私から手を離した鶴/丸/殿

あなたは此方をご覧にはならないかもしれない。私の顔など見たく無いかもしれない。その隣にはもう他の御方が居るかもしれない。
全て承知の上で一度だけ捜索させて下さい。

未だに忘れられぬと言えばあなたは困るのでしょうな。ですが、隣で過ごした刻と同じ程時間が流れようとも胸の内に燻るのはあなたへの想い。皮肉にも離れ刻が流れる程に強く自覚してしまう。結局、面影ばかり追い誰とも並ぶ事は出来なかったのです。伸ばす手はもう遅過ぎるかもしれません。…ですが、後悔はしたくない。お慕い申し上げております今もまだ。叶うならあなたの腕の中へ今一度戻りたい。
最後に足掻く事を御許し下さい。

長月の初日に指輪を頂いた
互いの名を取った白の飼い猫
私とあなたの組み合わせは多いでしょうから二人にだけ分かる鍵を。…一縷の望みに賭けて御待ちしております。