PR:一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる「実話怪談」入門
1 aaaca

バックパッカー

もう24年前の話になります。ニュージーランドにワーキングホリデーでバックパッカーを利用して安い宿に宿泊していました。

日本の旅館などのように、おどろおどろしいような雰囲気ではなかったので、それまで怖いとは思いませんでした。

ある日、予約なしにバックパッカーに宿泊した時、最初スタッフに、部屋の空きはないと言われました。他を探すにも、すごく疲れていたため、どんな部屋でも構わないと言ったところ、それなら部屋はあるよと言われました。

案内された部屋は、メインの部屋のあるところから離れていました。離れのようで、隠れ家的でむしろ良かったと喜んでいたのですが、何か様子がおかしいなと感じました。

それが、何なのかよく分かりませんが、誰もいないはずの部屋に何か、いたのではないかと思いました。

その日の夜、普通だと、バックパッカーは賑やかなのですが、私の部屋はすごく静かでした。今夜は熟睡できると喜び、寝る支度をし、寝ようとしました。

私はその時、ヒッチハイカーで、海岸線をまわる旅をしていたのですが、なかなか車が捕まらず、ひどく疲れていました。なので、寝れるだろうと思っていたのですが、なぜか眠れませんでした。


部屋は静かで、ここが本当にバックパッカーで他の建物には大勢の人がいるなんてことが嘘のように、シーンとしていました。

その静けさが、何だか、怖いと思ったのです。何かいる気配がしました。しかし、誰もいないはずです。あまりにも静かなので、一度チェックしました。誰もいません。メインの部屋のある建物への通路は狭く、暗く、昼間見たときは人がいないから照明はつけてないんだと思いました。

私は気味悪く感じたので、人のいるメインの部屋の方へ行こうとしました。通路にあるだろう、照明のスイッチを探しますが、ありませんでした。その恐怖もあり、手探りでメインの部屋へ行こうとしました。

そこで、大きな女性のポスターを見ました。昼間は部屋が暗くて見ていなかったかもしれません。特に気にも留めていなかったのですが、部屋の光の影響なのかは分かりませんが、そのポスターに光が当たった時、その写真の女性の顔がはっきり見えました。


それは、舞子さんのポスターでした。白い顔と特殊なメイクで、昼間見たなら、きれいだなと思ったことでしょう。その時は、その舞子さんは、下からこちらを見上げていました。それは、ポスターなどとは思えない、現実味のある顔で、とにかく怖かったです。

私は、走り出しました。バックパッカーから歩いてすぐに海岸がありました。時間帯は朝方になっていました。薄っら明るい海岸に向って私は走りました。とにかく、あの息苦しい空気から逃れたいとの思いで走り、海岸についたとき私は、自分の部屋のあった場所を見ました。

そこには、誰もいないはずの部屋に白い服を着た、白髪の女性が窓に立っていました。私は立ちすくみました。その人は私の方を見て、そして、手を振ったのです。

あとから聞いた話ですが、そのバックパッカーは出るという噂があったようでした。しかし、それがどの部屋なのかは、わかりません。