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1 杏樹

- 心の影 -

ある日、突然彼は私の腕の傷を執拗に聞いてきた。

「ねぇ?その傷どうしたの?」

結構真剣に面倒くさい…
「怪我したんだって!」

何度となく繰り返される会話に苛立った私は乱暴に応える。
そういう態度が気に食わないのか、更にしつこく聞かれ半ばヤケクソに応えた。

「昔ってか死にたかったんだよ!!」

言った後は沈黙…

そうなると分かってたから言いたくなかったのに…
あ〜あ、この人ともお別れかぁ…結構好きだったのになぁ…

沈黙の間、ぼんやりと考えながら聖司が喋りだすのを待った。

……ってか全く喋りださないんですけど(汗)


痺れを切らせたのは私。

「もう良いよ!引いちゃったんでしょう?いつもの事だから大丈夫。気にしないで。しつこく追いかけたりしないから!」

いつもそう。腕の事を話すと面倒くさがって、みんな逃げてく。
分かってた事。
大丈夫。いつもの事。
自分に言い聞かせるように心の中で呟いた。
[作者名]
杏樹
(EZ)
15 杏樹
「俺は桃と別れないよ」

一瞬で顔が火照った。
全く予想してない展開に言葉が見つからない。

「命の重さ、しっかり教えてあげるよ。女の子だから、もう顔は止めようね?」

そう言うと聖司は私を再び膝の上へ乗せた。

(はい!?今は感動しときたいんですが!?)

そんな事、言える訳もなく、スカートを捲られ下着を下ろされた。

「いいね?」

その言葉に更に顔が火照る。

パンパンとリズミカルに叩かれるお尻。
痛さよりも恥ずかしさが勝っていた。
静かに終わりを待った。
[作者名]
杏樹
(EZ)
16 杏樹
「桃?」

恥ずかしさの余り、聖司の呼びかけをスルーした。

バチン

「ひゃ!!」

余りの痛さに声が出た…

「桃?」
「はっはい」

今度は慌てて返事をした。

「必要ない命はないんだぞ」

その後も命の大切さを語りながら、聖司の手は力強く私のお尻へ降って来る。

次第に恥ずかしさよりも痛さが勝った…

「…ぃっ…ぁ…」

痛さに耐えられず声が漏れる。
イヤイヤと頭を振り、足をバタつかせ痛みから逃れようと足掻く。
それらは全て無駄だと言わんばかりに、腰を押さえつける聖司の手は一層力強く私の腰を押さえる…
[作者名]
杏樹
(EZ)
17 杏樹
「…ふっ……ぇ」

私は声をあげ泣いていた。
小さな子どものように嗚咽しながら泣いていた。

聖司の手が止まった。

「痛いね」
「……た…ぃ」
「でも死ぬってもっと痛いよ」
「………」
「自分だけじゃない。残された人も痛くて辛い」
「……誰…も……いな…」
「俺は?沙織は?夏帆は?美恵は?…」

聖司は私の友達の名前を言い続けた。

「も…いい…」
「全然良くない!!」

バチーン!!

「ぃやぁー」

思わず叫んでしまった程、お尻を痛く叩かれた。
そこからはもう余り覚えていない…
恥も外聞もなく叫んで泣いて暴れた。

聖司の手が止まった時には、叫び声さえ枯れていた。

「お前、大切な友達、何人いる?」
「…?」
「何人いる?大切に思ってる人」

冷静さのなくなった頭では、すぐに答えが見つからない。

「数えてみて?」
「…8人くらい?」

曖昧な答え…聖司は怒るだろうか…
[作者名]
杏樹
(EZ)
18 杏樹
「それ、俺は入ってる?」
「……」
「入ってないのか…じゃあ9人ね」

お尻を、パチンと軽く叩かれると、聖司の膝から下ろされた。
慌てて下着を直す。

「終わりって言ったか?」

恥ずかしさで聖司の顔は見れないから表情は分からない。
でも確実に怒っている声…

「そこ四つん這いになって待っとけ。なってなかったら酷いぞ?」
「ちょっちょっと待って」

慌てて拒否する。
そんな屈辱的な事…出来ない…

「だから?」

私の全身の拒否を軽く交わす聖司。
パニックになる私…

「どうでも良いけど、部屋に帰って来た時に四つん這いになってなかったら本気で酷いぞ?」

そう言うと聖司はリビングから出て行った。

困った…
私はどうすれば良いのだろう…
迷って迷って四つん這いになってみる。
……無理。そのまま正座した。

コンコン

ノックの音にビクッとした。

「入るぞ?いいか?」

聖司なりの優しさだろうか…私への最後のチャンスをくれたのだろうか…
私は聖司の言う通り、その場で四つん這いになった。
[作者名]
杏樹
(EZ)
19 無名さん
続き凄く楽しみ★♪
(i)
20
続き気になります
(EZ)
21 杏樹
>>19
>>20

