桜が咲く時

来てくれたのかい?弟の……………膝\丸。大丈夫、ちゃんと覚えているよ。
まだ寒い日が続くね、お前は人の体を元気に保っているかい?僕の体はどうやら寒さに弱いというやつらしくてねえ、お前が抱いていてくれたらこんなに春を待ち望まなくてもいいかもしれないなあ。

初めから思い人になれなんて言わないさ、ただ双剣で居られる場所があったらと思ったんだ。人の心でなくとも、お前にはそう思わずには居られないのかも知れないねえ。お前はどう思う?ひ……ありゃ?まあここでは互いに条件を照らし合わせる習わしがある様だね、豪に従ってみようか。

・背後の主が女であり、年の頃二十七以上であること
・京の町近辺住み優遇
・帯、線いずれかのやり取り
・機動がそれなりにいい
・斬ること以外に趣向があること
・人の体を、人生というやつをそれなりに楽しんでいるといいなあ
優遇、というやつを付け足しすると…一日にやり取りが複数あるとお前の名前を忘れないで済むから、兄の部屋に沢山来てくれると嬉しいよ。それと出陣時は身なりを気を付けられる者であると良いよね。ありゃ、釦を掛け違えてる?あはは、お前が直しておくれ。
僕の趣向を少し語っておくよ。気質は見ての通りさ、緩いと良く言われる。争い事は好まないけど、合わないものは鬼だろうが斬っちゃうよ?
柵の外の世界はいくつか主に見せて貰ったから、知っているものがお前と重なれば尚楽しいだろうね。そんな話も交えられたら良いね。なので暈しというやつは薄めで。言葉を重ねるけど、緩いらしいのでお前の好きにしておくれ。

さてお前に綴る思いを大事に考えていたらこんな夜更けになってしまったね、そろそろ休もう。
こんな僕とでも春を待ちたいと思ってくれた弟だけ兄の元へ来ておくれ。縁側で待っているよ、声を掛けてくれたのなら兄の部屋へ案内しよう。それじゃあね。


桜をこの目に映す時、お前の姿も在れば春は一層暖かく感じられるのかな。