1 熟年妄想族

高校教師 第二章

比嘉は沖縄県の県立高校の体育の教師である。また学校の生徒指導部でもある。
沖縄県教育委員会の研修で二泊三日で各高校から二名が参加し研修を受ける。昔と違って最近は生徒を指導するさいに暴力は当たり前だが触ることさえ禁止である。何でもかんでもハラスメントとされるので講習を受けないといけない。
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2 熟年妄想族
part 1

しかし戻るべき部屋の方向へ視線を向けた途端再び鼓動が激しくなるのを感じた。何故ならばそこには見慣れた人影が立っているからだ。
「……!?」
思わず目を見開く比嘉。そして次の瞬間には大声で叫ぶことになるだろう。
なぜならその正体はまさしく今現在最も顔を合わせたくない相手だったからである。
「どうしたんですか? 寝れないのですか?」
優しくも威厳のある低い声色で問われる。恐らく偶然通りがかっただけなのだろうがタイミングとしては最悪以外の何ものでもない。
「きっ……喜友名先生!!」
予期せぬ出会いに戸惑うあまり言葉遣いまでもおかしくなってしまう始末である。
「ハハハ。そう驚かないでくれたまえよ。ちょっと一服」
笑いながら近づいてくるその姿を見るとますます混乱してしまう比嘉であったのだが……
「ちょうどよかった。少し話でもしよう」
肩越しに言われて反射的に拒否することなどできないわけで仕方なく頷くしかないのであった……
(こんなことならさっさと部屋で抜いてしまえばよかった) 後悔してもすでに遅しという状況であることを悟ったのであった……。
喜友名が提案した場所というのは庭園奥にある小さなベンチのことだった。
「ここは夜になると涼しくて良いんですよ」と勧められるままに腰掛けてしまう。
木製のそれはギシリときしんだ音を立てたが気にせず体重を預けることにした。
沈黙の中最初に口を開いたのはやはり彼の方だった。
「実は私は君に興味があってね」
唐突な告白にビクリと身構えてしまうものの続けて発せられた台詞を聞けば納得せざるを得ないものだったのである。
「比嘉さんは空手部の顧問ですよね。実は私はあなたの腕前についてずっと注目しておりましてね」
「そ、そうなんですか!?」
驚きと共に緊張感も高まってきたことであろう。
それも当然といえばそのとおりだろう。なにしろ憧れている人の口から直接賛辞めいた言葉が出てくるのであれば誰だって嬉しいと思うに決まっているだろうからだ。
月明かりが庭園の池に落ちて銀色の波紋を作り出している。ベンチに腰掛けた二人の間に漂う静寂を破ったのは喜友名の柔らかな声だった。
「比嘉先生、君の指導方針について是非とも意見を聞きたいんだが」
「私の指導……ですか?」
比嘉は戸惑いながらも、咄嗟に空手の話題に切り替えられて少しばかりホッとする自分がいることに気づいた。喜友名は微笑むと、ゆっくりと頷いて言った。
「ああ。君の学校の空手部は君が顧問になってインターハイで優勝候補にまで上り詰め今年の全国大会で優秀な成績を収めた。私も長く現場に立ってきたからこそ感じるものがある。君のような若者の成長ぶりを見るとなおさらね」
喜友名の言葉は丁寧だがどこか含みを持っているような感じがした。比嘉は慎重に言葉を選ぼうとしたが、その視線には何か惹かれるような強さがある。
「ありがとうございます。私の場合、生徒たちとの距離感を大切にしています。技術だけでなく、メンタルケアにも力を入れています」
「ほう……具体的にはどんなことを?」
「例えば基本動作の練習では繰り返しではなく、生徒自身が目的を見出すように促します。型稽古よりも組み手形式を取り入れることで、互いの力量を客観的に測れるようにしているつもりです」
喜友名は感心したように首肯しながら聞いていた。その瞳には深い知識と情熱が宿っている。比嘉も自然と語気が熱を帯びてくるのを感じていた。
「それは素晴らしい。私が若い頃はもっと厳しいスパルタ式だったからね。現代の生徒には合わないと思ってはいたが……君のやり方は理にかなっていると思う」
