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1 石井聡美

賢者の書7ーA 新情報告知他

魔法使いの約束で新規に実施されるイベントのストーリーの予告、裏話、
および、各商品コラボやステ情報&ラジオ情報に特化した掲示板です。
24 レノの羊
11月30日に、まほステエチュード後半戦が開幕しました。雨宿りのエチュードの主人公、レノックスは羊を小さくして魔法舎に持ってきており、一緒に旅もしています。ただ、この羊は迷子になりがち。
エチュードではメエメエがあやうく厄災の傷を負って幼児化したオーエン(略称、傷オエ)の玩具になるところでした。その原因はおそらく、これらの詩にあるのではないかと思われます。
(メリーもボー.ピープも女の子ですが)
以下訳はどちらも鳥山敦子氏。
Mary had a little lamb,      メリーさんの羊
Its fleece was white as snow;  ゆきのように 白かった
And everywhere that Mary went  メリーが行くとこ どこにでも
The lamb was sure to go.    羊は かならず ついていった

Little Bo-peep has lost her sheep, 
And can't tell where to find them;
Leave them alone,and they'll come home,
And bring their tails behind them.
Little Bo-peep fell fast asleep,
And dreamt she heard them bleating;
But when she awoke,she found it a joke,
For they were still a-fleeting.
Then up she took her little crook,
Determined for to find them;
She found them indeed,but it made her heart bleed,
For they'd left their tails behind them.
ボー.ピープちゃんの 羊が迷子
どこをさがしていいかわからない
ほうっておきなさい もどってくるから
ちゃんとおしりに しっぽをつけて
ボー.ピープちゃん ぐっすりねんねして
羊が鳴いてる夢をみた
でも 目をさましたら それはそらみみ
羊は 迷子になったまま
ボー.ピープちゃん 杖を 手にとり
ぜったい 羊みつけようって 心にきめた
やっとこさ みつけたけど がっかり
しっぽを どこかに忘れてきちゃんだもん

因みにtailをtale(物語)に置き換えると、レノの捜し物は羊ではなく、ファウストとも言えるかもしれません。ようやく再会できたファウストは過去の英雄譚から逃れたがっているように見えます。さらに、厄災との戦いを経てファウストが負った傷は、見ている夢が外に漏れ出すというもので、最初に異変が起きた場にはレノもおり、東の国に結界を張るための媒介を取りに行くというファウストに同行します。
23 皇帝の新しい服
5周年ではまたしてもクロエが賢者を入れて22人分の新しい衣装を用意します。更に今回は中央の国の職人に特別に作らせた指輪も用意されていました。クロエの誕生日での発言から考えると、口利きをしたのはどうやらアーサーの様子。まほやくでのクロエの旅路はアンデルセンと重なるものがあります。(クロエの夢は仕立屋です。アンデルセンも母親に仕立屋の職を勧められますが性に合わず、舞台役者の見習いのようなことをした後、人より大分遅れて学校生活を送り、数回にのぼる外国旅行を経て(児童文学)作家として世界に知られるようになります。旅行の間にヴィクトルユゴーやディケンズとも会っています)アンデルセンの著作の中で、今回の周年イベストのように宮廷お抱えの仕立屋が出てくるのが、裸の王様こと、皇帝の新しい服です。
あらすじ
ある国の皇帝は政務よりもめかし込むことに熱心で一時間ごとに着替えをしては見せびらかしていた。ある日、皇帝のもとに二人のペテン師が服を仕立てるという名目でやって来る。彼らは役職にふさわしくない者やバカな者には見えないと方便を使った。自分の元にいる役人が本当に使うに足る人材か見極めたくて、皇帝は二人を雇うことにした。その実は全く機など織っていないにも関わらず、ペテン師の2人組は材料として王が与えた糸類(絹糸、金純金糸)は丸ごと自分たちのものにしていた。服の進捗を確かめるために皇帝はまず大臣を寄越した。勿論、ないのだから見えるはずはないが、自分の能力を疑われてはかなわないと、図案や凝った文様、色味などペテン師が語る言葉をそのまま皇帝に伝えた。糸が足りないと要求され、追加を皇帝が与えるとペテン師たちはそれも自分のものにした。