【専門職が回答する】在宅医療・介護のご家族向けお悩み掲示板
1 匿名希望

「痛い」を繰り返す母

70代の母についてです。父が亡くなり母は今一人暮らしです。母は骨が弱くてよく骨折し、そのたびに入院していました。私もなるべく通うようにしているのですが、母はいつも「痛い、痛い」と言っています。
病院へ連れて行っても、「骨折ははっきりしません」と言われて痛み止めだけ出されます。
筋肉や骨を強くする運動を勧められましたが、母は運動が嫌いですぐに「痛い、痛い」となってしまいます。最近は何でもネガティブになりすぐに泣きだします。そんな母を見ていると正直いらいらして怒鳴りたくなります。この先、どうやって接したらよいのでしょうか。
2 安間章裕(ケアエコDr.)
こんにちは。この度はご質問ありがとうございます。
ケアエコ代表医師の安間と申します。
お母様の痛がるご様子を見ているのはさぞお辛いでしょう。
きっと相談者様がお母様を大事に思っておられるからこそ、余計にお辛いのだと思います。
正直に申し上げますと、「痛み」は完全になくすことは難しく、上手にお付き合いしていくしかないことも多いのが実情です。
痛みは、骨折や打ち身といった身体的な異常だけでなく、脳や神経、心の異常、はては「スピリチュアルペイン」と呼ばれる、生きているからこその苦悩から来る痛みまであり、とても根深いものだと感じます。

とはいえ、お母様の病状についてあくまで一般論にはなりますが、医師の立場からはいくつか考えられることはあります。
ご高齢の方のあちこちの痛みで考えられる病気がいくつか知られています。

代表的なのは関節リウマチです。自己免疫といって、自分の免疫細胞が誤って自分の関節を攻撃してしまい、関節が腫れたり熱を持って痛みます。
若い女性に多いのですが、ご高齢の方に発症するタイプのリウマチもあります。

あとは、これも似た病気ですが、「リウマチ性多発筋痛症」といって、これも自己免疫の病気ですが、やはり体のあちこちが痛くなる病気です。
これらの病気は通常お熱が出ますが、お母様ではどうでしょうか。

あとは、「線維筋痛症」という病気があります。これは、やはり体の色々な部分が痛くなるのですが、まだ原因はよく分かっていないのです。難しいのは、検査で調べても異常が出てこないので、なかなか診断できないことです。
一般的には40歳代で多いとされていますが、ご高齢の方でも発症する方はおられ、私も何名か診察したことがあります。
お母様も、もし病院で異常がないと言われているのであれば、一度この病気を考えてみる必要はあるのかなと思いました。

その他にも、病気から来る痛みの原因がありますので、一度痛みに詳しい内科(リウマチ内科など)へかかられてはいかがでしょうか。
線維筋痛症の場合は精神科・心療内科で対応してくれる場合もあります。

先ほども申し上げましたが、痛みはなかなか難しい問題です。
これでお母様の痛みが良くなるかは分かりませんが、何とか解決につながれば嬉しいです。