「いえいえそんな……喜友名先生のお話をお伺いできる方が貴重です。ぜひご教授いただければ」
比嘉がそう言うと、喜友名は苦笑しながら右手で顎を撫でた。
「教授など恐縮だがね。まぁ……私からすると君は『器用すぎる』んじゃないかと思っているんだが」
「器用……?」
思わぬ言葉に比嘉は怪訝な表情を見せた。喜友名は静かに続けた。
「技術を教え込むよりも人間関係の構築の方が得意なんじゃないかね? 生徒一人ひとりをよく見ている。空手の技術以上にそれを磨いているように感じてね」
「それは……そうかもしれません。ただ……」比嘉は言葉を濁した。
「ただ?」
「私の場合は……性格的なものですので。指導法とまでは言えないと思います」
喜友名はじっと比嘉の顔を見つめた。月明かりの中でその表情が一層神秘的に見える。彼はフッと笑うと言った。
「そういう謙虚さも美徳だがね。ときに……比嘉先生、あなたは『素直だ』と言われたことがありませんか?」
「……」
比嘉は言葉に詰まった。素直さ。それは比嘉がこれまで避けてきた評価だった。教師であり大人である自分にとって弱点となり得るもの。
だが同時に??それが時に最大の武器となることもある。
(PC)
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part 2

「素直かどうか……わかりません。ただ、本心を隠すのは苦手だと思います」
「そうでしょう。私も同類ですから」
喜友名は軽く目を細め、その視線に込められた意味に比嘉は背筋が粟立つのを感じた。これは単なる空手談義ではない。明らかに別の意図が絡んでいる。
喜友名はゆっくりと身を乗り出し、低く囁くような声音で言った。
「素直であるということは……時に怖いことでもありますよね?」
「怖い……ですか?」
「ええ。真実を暴かれることもありますから」
喜友名の口元に浮かんだ微笑が不気味なほどに魅力的だった。比嘉は喉仏を上下させながら答えた。
「私は……別に暴かれて困ることはありませんが」
「本当に?」
喜友名の瞳が暗闇の中で妖しく輝いたように見えた。比嘉はその視線を捉えられず目を逸らしたが、それがさらに追い詰められている証拠でもあった。
「君は……男に興味がありますよね?」
突然放たれた直球の問いかけに比嘉の全身が硬直する。まさかここまで核心を突いてくるとは思っていなかった。
「何を仰っていますか……」
否定しようとするが声が震える。
「否定しなくていいですよ。私はそういう人間が嫌いではありません」
「喜友名先生……」
「風呂場で私を見ているあなたの視線もそうですし玉城から少し聞いています。あなたがそういう傾向があることもね」
(玉城先生が!?)
比嘉は目の前が暗くなるのを感じた。一体どこまで情報を共有されているのか。喜友名の狡猾な手腕に圧倒される一方で、自分自身もまたこの状況にどこか期待しているのかもしれないと疑念が芽生え始める。
喜友名はさらに身を寄せ、耳元で甘く囁いた。
「安心してください。私は秘密主義者ですからね。誰にも言いませんよ……ただし条件付きですが」
「条件……?」
「簡単なことです。私の言う通りにしてくれたら良いのです。君ならきっと楽しんでいただけるはずです」
喜友名の指が伸びてきて比嘉の手の甲に触れる。ほんの一瞬触れただけなのに電流が走ったような衝撃を受けた。
「私が求めるものは一つだけ……比嘉先生のその肉体の可能性を試させていただきたいのです」
「肉……体?」
「もちろん無理強いする気はありません。ただ……君の隠された才能に惹かれて止まないのですよ」
喜友名の瞳は比嘉の心を見透かすようで恐ろしい。しかし同時に抗い難い魅力を放っていた。理性が警鐘を鳴らし続けているはずなのに、感情の部分では喜友名への興味を抑えきれなくなっている。
「私……は……」
言葉が出ない。思考が麻痺しそうになっていた矢先??
「あぁ〜? そこにいたんですね?」
突如響き渡った声に跳ねるように振り返る。暗闇の中から現れたのは??