次に別の役人を皇帝が視察に行かせると、その役人もまた大臣と同じ思いをした。そこででまかせの褒め言葉を並べ立てた。服の評判が都に広まり、皇帝は遂に自分の目で服を見たくなった。ペテン師たちは皇帝にも服の見事さを伝えるが、皇帝は見ることができない。大臣や役人をはじめ、自分だけが見えない、自分は愚か者でその職に就くには不適合者だと思われたくないと、皇帝もまた服を褒めそやし、おつきの者も同調した。ペテン師2人にはボタン穴用の十字章と称号が授与され、遂には皇帝は(実際にはありもしない服が)完成した暁には行列の先頭に立って民に披露することにする。皇帝が服を脱いでしまうとペテン師たちは着付ける振りをする。またしても周りにいた者はいぶかしみながらも服への賛辞を口にした。皇帝は存在しないマントの裾を持ち上げさせていよいよ街中に繰り出します。(服の噂は広まっているので)街の者も真実は口にしない中、唯一、「あの人、着てないよ」と口にした者は子どもだった。それでもその囁きはまるで波のように人々に確かに伝わっていった。こうして民は皇帝が気付かぬ振りをしていた真実を口にできた。かといってそのまま行列を止めるわけにもいかず、皇帝はそのまま進んだ。
参考図書
ハンス.クリスチャン.アンデルセン(著)
吉澤康子,和爾桃子(編訳)
夜ふけに読みたい 森と海のアンデルセン童話.平凡社,2024
22 東を示唆するマザーグース2
Jack be nimble,Jack be quick,
Jack jump over the candlestick.(wikipediaより)
ジャックが素早く、ひょいっとろうそくを超えていく。
ファウストのアミュレットが燭台であることを加味すると、ファウストの
お陰でジャックの品格のなさ(※詩のなかではそそっかしさや愚かさ?)が露わになる様子が出ています。
※飛び越えるタイミングを一歩間違うと、ジャックのお尻に火が点くなんてことにもなりかねません。
21 ジャックの印象
オズに師事したと嘘をついてまで、ヒースの両親に取り入ろうとしていたジャック。その心象の悪さは東の魔法使いたちの発言からも伺い知ることができます。

20 師匠についた傷



シノがつけた傷、一歩間違えばマザーグースの詩のようになっていたのでは?
19 東を示唆するマザーグース
ジャックが二人に互いを守ると約束させている設定は、おそらくこのマザーグースの詩の1番から。まさに共倒れ。
Jack and Jill went up the hill ジャックとジル 丘をのぼった
To fetch a pail of water;   おけに水をくみに
Jack fell down and broke his crown,
                 ジャックがころんで あたまにけが
And Jill came tumbling after. ジルもあとから ころがり落ちた

Up Jack got,and home did trot,ジャックは起きあがって
                   家へむかって
As fast as he could caper,   できるだけはやく 駆けてった
To old Dame Dob,who patched his nob
                   母さん ジャックのあたまに
with vineger and brown paper.  お酢と茶色の紙で しっぷした
鳥山 敦子(著).もっと知りたいマザーグース.スクリーンプレイ,2002

ヒースがオレンジの木を友人に見立てて話しかけ、シノがレモンパイを好物にしているのはおそらく以下の詩から。シノとヒースの場合は、お金を返す時がいつかの話ではなく「自分のことを話すのは英雄になれた時」と置き換えられます。最後の二行は二人を指導する、ファウストとジャックをそれぞれ示唆するのかも?
Orange and lemons,     「オレンジとレモン」と     
Say the bells of St.martin's. 鐘ならすよ セント.クレメント
You owe me five farthings,「百円貸した」と
Say the bells of St.Martin's. 鐘ならすよ セント.マーチン
When will you pay me?  「いつ払うのか?」と
When I grow rich,      鐘ならすよ オールド.ベイリー
Say the bells of Shoreditch.「払えるとき」と
When will that be?     鐘ならすよ ジョーディッチ
Say the bells of Stepney.  「それはいつ?」と
I'm sure I don't know.   鐘ならすよ ステップニー
Say the great bell at Bow.「知るもんか」と鐘ならすよボウ
Here comes a candle to light you to bed,
ベッドへと照らすろうそくが来るぞ!