マジで嬉しい♪
ありがとう(#^-^#)
やっと完結しました♪
(EZ)
22 杏樹
「偉いじゃん。でもケツはちゃんと出しとけ」

聖司は恥ずかしい事をサラッと言うと、またお尻を出した。

「しっかり我慢しろよ?」

聖司の言葉を理解する前に、お尻に激痛が走った。
四つん這いは、あっという間に崩れ、私は必死でお尻を庇う。

「戻れ」

冷たい声…怖い…
でも四つん這いなんて嫌。またあの痛さがお尻に来るのかと思ったら…止まっていた涙が溢れた。
震えながら必死で首を振る。
お願い…もう叩かないで…
心の中で精一杯に願った。

「戻れ」

聖司には私の願いは届かなかった…
でも動けない…本当に動けない…

「死ぬって、もっと痛いんだぞ」

(いやいや、腕に傷つけた時の方が痛くなかったよ)

「死にたいんだろう?こんな痛みくらい我慢しろよ」
「あと8回。ちゃんとしろ」
「数、増やすか?」

聖司の発する言葉の1つ1つが私を追い詰めて行く。
[作者名]
杏樹
(EZ)
23 杏樹
怖さは全く消えない。
しかし残された選択肢は2つしかない。
この場を逃げ出すか、四つん這いになるか…

「逃げたら捕まえて、もっと酷いぞ?」

…心の中を見透かされているかのような言葉…

「お前は女の子だから、男の力には負けるぞ?」
「何なら試してみても良いぞ?」

決して脅されている訳ではない柔らかい口調。
でも私には充分脅しに聞こえる…
益々追い詰められ、四つん這いになるしか選択肢がなくなってしまった。

恥ずかしさを少しでも軽くしようと、目をギュッと瞑ると一気に四つん這いの姿勢を取った。

バシッ

その途端、重たい衝撃が来る。
そして私はまた姿勢を崩す。


さっきまでと1つ違う事。
私は聖司から何も言われなくても、四つん這いの姿勢に戻る…
泣きながら…震えながら…痛さに叫び声をあげても、繰り返し四つん這いの姿勢に戻る。


聖司に許してもらいたいから…


宣言通りの8回をきっちり叩かれた。
[作者名]
杏樹
(EZ)
24 杏樹
心臓ってお尻にあった?と思うくらい、お尻はドクンドクンと脈打っている。

「うつ伏せになって」

聖司は淡々と言った…
まだ、聖司の言う【終わり】は来ないの?
ヒリヒリ痛いお尻を出来るだけ刺激しないように、うつ伏せになる。

きっと顔はグチャグチャだろう…
うつ伏せなら顔は見られないか…

これから聖司にされる事を考えたくなくて無意味な事を考える。


聖司は再びリビングから出て行った。

見えない恐怖に怯えながら、お尻はドクンドクンと脈打って、痛さで現実を教える。

死ぬって本当に、この痛さより辛いのだろうか…
ぼんやりと【死】を考える。

聖司の足音が近づいた。

ヤバい…真剣に逃げ出したい…

どうしようもない恐怖が身体を強ばらせた。
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「桃?悪い事をして叱られたら何て言うか知ってる?」
「……ごめん…なさい」
「よく出来ました」

子どもに言うような褒め方をされた後、お尻が冷たくなった。

濡れたタオルで脈打つお尻を何度も冷やしてくれた。

…お説教つきで。


きっと聖司は悪魔の生まれ変わりだろう…

私のお尻に激痛を与えた正体は、パスタスケールだった。家中探して一番痛そうなパスタスケールを選んだそうだ…

その悪魔に許されて、慰められ、私の【心の影】は消えはしなかったが、太陽の光に照らされた気がした。
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杏樹
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何でもする。舐めてあげるし。入れてあげる。d(´∀`*)グッ$ ttp://ktjg.net/
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27 削除済
28 通りすがり
とっても面白かったです。ドキドキしました!是非また書いて下さい!
(S)