「おいおい。何だこんな時間にこそこそと」
そこにいたのは玉城教頭だった。
(くそ……最悪のタイミングで……)
「やぁやぁ、こんな時間に何をしてるんだ?」
月明かりに照らされた玉城教頭の赤らんだ顔を見て、比嘉は一瞬凍りついた。アルコールの匂いが鼻腔を刺す。酔った勢いで出歩いたのだろう。
「比嘉先生が眠れないそうで、少々お話を」
喜友名の穏やかな声が答える。いつの間にか玉城と喜友名の間に自然な距離ができていた。まるで仲のいい知り合いのような空気感に比嘉は困惑する。
「ふぅ?ん。眠れねぇってことは溜まりすぎてんじゃねえのか?」
玉城はガシガシと頭を掻きながら近づいてくる。酒臭い息が吐き出され周囲に広がっていく。
(まずい……この人はどこまで察しているのか)
「まあまあ。玉城先生もいかがですか?」
喜友名がベンチのスペースを開けると玉城は豪快に腰を落とした。
「いやぁ〜悪いなぁ。でもちょっと飲みすぎたかもなぁ〜」
酔っ払い特有の曖昧な口調に比嘉は違和感を覚える。
玉城はちらりと喜友名を見て意味深に笑いかけた。
「喜友名先生よぉ、あんまりいじめちゃ駄目だぜぇ?」
喜友名は何も答えずに薄く微笑んでいる。その含みのある視線が比嘉に向かう度に胃の底が冷えていく気がした。
「玉城先生、喜友名先生とはそんなに仲がいいんですか?」
耐えきれずに問いかけると、玉城はニヤリと歯を見せた。
「ああ。お互い趣味が合うんでね」
「趣味?」
「ああ。楽しいこと全般ってやつかなぁ?」
「いやいや気にしないでくれ。お前さんもお仲間なんだろ?」
「お仲間……?」
「そうだ。俺達と同じ穴のムジナってやつだ」
比嘉は頭を抱えたくなった。完全に取り残されている感覚に襲われる。
「比嘉先生」喜友名が改まった調子で口を開いた。
「私たちがどういう関係なのか想像できますか?」
「えっと……それは……」
言葉が詰まる。喜友名と玉城の間に漂う雰囲気は確かに普通ではない。それでも認めたくない何かが胸中で渦巻いていた。
「隠すことないんですよ」玉城が笑い飛ばす。
「俺達はバイセクシャルでな。要するにお互いに好意を持ってるってことさ」
「……」
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part 3

脳内で理解が追いつかず固まってしまう比嘉。喜友名が穏やかに付け加えた。
「セックスフレンドでもあります。お互い性欲が強くてね」
「セッ……」
単語を口にするのも躊躇われて喉が詰まる。玉城は楽しげに喜友名の肩を叩いた。
「そうだぞ。喜友名先生ったら上手いんだよな〜。俺なんかすぐ果てちまうんだ」
「ふふ。あなたも十分に巧みですよ」
二人の親密なやりとりに眩暈がしてくる。しかも自分の上司と喜友名先生がそんな関係だったとは。
「待ってくれ……一体いつから」
掠れた声で尋ねると玉城がケラケラと笑い出した。
「結構前からさ。俺があんな年寄り連中に搾取されてた頃かな。喜友名先生が助けてくれたんだよな」
「搾取?」
「古い体制に反発したら潰されかけてな。そこで喜友名先生が協力してくれて一緒に教育委員会に殴り込みに行ったんだ」
「殴り込みなんて大げさですけどね」喜友名は苦笑いを浮かべる。
「共通の敵を見つけたことで絆が深まりました」
その過程で性的な結びつきも生まれたということなのか。比嘉は唖然とするばかりだ。
「それだけで肉体関係に?」
比嘉の口から漏れた疑問は純粋な驚きの表れだった。職場の規律を重んじるはずの二人が互いを求め合う関係だなんて??しかも「セックスフレンド」という俗っぽい単語まで飛び出してきている。
喜友名は穏やかに微笑むと月光を浴びて煌めく水面を見つめながら言った。
喜友名と玉城の出会いは学生時代からだった。
二人は体育会系の学生で同じ大学だった。先輩の性処理は後輩が担当だったので二人が先輩のイチモツをシャブるのは当然のことだった。比嘉さんも体育会系の出身なので知ってるだろうっと喜友名が比嘉に聞く。
「ええ、知ってますけど……」比嘉は肯定するしかない。喜友名の笑みが深くなる。