Here comes a chopper to chop off your head.
ホラ おまえの首はねに 首切り人来るぞ!
オレンジとレモンの訳は鷲津名津江氏。
18 出張 若まほ図鑑
シノとヒースが喧嘩をするのは大抵、お互いが言葉足らずになり、相手の反感や不信感を煽ってしまうときです。特にシノはヒースの人柄を伝える言葉が乏しく、自分の過去の伝え方も未熟です。(4周年で前者については前進しました)狩人のバラッドでも、シノは魔物の討伐依頼を引きうけていましたが、英雄への道半ばと考えてヒースには報告しませんでした。1.5部では、ヒースはファウストの言葉をきっかけにシノとの距離のとり方を模索し始めます。折しも二人はミノタウロスの襲撃を受けます。一瞬シノはこれで自分が死ねばヒースの願い通りになると考えますがヒースに一喝されます。2周年にて、リケがミチルに約束を迫ったのを阻止したことで、シノとヒースは互いを守るという約束が縛りではなく、確かな絆の証であることを確認します。2部での経験はシノの内面を大きく成長させることになりました。東の魔法使いたちは魔法使いギルドの実態(現状)を確かめるべく、かつての本拠地であったらしいホテルを訪ねます。ネロとヒースが先に偵察に行っている間、シノはファウストに抱えていた不信感をぶつけます。シノはバラッドの依頼人を見つけ、東の国で起きている行方不明事件を聞きつけます。さらにホテルからネロとヒースの姿が消えてしまいます。ホテルは地下水路へと空間がつながっており瀕死のネロと黒豹のヒースがいました。シノはその正体がヒースであることをファウストに話します。ファウストは人造魔法使いとの戦いを一手に引き受け、ネロ、ヒース、また西の国の者たちの先導をシノに任せ、次期英雄として鼓舞します。結局、さらにつながっていた北の大地にたどり着いた時、ネロはブラッドリーにファウストはフィガロに介抱され、命はとりとめることが出来ました。その後、回復したファウストはシノとともにコルテーゼ領を襲っていたハリタスモルティファと戦うことになります。レノの話と、自らの人造魔法使いとの一戦の経験からファウストが体内のマナ石が狙い目だと気づき、最後は西の魔法使い、北の魔法使い、そしてカインが力を合わせることによって、西の国で起きていた変事の1つは解決することができました。これを境にシノは今まで積極的ではなかった座学や予習にも真面目に取り組むようになります。
17 出張 若まほ図鑑
11月26日はいよいよ5周年。現在、5周年ストーリーの中編まで読むことができます。何やら、魔法舎にシノの過去を知るらしい新たな魔法使いが現れたことでシノとヒースの仲が険悪モードに・・・そこで、二人の関係をプレイバック。
ヒースクリフ.ブランシェットは東の国の守りを固める名門貴族、ブランシェット家の次期当主です。両親は一心に愛情を注ぎますがヒース自身はそれを重く感じており魔法使いであることを申し訳なく感じていました。(叶わぬ吹雪に願いを灯してでは、フロスティが幼いヒースの心の隙間に入り込みます)シノは孤児でしたが、ブランシェット家に引き取られて以来、シノ.シャーウッドと名乗ります。今は森番を任せられており、同時にヒースの従者でもあります。2人は当初、ジャックという魔法使いに師事しますが、彼の罠にはまり、お互いを守るという約束をさせられてしまいます。(魔法使いは約束を守れなければ魔力を失ってしまうため、仮に弟子を敵を回すことになっても、ジャックは1人倒せばいいことになります)ジャックとヒースの二人は先に賢者の魔法使いとして召喚されファウストと出会います。ヒースはファウストに師事することを望みますが、ジャックはこの厄災戦で亡くなり、ファウスト自身も大怪我を負い、ヒースは賢者に助けを請います。