなと言いたげな顔をしたのも見逃さない。
そうだ、彼がちゃんとした大人になるまでは、私がしっかり躾けてあげないといけないんだから。
口には出さないけれど、心に誓った私だった。
(PC)
7 綾音
何歳のわんぱく?
(EZ)