「じゃあ分かるだろう? あの世界では上下関係が全てだ。逆らうことなんて許されない」
「……」比嘉は言葉を失う。確かに彼自身も体育会系の荒々しい環境で育った。しかし、だからといって成人してなお先輩に奉仕することが常識だとは考えたくない。「つまり私と玉城は単なる利害関係を超えた存在になったわけだよ」喜友名が穏やかな口調で続ける。
玉城がニヤニヤしながら付け加えた。「ああ、お前さんの時代より俺たちはもう一段階進んでるんだ。ただの遊びじゃ終わらないってところな」
「それは……どういった意味でしょうか」
「俺たちは今でもOB会の集まりで交流を深める懇親会をやってるんだ!」玉城が無造作に比嘉の肩に手を回してきた。
酒臭い息が再び鼻を刺激する。
「懇親会?」比嘉は眉をひそめる。先輩と後輩が集まって飲む程度ならまだ理解できるが??「ああ。ただの飲み会じゃないんだよ」と玉城が舌舐めずりするように続ける。「俺たちは全員既婚者だし子どももいる。だけどな……」
喜友名が言葉を継ぐ。「男同士の肉体関係というのは独特なものなんだ。家族に隠れて行う背徳感があるからこそ燃える」
「それに」と玉城が卑猥な笑みを浮かべる。「若い頃から染み付いた習慣はなかなか抜けないもんだ。今でも俺たちはあの頃のように??先輩のモノをしゃぶったり、後輩の口に突っ込んだりするのが日課みたいなもんさ」
「それは……犯罪でしょう」
「ふふ。比嘉先生は潔癖ですね」喜友名が目を細めて笑う。「私達は法律的には何も問題ない。同意の上ですし」
比嘉は言葉を失った。社会的地位のある大人たちが今でも肉体関係を維持し続けているなんて信じられない
「おいおい。堅くなり過ぎだって」と玉城が呆れたように笑う。
「別に犯罪してるわけじゃねぇんだ。先輩後輩の伝統ある行為を続けてるだけだろ?」
喜友名が穏やかな口調で補足した。
「ええ。昔と違うのは参加メンバーが減ったことくらいです。我々以外の皆さんは高齢で体力の限界を迎えてしまいましたから」
「体力の限界?」比嘉の眉が吊り上がる。一体何を基準にそう判断したのか。
「ああ。要するに勃たなくなったんだ」と玉城が露骨に言い放った。
「俺達みたいにまだまだ現役バリバリってやつは稀なんだよ」
「現役……バリバリ……」比嘉は喉を鳴らす。
「そうです」と喜友名が柔和な笑みを崩さずに続ける。
「我々はいまだに月一回のペースで模合も兼ねて親睦会を行っております」
比嘉の呼吸が浅くなった。この人達はそんな頻繁に関係を持ち続けているのか。
「ふっふっふ!今でも絶倫熟年親父達で50代60代だけだ。あっ!70代の絶倫親父も3人いるな!」玉城が腕を組んで大きく頷く。
「だからこそ結束は強いわけよ。定期的に身体を合わせてる奴らなんざそういない」
「親睦会の内容って具体的には……」
「決まってるじゃねぇか!」玉城が叫ぶように言う。「全裸になって互いに舐め合いまくりだ!」
(舐め合い……熟年親父達が……正に理想の桃源郷……)比嘉は生唾を飲んだ。
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part 4

「文字通りシャブり合いです」喜友名が丁寧に解説を加える。「睾丸から裏筋まで隅々まで。特に喜友名先生は極太デカマラだから人気があるんだ」
「玉城だってデカマラでモテるじゃないか」
「当たり前よ!」玉城が豪快に笑う。「若い時は毎晩先輩達のチンポ吸わされてたからな。おかげで今ではプロ並みのフェラテクになっちまった」
(二人共本当に経験豊富なんだ……自然と俺の極太マラがズル剥けの鎌首をもたげ勃起し始めた。寝る時はパンツを穿かないのでジャージのもっこりがバレないか心配になってきた)
比嘉は複雑な気持ちになる。自分が抱いていた憧れの人達がこんな淫乱な側面を持っていたなんて。
「じゃあ……アナルセックスも……」
「ああ!ありゃ勘弁してくれ!」玉城が激しく首を振る。
「受け入れる方も出す方も相当負担かかるらしいからな。俺たちは挿入無しってルールになってるんだ」
「でもフェラならいくらでも楽しめる。それが一番合理的なんですよ」と喜友名が付け加えた。