(温室のラプソディでは、ヒースがオレンジの木を温室で友達のように育てていた思い出とともにカインやファウストなど前回の厄災戦を戦った者との日々も語られます)失った魔法使いの穴を埋めるため新たに召喚された魔法使いのなかにシノもいました。先の厄災と戦った者たちには魂に傷が残りました。ヒースの場合、当人のあずかり知らぬうちに黒豹と化し、敵、味方問わずに襲ってしまいます。シノはなかなかこの事実を打ち明けられずにいました。当初のヒースは主君として堂々と振る舞って欲しいというヒースの願いに反しているように見えました。黒豹化はヒースの願いが形に表れたものなのでしょうか。一方で、ニコラスが魔法使いを侮辱する発言をすると外交問題を持ち出して切り返すなどヒースにも芯の強さはあります。また向日葵のエチュードのように正式に魔法舎が稼働する前から当主代理として現地に赴いたり、真実の街の若い当主に寄り添ったり、東の祝祭や東のジューンブライドでは周囲から孤立して独自の風習を守っていたり、魔法使いを追い出すような態度をとる村に赴いても、弱き者や当事者の声に耳を傾け、人間と魔法使い、両者の間を取り持つなど責任感と優しさが垣間見えます。
16 2つのハロウィン
11月1日はオーエン、11月12日はクロエの誕生日です。一般的にハロウィンは10月31日ですが、実はもうひとつ日付が存在します。それが11月11日。
魔法使いであるオーエンとクロエがそれぞれにどんちゃん騒ぎをした悪者や死者たちが帰って日付を超えると誕生日を迎えるなんて、洒落てもいながら、両方とも魔法使いであることを恐れられてきたことをふまえると(オーエンは怪物のように思われ、クロエは偏見を受ける)どこか皮肉めいた設定にも思えます。というのも、そもそもハロウィンは正しくは「万聖節の前夜」のこと。本来は翌日の11月1日は「万聖節」というカトリックの祝祭の日なのです。hallowとは「聖なる名士(聖人)」を表す言葉です。8世紀半ば教皇グレゴリウス3世が殉教者の祝祭日を11月1日に移動し、全ての聖人の祝典にしました。100年後には教皇グレゴリウス4世が万人がその日を祝うことを求めました。それ以前からこの日は暦上、秋の終わりで冬の始まりでもあります。(因みに春を迎える祭りがワルプルギス)
何故11月11日にも似たような行事を行うのかというと、まずカトリック界隈では1582年、グレゴリウス13世が、それまでのユリウス暦では4世紀ごとに3日ほど誤差が生じることになり、復活祭の日を算定することが難しくなったため、グレゴリウス暦に変えるための署名をしました。ところがプロテスタント界隈ではそれよりも65年も前にドイツでルターが改革活動を行っていたのもあって、カトリック側が提示した新暦を受け入れることはなかなか難しく、古い日付で”ハロウィン”を祝う風習が残りました。新暦と旧暦の間にある誤差を計算すると11日分になるので、10月31日で祝う地域と11月11日に祝う地域があるのです。
また元々11月11日は収穫の守護聖人(並びに騎士、兵士、毛織物業関連者、物乞い、家畜、ホテル経営者、ワインの守護聖人でもある)聖マルティヌスに由来する祭日でもありました。11月10日に生まれたルターの名はこの人物から取られたものです。聖マルティヌス(聖マルティン)は城門で震えていた半裸の物乞いにマントを半分にして与えたといいます。この半裸の人物がキリストであるという説があり、マルティヌスが洗礼を受けるきっかけになったとされています。
参考資料
wikipedia
リサ.モートン(著)大久保康子(訳)ハロウィーンの文化誌.原書房,2014
15 5周年情報(記念特番)
youtube内で公開された5周年記念イベント関連情報+αがこちら。
オケコンと先行上映以外の現実世界で開催されるイベント情報、雑誌情報
ColyID情報は省きます。
★進行役4人(アーサー、カイン、ファウスト、シャイロック)により既に
 マナ石100個配布は決定。賢者様のx投稿の累積により50個追加なるか?
