1 アニマ
廃墟
リナがアニマをボコるだけ。
(SO-04G/gmo-isp ID:Bow/gA)
2 アニマ
「ここ……は……!?」
アニマは裂け目に引きずり込まれ着いた場所を見渡して驚愕していた。
それは全く知らない場所についたからではない。むしろその逆。とてもよく知る場所に着いたからだ。
「なんで──どうしてここに……!」
どうして? 変なことを言うね。わざわざ君の生まれ育った場所を選んであげたのに
アニマの疑問に答えたのは、アニマには聞き覚えのない女の声。だが、その口調には覚えがあった。
万象を嘲笑っているような声音で、自らを蘇生させた存在と同じ口調。何故か女になっているが、性転換程度珍しくも何ともない。それよりも──
「……選んだ?」
そう。いまこの女は──ニャルラトホテプは選んだと言った。それがアニマは引っ掛かった。
そう。わざわざこの場所で君の家族や友人の仇を取る機会をあげようという僕の心遣いに感謝してくれてもいいんだよ?
アニマはその言葉に思わず息を飲んだ。
今までわからなかった家族や友人の仇を知れるばかりか、仇討ちのチャンスまで与えるというニャルラトホテプの言葉はとても魅力的で……とても嫌な予感のするものだったから。
だが、そんなアニマのことなど知らないと言わんばかりにそれ≠ヘ現れた。
「───!?」
それ≠見た瞬間アニマは反射的に距離を取った。
そして次の瞬間、その行動は正しかったと証明された。
「……あれ? 避けられちゃった」
笑顔で首を傾げながらそれ≠ヘ言うが……アニマからすれば笑えない。
もしアニマがあと一瞬でも距離を取らなければ──アニマは確実に死んでいた。
何故なら……アニマの距離を取る前にいた場所には底が見えないほど深い亀裂が出来ていたのだから。
「なる……ほどね。お前が……皆を……!!」
アニマがそれ≠見て理解する
アニマの家族や友人たちは誰一人の例外なく斬殺されていた。
何故わからなかったのだろうとアニマは思う。いや、きっとわかりたくなかったのだろう。何故ならそれ≠ヘアニマに絶対的な恐怖を刻み付けた怪物である。
しかし、それ≠ヘアニマを見て不思議そうにしていた。
「んー……あれー? 何処かで見たことあるね。何処だっけ?」
「思い出さないで良いよ。お前はここで──」
その先は口に出せなかった。
何故か、と言えば答えは単純だ。
「そう? それじゃあ……楽しませて?」
それ≠ノよってアニマの顔が鷲掴みにされ、口が塞がれた。ただそれだけである。
「──!」
アニマは一瞬で接近されたことで驚愕に目を見開くが、即座に使える攻撃術式を全て起動する。その数は数十万。その全てが生態系を崩壊させる程の威力を持ってそれ≠襲うが──
「おっと危ない危ない」
それ≠ヘ笑いながらアニマを地面に叩きつける。その後、数十万の攻撃術式を全て自らの魔力で薙ぎ払った。
「カハッ──!?」
地面に叩きつけられたアニマはその光景を見ることはなかったが、ダメージが大きく、致命的な隙をそれ≠ノ晒していた。
「……あ、そういえば自己紹介をしてなかったね。ボクはリナ。短い間だけどよろしくね?」
しかしそれ>氛气潟iはそんなアニマに笑いながら自己紹介をした。まるでアニマなど殺そうと思えばいつでも殺せると言わんばかりに。
「──ッ!」
見下されてるという事実にアニマは歯を食い縛る。