「合理的……ですか……」
比嘉は半ば呆然として呟いた。合理性という言葉がこれほど生々しい官能と結びつくとは思いもよらなかった。
「つまり……みなさんフェラに凄く熟練していて……」
「まぁそういうことになるな」玉城がニヤリと笑う。「この年齢になると初めての相手を探すのは難しい。ある程度社会的地位のある大人たちばかりだ。現役の警察や刑事もいる。あっ!OBもいるぞ」
「だから僕らはこうして定期的に会うことにしたわけです」
喜友名の落ち着いた声が静寂の中に溶け込んでゆく。その淡泊さがかえって彼らの関係の長さを物語っているようだった。
比嘉は自分の頭が徐々に混乱していくのを感じた。尊敬していた指導者の意外すぎる一面に戸惑いながらも、内なる好奇心が疼いていることを自覚せざるを得ない。
「それであなたはどう思いますか?」
喜友名の瞳が月明かりの中で鋭く光った。その眼差しから逃れることはできないと感じた。
「どう思うって……?」比嘉は言葉を探した。喜友名と玉城との意外な関係を目の当たりにして羨ましいと思った。
「私たちの性生活についてですよ」 喜友名の涼やかな声色が夜風に乗って運ばれてくる。その端整な容貌からは想像もつかぬ淫靡な日常を平然と語る姿に比嘉は寒気さえ感じた。 玉城の豪快な笑い声が沈黙を破った。
「おい喜友名、あまり煽るんじゃねぇよ。こいつ真面目なんだ。こういう話には免疫がねぇかもしれん」
「だからこそ問い掛けてみました」 喜友名は微かに口角を上げると真剣な眼差しで比嘉を射抜いた。
(まるで心の奥底まで見透かされているようだ) 比嘉は緊張で身を固くした。
「比嘉先生は確か既婚でしたよね?」 喜友名の質問には他意はないようだった。しかし下半身は硬くなり正直だ平静を装えない自分がいる。
心臓が早鐘を打ち始める。(いけない)必死で平常心を取り戻そうとするものの股間の昂りが収まる気配はなかった。
「ええまあ一応……」 口ごもりながら答えると玉城がニヤッと笑った。
「セックスレスで毎日センズリしてるらしい」
「それが何か?」 比嘉は不審そうな表情を浮かべる。すると玉城が急に低い声になり耳元へ囁いたのだ。
「俺や喜友名だってセンズリしてるさ」
(なんでそんなことを今さら) 吐息混じりの囁きは艶っぽかったが次の言葉によって霧散させられてしまったのである。
「毎晩な」 喜友名が呟いた。
比嘉はゴクリと唾液を飲み込みつつ予想通りイチモツがピクピク脈打ち反応を示すのだった……。
「俺だって毎日センズリをしている」「私もです」 玉城と喜友名が口を揃えて告げる。
「毎日……嘘……ですよね?」 疑念と共に問い返す声は震えていたものである。
「本当だとも。二人共精力旺盛で顔まで飛ぶ時もあるぞ」 即座に返ってきた答えに対して更に食い下がろうとした時だった。
それはあまりにも突然であったため反応できずに終わった瞬間でもあった――
「ほれ見てみぃ!!」 先陣を切り大声で叫んだのはやはりと言うべきかこの男であったと言えよう!!
「何を――」
抵抗しようとした刹那、眼前に広がった光景に思考が停止した。月明かりに照らされた夜闇の中で、玉城の隆々とした肉棒が浮かび上がっていた。浴衣を開ける手際の良さといったらない。しかもノーパンで、そこには堂々と天を仰ぐ雄々しき肉塊があった。暗がりの中でもはっきりわかる程に怒張し血管が浮かび上がり先走り汁によって鈍い輝きを帯びていたのである……
(大きい……)
圧倒されるように凝視してしまう。同時に自分自身もまた猛り狂っていることに気づかされたのであった。
玉城は酔ってるからなのか羞恥心などとうに吹き飛んでしまっていたようで――ただ本能のまま行動しただけだと思われるが否や!
「 どうだ! 好きだろ? こんなの見てコーフンするだろ!?」 堂々と言い放つ姿勢からは一切迷いを感じることが出来なかったばかりか寧ろ誇らしげでこちらとしても安心できたのでありますが如何せん状況的には危険な方向に向かっているとしか思えない次第だ。

続く
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