 #まほやく5周年合コン(〜12日)目標2万件
(前夜祭)
★カウントダウン国別ガチャ(既に南、西、東は終了)
★訓練に期間限定で「魔法舎の森」が登場。
★限定依頼
(魔法使いのアイテムをあつめて修練室で5か国分のタペストリーを作成)
★期間限定のシークレット依頼
有償限定2nd&3rdyearガチャ
★4th復刻ガチャ
★メインスト1.5部が期間限定解放
→★ピックアップ解放(2nd,3rd,4thアニバーサリー)
(5周年イベント)
★11月17日(18時)〜11月29日(12時59分)
ストーリー及ログインストーリーは都志見先生書き下ろし
※4周年まで履修してストーリーは読みましょう。
★祝宴の花束を集めよう!目指せマナ石110個!
★イベント中に厄災を倒してお座りサクちゃんをGET(〜29日)
→スペシャルアイテムショップでボイスや称号、背景と交換(〜12月6日)
5周年カード(全員SSR)もエフェクト付き。↓
5周年国別ピックアップガチャ&有償限定ステップアップガチャ開催
11月15日(18時)〜12月2日(12時59分)step3&step5 SSR確定
                    Step7 5周年SSR確定
★11月15日〜11月29日
 @最大165連無料ガチャ 毎日11連無料 
  11月26日当日は5周年限定カードも。
 A賢者レポート再登場
★11月21日〜26日で連続5日間ログインすると、
         ボーナスでマナ石300個GET!
★11月15日〜11月29日 魔法舎で魔法使いがお出迎え&
           サクちゃんから思い出のドロップをGET!
(機能関連)
★育成カード所持上限は 2100に。(100枠プレゼント)
★親愛度上限は     60に。
★ガチャポイント上限は一気に2桁up
★1月のアニメ化に合わせて親愛ストーリーのヴォイスが実装
★「予言の書」を全育成スポットで見られるように(予定)
(アニメ)
★1月6日〜7日が初放送日となります。
★OP主題歌はMiliさんが担当。「Year N」
12月10日、1話&2話先行上映会実施 丸の内ピカデリー 開場18時40分
                          開演19時10分
(オケコン情報)
1月27日 開場17時00分   開演18時30分 東京ガーデンシアター
              終演21時予定
MC三浦さん(ラスティカ)&天崎さん(クロエ)
ゲストCassie Weiさん
(商品情報)
@2025年1月22日〜 魔法使いの約束サウンドトラックCD第二弾発売
★Miliさんが魔法使いの約束5か国イメージ曲書き下ろし
中央の国 Process/北の国 Whiteout/西の国 Gluttony
東の国 Monsters in the Woods/南の国 Life We Sow
→5周年期間限定、5thイベスト&各育成スポットBGMにも採用。
Aレシピ本第二弾制作決定
14 ジタンの巡礼祭
※ジタンはフランス語でスペイン語ではヒターノ。
いわゆるロマの人々のこと。
こちらは同じマリアでもキリストの母親である聖母マリアではありません。
キリスト受難後、南フランスの浜辺に一艘の小舟が流れ着きました。
乗っていたのは、聖母の妹マリア.ヤコブ、ヨハネの母マリア、そして
マグダラのマリア。そのうちマグダラのマリアは一行と別れ、
残りの2人のマリアと侍女のサラは上陸地にとどまって一生を終えました。
その土地が後にサント.マリー.ド.ラ.メールと名付けられ、
祭りが催されるようになりました。侍女のサラはロマの聖人となりました。

