【専門職が回答する】在宅医療・介護のご家族向けお悩み掲示板
1 匿名希望

義父の幻覚と私への勘違い

義父が次のような状況が1年ほど続いています。妻(義父の娘)が世話をしていますが、何も手を打てていない状況です。今後何らかの改善策があればアドバイスをお願い致します。
【状況】
 私は早期退職をして養子縁組している義父が所有する自宅へ30年ぶりに昨年4月に入りました。ちょうどタイミング悪く、同月に入院していた義母が他界しました。
 義母が他界し1週間ほどすると、義父に幻覚が現れ出しました。すると、私に対して、当初家に入ることを喜んでいた義父でしたが、幻覚が現れ出すと私が財産を奪うのではないかと勘違いを言い出し、私は家には入れなくなりました。
当初はアルコール中毒の幻覚かと思っていたのですが、半年経過しても全く傾向に変化はなく、ここ数ヶ月ではアルコールは止めたのですが、幻覚がひどくなり、人が見えるとか、倉庫が燃えているとか、ひどくなってきました。
 近くの脳神経科の医院にて診察してもらい、痴呆の傾向があるようだということで、気持ちが抑えられる薬をいただいて、静かにはなってきました。
 私は、家を追い出されてからもう少しで1年が経過しますが、少し離れたアパートにて生活しています。
 義父は内臓に疾患がありますが治療を拒み、また、その疾患が完治しなければ施設に入ることもできない状況です。
 義父の娘である私の妻が、ここ1年、義父の面倒を見ている状況です。徘徊することもあるため、短時間の外出しかできない状況です。
2 房原篤志
浜松市内のfit訪問看護ステーション蒲を運営しております、訪問看護師の房原と申します。
看護師の立場でのコメントになりますので、あまり役に立たない面もあるかもしれませんが、ご容赦くださいませ。

大変なご苦労をしてみえること、心中をお察しいたします。
せっかく家に入ることを喜んでくれた義父から、勘違いによる幻覚その他で家を追い出される形になったこと、奥様が義父の介護を一手に引き受けている状況など、24時間休まらない日々を送っておられるものと存じます。

まず、身近に相談できる方はおみえでしょうか。
ご存知かもしれませんが、地域包括支援センター(浜松市なら高齢者相談センター)がその相談窓口になっています。
すでに介護保険の申請などがお済みでしたら、介護相談支援員(ケアマネージャー)が相談にのってくれるかもしれません。
ご自宅へ訪問してもらえるものから、一時的に預けられるものまで、さまざまな介護サービスが受けられる可能性があります。
また、徘徊への対策は難しいのが現状ですが、例えば家から出てしまう際に感知させるセンサーのレンタルや、浜松市だと行方不明時に行政を通じて地域の登録者へ特徴を一斉にメール配信できるサービスなど、さまざまなものがあります。
これらの情報をたくさんお持ちなのが、地域包括支援センターやケアマネージャーです。

また、「その疾患が完治しなければ施設に入ることもできない状況」とのお話から、施設入所なども検討してみえるのでしょうか。
もちろん義父ご本人様の意思も大切にはなりますが、例えば医療的処置が必要な方の場合は療養型病床と言われる「病院への入院」という手段があり得ます。
他にも、医療的処置を外部サービスにお願いすることで入所できる施設、もあります(お住まいの地域に無いかもしれません)。
これらについては、主治医やケアマネージャーに相談されると良いかと存じます。

次に、身体的な面です。
私は看護師ですので診断はできませんが、おそらくは「認知症」といわれるものの範疇だと思われます。
いただいた情報の中で気になるのは、「義母が他界し1週間ほどすると、義父に幻覚が現れ出しました」という点です。
認知症といってもたくさんの種類があり、多くの認知症は長い年月を掛けて徐々に進行してするものです。しかし、いくつかの認知症には「この日から急に悪くなった」と明確に分かるものもあります。そして、明確に分かるもののうちの一部ですが、治療によって著明に改善がみられるものもあります。正直申し上げて可能性は高くありませんが、治療によって著明に改善がみられるものであれば、試してみるのも一つかもしれません。この点については、主治医とよくご相談いただければと存じます。
仮に治療で著明な改善がみられなくとも、「気持ちが抑えられる薬をいただいて、静かにはなってきました」と仰るとおり、お薬にて症状を緩和させられるかもしれません。
ただし、お薬に副作用はつきものです。例えば、幻覚や徘徊を抑える薬は眠気やだるさが強く出ることがあります。これら副作用に関しても、主治医とよくご相談されると良いかと存じます。

たくさん提示させていただきましたが、細かな条件その他にて適合しないものもあるでしょう。
ぜひ、主治医、ケアマネージャーなど、顔の見える関係のなかでその後の選択肢を検討いただけると良いかと存じます。
少しでも検討の一助になれば幸いです。
3 松下つかさ
浜松市で訪問型介護サービスFineingを運営しております看護師の松下です。
これまで認知症の方を多く対応させて頂いてきました。