……いや、リナにそんなつもりはないのだろう。何故なら今のアニマはリナの気紛れで生きてるのだから。
しかし、リナはそんなアニマを見ながら笑顔で言った。
「んー、何だか怒ってるみたいだけどこのまんまじゃ面白くないね。……そうだ! キミの最強の一撃を見せてよ! それが一番楽しそうだ!」
その言葉にアニマは硬直する。理解してしまったのだ。
リナにとってこの戦いは、出し物を見ているだけでしかない。
リナはこれを戦いなどとは少しも思っていない。
ならばとアニマは理解の出来ない言語を紡ぎ出して雷を召喚し、槍の形にする。
「おお? どんなのかな♪ どんなのかな♪」
それを見て楽しそうにしているリナの姿は無垢な子供のようにしか見えない。だが、アニマは知っている。リナは無垢な子供のように見えるだけの怪物であると。
リナに向かってアニマが数十秒もの時間をかけて造り出した雷の槍が放たれる。
「これで──!」
今のアニマの最強の一撃。
小国を消し飛ばしてなお余りある莫大な力の奔流。
雷槍は雷光の速度を叩き出してリナに迫る。
そこらの神秘にならば必殺と呼ぶに相応しい威力を秘めた雷槍は──
「予想以上ではあるけど──ボクに届かせるには全然足りないよ?」
リナに容易く握り潰された。
「なっ──!?」
これは当然の話だろう。確かに必殺と呼ぶに相応しい威力を秘めた雷槍だったが──それはあくまで第六桁程度までならばの話である。
第四桁にまで届かせるには話にならない。
「んー、これ以上のものは出ないかな」
さてどうしようとリナは考える。
最強の一撃を容易く防がれたことで茫然としているアニマを殺すのは簡単だ。だがここで殺すのは勿体無いんじゃないかと思ってしまう。
「……うーん」
殺すか殺さないか。正直なところ、どっちだろうとリナにとって大差はない。
だから──
「よし、今回は見逃してあげるよ。次はもっと面白いものを見せてね」
もっと面白くなることを期待して生かすことを選んだ。
「え……?」
アニマがその言葉を理解する前にリナは空間を引き裂き、何処かに消えてしまった。
そして、茫然としているアニマだけがそこには残った。
「……あーあ、見逃しちゃった。ちょっと途中からそんな気はしてたけど」
何処か異空間でニャルがその様子を見ていた。
「まあいいさ。仇討ち出来なくて残念だったね、アニマ」
ニャルは嘲笑しながら呟く。
そしてすぐに興味を失ったように別の世界に視線を向けたのだった。
アニマは裂け目に引きずり込まれ着いた場所を見渡して驚愕していた。
それは全く知らない場所についたからではない。むしろその逆。とてもよく知る場所に着いたからだ。
「なんで──どうしてここに……!」
どうして? 変なことを言うね。わざわざ君の生まれ育った場所を選んであげたのに
アニマの疑問に答えたのは、アニマには聞き覚えのない女の声。だが、その口調には覚えがあった。
万象を嘲笑っているような声音で、自らを蘇生させた存在と同じ口調。何故か女になっているが、性転換程度珍しくも何ともない。それよりも──
「……選んだ?」
そう。いまこの女は──ニャルラトホテプは選んだと言った。それがアニマは引っ掛かった。
そう。わざわざこの場所で君の家族や友人の仇を取る機会をあげようという僕の心遣いに感謝してくれてもいいんだよ?