毎年、5月24日〜25日の2日間、ヨーロッパ中に散らばったロマの人々が集合し、教会にある2人のマリア像を崇めます。地下祭室にはサラの人形もあります。
初日は黒いサラの像が、翌日には2体のマリア像が教会から下ろされて
町中をパレードし、ロマの巡礼者らによって担がれて、海へ運ばれ、
聖水をかけられます。

尚、10月22日に一番近い土、日にも巡礼者の祭りがあるそうなので、
今回のフィガロはそれに合わせてきたのかもしれません。
13 神像売り
このイベストのカドストを読むと、商品として彫刻の価値を見定めるブラッドリーのエピソードがあります。そこでこんな逸話も紹介。
「ある男が木彫りのヘルメス像をこしらえて、市場へ売りに行った。さっぱり買い手がつかないので、人寄せをしようと、商売繁盛の神はいらんかねと大声を張りあげた。すると、その場に居合わせた男が、「おい、そんなに有り難いものをどうして売るのだ。自分がそのご利益にあずかればよいのに」と野次るので、答えて言うには、「俺には手っ取り早いご利益が必要なのに、この神様はゆっくりとしか儲けを授けて下さらないからさ」恥ずべき儲けを追い、神々をも顧みない男にこの話はぴったりだ」(中務哲郎訳)
12 高慢といえば
ヘルメスを題材にしたイソップ寓話にはこのような話もありました。
訳はどちらも中務哲郎氏です。
ヘルメスと彫刻家
「ヘルメスは人間界でどれほど尊敬されているか知りたいと思い、人に姿を変えて彫刻家の工房へ入って行った。ゼウス像を見つけて「幾らかね」と訪ねたところ、「一ドラクメです」との答。安いのでおかしくなって、「ヘラの像は幾らだ」と訊くと、もっと高いと言う。自分の像もあったので、何しろ自分は神々の使者で利値の神さまだから人間はさぞ高い値をつけているに違いないと思い、重ねて、「で、このヘルメスは?」と尋ねた。すると彫刻家の言うには、「いやなにこちらの二体を買ってくださるならそいつはおまけで差し上げます」人からは物の数にも入れられぬうぬぼれ屋にこの話はあてはまる」
ヘルメスと蟻に噛まれた男
「船が乗客もろとも沈むのを目撃した男が、神の裁きは正しくないと言った。罰あたりが一人乗りこんでいるからといって罪もない人が大勢その巻き添えを食って死ぬのだからとこんなことを言っていると、よくあることだが、蟻の大群が小麦の籾殻を齧ってやろうと、男の方へ向かって来た。そして中の一匹が咬みついたところ、男はたくさんの蟻を一緒くたに踏みつぶした。するとヘルメスがこの男に現れ杖で打ちながら言うには、「これでもお前が蟻にしたのと同じ仕方で神々がお前たちを裁くのが我慢ならぬと言うか」」
11 神曲の抜粋
「今はともかく、いずれは私もあなたたちのように、目蓋を縫われて耐えなければならない、そんな一人の人間だ。私はあまり他人を羨んだことは無いから、ここで耐える時間はそれほどではないかもしれないが、私にとって、もっと心配なのは、この下の環道、高慢の罪を浄める場所だ。そこできっと私はそこでは他人よりも長い時間苦しむことになるだろう(中略)私はただの旅人だ。あるべき道を求める心持ちは誰にも負けないとは思うが、今は全くの無名だ」その時頭上から天使の声が聞こえてきた。他を妬むことの非を説いたそれらは、強くなり、弱くなり、忘れていたものを思い出させるかのように時折、雷のようにあたり一面に鳴り響いた。歌い終わった天使は、目を射る光を全身に放ちながら、私たち二人の方にやって来て言った。「もう良い、先へ行くがいい。坂はもっと楽になっているはずだ」言われて私たちが第二の環道を後にすると、それを祝福する歌声が切なく山にこだました。すでにこう一つの、Pの文字が消えていた」
引用文献
ダンテ(著).谷口江里也(訳.構成).神曲.