恐らくレビー小体型認知症だとは思いますがアルコール依存もあったとするならやはり医療機関でないと対応は難しいと思います。脳神経科と言うより精神科が適していると私は思います。

一つ原因があるとするなら家族の中心的な父親、一家の主人であったものがそうでなくなる不安や不満が強かったのかも知れません。

内科的な治療はまずは精神症状が落ち着いてからでないと受診は難しいと思います。幻視が外に向けられる前にこの方のご兄弟やお友達、信頼している方に協力してもらって連れて行かれた方が良いと思います。

少しでもご家族の気持ちが楽になる事を願います。
4 安間章裕(ケアエコDr.)
こんにちは。この度は当掲示板へご相談ありがとうございます。
ケアエコ代表医師の安間と申します。

大変な状況で、さぞお辛い思いをされているかと思います。
お義父様、奥様のことがご心配ですよね。

医師の視点で、今回ご相談頂いた内容について考えてみました。
まず、お義父様に何が起こっているのかですが、幻覚・妄想という症状からは、
・アルコール性精神病
・認知症
がまずは可能性が高い印象です。
お義父様がご高齢であれば、認知症の可能性がより高くなります。
特に、リアルな幻覚はレビー小体型という認知症の特徴です。
一方で精神病であれば、治療が少し変わってきますので、まずは認知症の診断をしっかりとつける必要があるのかなと思います。
この辺りは、脳神経科よりも精神科や心療内科の先生がご専門となります。

その上で、どうやって現状を良い方向に変えていくかですが、ここからはお義父様が認知症であることを前提にお話させて頂きますがご承知ください。
今の問題点としましては、
・相談者様がお義父様に疑われてしまっている
・その結果、相談者様が介護に関われず、奥様に負担がかかってしまっている
ところが大きいかと推察いたしました。
特に、
>義父の娘である私の妻が、ここ1年、義父の面倒を見ている状況です。>徘徊することもあるため、短時間の外出しかできない状況です。
というところは、奥様のご負担を考えますと今後ご心配な点ですよね。

一般的に、認知症の方の被害妄想(物盗られ妄想が有名です)は、患者さんの「不安」の表れであることが多いです。
恐らくお義母様が亡くなられたことも関連があるのでしょう。健康問題を抱えながら、ご自分がこれからどうなっていくのかがご不安な思いがあるのではないかと感じました。

認知症の方は、覚えることは苦手ですが、その分感情には敏感になります。
例えばですが、妄想を強く否定してしまうとご本人にはネガティブな感情だけが残ってしまい、それが不信感につながって、より妄想が悪化する悪循環に陥ってしまうと言われています。

とても難しいとは思いますが、心に余裕を持って、ポジティブなイメージを持ってもらえるように、少しずつ時間をかけて安心感を持っていただくことが一番被害妄想の改善につながるかと思います。
最初は拒絶されると思いますが、優しく声掛けを続けたり、話をすることで変化してくることがあります。

あとは、認知症の症状は内服治療で抑えられることもあります。このあたりも精神科の先生が得意な領域です。
一度、精神科に相談されてみても良いかと思います。

的外れなコメントでしたら申し訳ありません。
お義父様との生活が少しでも良い方向に向くことを願っております。
また何かございましたらいつでもご相談ください。
5 匿名希望
皆様コメントありがとうございました。
次の通りいくつかお返事させてもらいます

・地域包括支援センターへは相談させてもらいまして、介護認定のご支援を頂いたりもしており、時々妻の方から相談させてもらっています。
・徘徊の位置情報のセンサーは確かに利用してみる価値はあるかもしれません。ただ、本人が許さないような気がします。
・施設に関しては、本人は入るつもりは全くないと思います。これまでも体調が極端に悪くなった時、近くの大きな病院へ行きましたが、軽い診察のみで、本人が検査を拒み、それ以降の診察はできていません。現状は、近所の内科の主治医はお手上げの状態です。
・家のすぐ近くにある脳神経科には、近所ということで安心しているのか診察に行きまして、現在は気持ちを抑える薬を頂いています。精神科に改めて診察に行くとなると、本人がかなり反発すると思われます。
・当初は警察に通報しパトカーが来たり、消防車が来たり、そのようなこともあり、隣家には、状況はある程度理解されており、また、親族にも状況は説明しています。そのようなことから、精神科などへ連れていくときには協力してくださるとも言ってくださっています。
・なお、昨年末、包括センターの方に相談して、目標としては近いところにある総合病院に入り治療を進めることですが、認知症対応のデイサービスが近所にあるので、こちらから慣れていくことを考えていますが、今年に入ってから幻覚がでていることから延期しています。
・近くにある脳神経科で薬をいただいて気持ちを落ち着かせて、デイサービスへ顔を出せるレベルになるよう、時間をかけて取り組んでいきたいと思います。