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1 無名さん

図書館のトイレ

数年前、転職活動をしていて、勉強するために仕事が終わった後に地元の図書館に通ってました。
8時まで開館している市立図書館ですが、田舎なもんで仕事後に行くと人がまばらです。
そこの図書館のトイレは凄く音が反響するトイレで、夜は人がいないのもあり、本当にシーンって音がうるさくて、なんとなく居心地は良くなかったです。

その日もいつものように図書館行ってトイレに入ったら、珍しく個室のドアが閉まっていました。
普段この時間のトイレに人がいることがないので、珍しいなーと思いながら隣の個室に入りました。
個室で用を足してるとき、ふと下のドアの隙間を見たら、小さい女の子の赤い靴が見えたんです。
その瞬間、いつもはうるさいぐらい聞こえるシーンって音すら聞こえない、全ての音が吸収される完全な無音になって、なんともいえない感覚ですが、違うとこに来ちゃったって瞬時に理解しました。
その間の記憶はほとんどないです。

ドアの留め具の隙間だけは見ちゃダメだって気持ちでいっぱいだったのは覚えてます。
本当に一瞬靴から意識が離れた瞬間、音が戻って靴もなくなり、元の世界に戻ったのに気づきました。

慌てて個室を出たら、隣の個室はまだ閉まってました。
人がいたことに少し安心したんですが、ふと、トイレに入ってから今までその個室の中から一切音がしないことに気づいて。
こんだけ音が反響するトイレで、僅かな布ズレすら聞こえない。
本当に人がいるのかなって急に不安になり、慌てて逃げました。
特に後日談はないんですが、この話を友人にして、気のせいだよーって励ましてもらってるとき、そういえばトイレの隙間って靴見えないぐらい狭いよねって気づいてしまったぐらいです。