アニマはその言葉に思わず息を飲んだ。
今までわからなかった家族や友人の仇を知れるばかりか、仇討ちのチャンスまで与えるというニャルラトホテプの言葉はとても魅力的で……とても嫌な予感のするものだったから。
だが、そんなアニマのことなど知らないと言わんばかりにそれ≠ヘ現れた。
「───!?」
それ≠見た瞬間アニマは反射的に距離を取った。
そして次の瞬間、その行動は正しかったと証明された。
「……あれ? 避けられちゃった」
笑顔で首を傾げながらそれ≠ヘ言うが……アニマからすれば笑えない。
もしアニマがあと一瞬でも距離を取らなければ──アニマは確実に死んでいた。
何故なら……アニマの距離を取る前にいた場所には底が見えないほど深い亀裂が出来ていたのだから。
「なる……ほどね。お前が……皆を……!!」
アニマがそれ≠見て理解する
アニマの家族や友人たちは誰一人の例外なく斬殺されていた。
何故わからなかったのだろうとアニマは思う。いや、きっとわかりたくなかったのだろう。何故ならそれ≠ヘアニマに絶対的な恐怖を刻み付けた怪物である。
しかし、それ≠ヘアニマを見て不思議そうにしていた。
「んー……あれー? 何処かで見たことあるね。何処だっけ?」
「思い出さないで良いよ。お前はここで──」
その先は口に出せなかった。
何故か、と言えば答えは単純だ。
「そう? それじゃあ……楽しませて?」
それ≠ノよってアニマの顔が鷲掴みにされ、口が塞がれた。ただそれだけである。
「──!」
アニマは一瞬で接近されたことで驚愕に目を見開くが、即座に使える攻撃術式を全て起動する。その数は数十万。その全てが生態系を崩壊させる程の威力を持ってそれ≠襲うが──
「おっと危ない危ない」
それ≠ヘ笑いながらアニマを地面に叩きつける。その後、数十万の攻撃術式を全て自らの魔力で薙ぎ払った。
「カハッ──!?」
地面に叩きつけられたアニマはその光景を見ることはなかったが、ダメージが大きく、致命的な隙をそれ≠ノ晒していた。
「……あ、そういえば自己紹介をしてなかったね。ボクはリナ。短い間だけどよろしくね?」
しかしそれ>氛气潟iはそんなアニマに笑いながら自己紹介をした。まるでアニマなど殺そうと思えばいつでも殺せると言わんばかりに。
「──ッ!」
見下されてるという事実にアニマは歯を食い縛る。
……いや、リナにそんなつもりはないのだろう。何故なら今のアニマはリナの気紛れで生きてるのだから。
しかし、リナはそんなアニマを見ながら笑顔で言った。
「んー、何だか怒ってるみたいだけどこのまんまじゃ面白くないね。……そうだ! キミの最強の一撃を見せてよ! それが一番楽しそうだ!」
その言葉にアニマは硬直する。理解してしまったのだ。
リナにとってこの戦いは、出し物を見ているだけでしかない。
リナはこれを戦いなどとは少しも思っていない。
ならばとアニマは理解の出来ない言語を紡ぎ出して雷を召喚し、槍の形にする。
「おお? どんなのかな♪ どんなのかな♪」
それを見て楽しそうにしているリナの姿は無垢な子供のようにしか見えない。だが、アニマは知っている。リナは無垢な子供のように見えるだけの怪物であると。
リナに向かってアニマが数十秒もの時間をかけて造り出した雷の槍が放たれる。
「これで──!」
今のアニマの最強の一撃。
小国を消し飛ばしてなお余りある莫大な力の奔流。
雷槍は雷光の速度を叩き出してリナに迫る。
そこらの神秘にならば必殺と呼ぶに相応しい威力を秘めた雷槍は──
「予想以上ではあるけど──ボクに届かせるには全然足りないよ?」
リナに容易く握り潰された。
「なっ──!?」
これは当然の話だろう。確かに必殺と呼ぶに相応しい威力を秘めた雷槍だったが──それはあくまで第六桁程度までならばの話である。
第四桁にまで届かせるには話にならない。
「んー、これ以上のものは出ないかな」
さてどうしようとリナは考える。
最強の一撃を容易く防がれたことで茫然としているアニマを殺すのは簡単だ。だがここで殺すのは勿体無いんじゃないかと思ってしまう。
「……うーん」
殺すか殺さないか。正直なところ、どっちだろうとリナにとって大差はない。
だから──
「よし、今回は見逃してあげるよ。次はもっと面白いものを見せてね」
もっと面白くなることを期待して生かすことを選んだ。
「え……?」
アニマがその言葉を理解する前にリナは空間を引き裂き、何処かに消えてしまった。
そして、茫然としているアニマだけがそこには残った。
「……あーあ、見逃しちゃった。ちょっと途中からそんな気はしてたけど」
何処か異空間でニャルがその様子を見ていた。
「まあいいさ。仇討ち出来なくて残念だったね、アニマ」
ニャルは嘲笑しながら呟く。
そしてすぐに興味を失ったように別の世界に視線を向けたのだった。
(SO-04G/gmo-isp ID:Bow/gA)