株式会社アルケミア,1996
10 神曲の抜粋
「見れば粗末な服をまとった大勢の人が座りこみ、岩に体を寄せている。やはり祈りの歌声が聞こえてきたが、ここではそれが、言いようのない、悲痛な響きに満ちている。弱々しい声が集まり、岩に返され、まるで環道全体が、切なく震えているように思われた。どうやら彼らは全員目を閉じてでもいるのか、あれだけ多くの人がいるのに、視線というものが全く感じられない。もしかしたら盲目なのかもしれないと思ったが、近くに寄ってみたとき、私はそこに信じられないものを見た。目蓋が針金で縫いつけられていたのだ。その痛ましさを何と形容したら良いだろう。他人を羨み妬むという、さもしい罪を浄めるために、そうして誰もが目を結び、その目に涙をにじませていた。「マリア様、ミゲル様、ペドロ様、全ての尊いお方よ、我らの基へ。」切実な歌声が震えながら地面を這って行く。ここで耐える時間は、どんなに長く感じられることだろう。ああ、煉獄の山を取り巻く環道が、ここでは身動きも出来ぬほど狭く、人は皆、互いに身を寄せ岩にもたれて待っていた。盲目の人はよく顔を上に向けているが、ちょうど彼らもそうして天に祈るかのような姿勢のままで、私たちの足音のする方に体を向けるのだった。≪もしかしたら私たちを天の使者と思って赦しの言葉を待っているのだおるか≫不憫でもあり≪何か一つでも≫と私はその中の一人に言葉をかけた。ー
9 神曲の抜粋
煉獄編より
「振り向くと、そこに石の門があった。三色の石段があり、その上に一人の天使が腰かけていた。白刀の剣を持ち、毅然と前を向いていた。一段目は白の、二段目は濃藍の、そして三段目が鮮血のような赤の大理石で出来た石段の上から、天使が私たちのことを問い質した。応えて師が事情を話し、加えて私が開門を慎ましやかに願い出た。金色に焼けた灰のような色の衣を着た番人は、凛とした表情を少しも崩さず、私の胸を三度叩くと、手に持つ剣で私の額に、罪を表す頭文字、七つのPを刻み込んだ。そして今度は金と銀二つの鍵を取り出すと、それを使って重い鉄の門をおごそかに開いた。 
決して後ろを振り向くな
汝の額の七つの傷を、我刃が刻んだ七つのPを
一つ一つ流し去れ、決して後ろを振り向くな(中略)
私たちは狭い岩間をすり抜けて、とうとう煉獄の山を取り巻く七つの環道の、その最初の環道に入った。(中略)
「人間は脆いものだ。どんなに強い外敵も、自分自身が内に持つ悪しき感情ほどには、打ち負かすのが困難ではない。煉獄の七つの環道ではそうした罪を浄めるために、自ら苦を負い、そして耐える人たちがいる。ほら、向こうに見えてきた。重い石を背負い、腰をかがめ、まるでおじぎをするかのように頭を垂れて、ゆっくり道を行く人が・・・・・・。人間が犯しやすい七つの心の罪のうちの一つ、高慢、うぬぼれを浄める人たちだ。」見れば誰もが裸のままで、石の重みに耐えながら、ただ黙々と坂を登っていた。(略)しばらく行くと道が平らになっており、地面に様々の像が浮き彫りになっていた。聞けば高慢により罰を受けた十三の人物像がそこに形作られていたのだという。ニオベがサウルが、ギリシア神話や聖書を知る人物たちが、その最後の姿を、そこに永遠にとどめていた。中でも目をひくのはアラクーネだ。美貌と、美しく機を織る技術を鼻にかけ女神アテネとその技を競ったあげく、ついには蜘蛛の姿に変えられてしまった、あのアラクーネがそこにいた。十三人が生きたまま石像と化したような場所から、一歩外に踏み出ると、体が幾分軽くなったように思われた。気のせいかと思ったが、ヴィルギリウスにそう言うと、師は微笑みながら教えてくれた。「もしここに鏡があればおもえにも判るのだが、おまえの額のPの文字が、ここで一つ消えたのだ。さあこれから煉獄の第二の環道だ、ここでは嫉妬の罪が浄められている。」ー
8 神曲の抜粋
「私たちは暗い路を行った。やがて深い谷を見下ろす崖の上に出た。そこが地獄の第八の圏、十の邪悪の壕の最後の壕だった。暗く沈んだ底に何やら蛆虫のようなものがうごめいているのがかすかに見えた。どうやら亡者たちであるらしい。嘆きの声のいくつかが、流れ矢のように鋭く、私の胸を突き抜けた。耳を覆わずにはいられなかった。立ち上る臭気、そして近づき、目が慣れるにつれてよりハッキリと見えてきた彼らの姿に、私はいっそ、五感の全てを麻痺させてしまいたかった。腐敗する体で地を這いずり回る亡者。顔も手も、目も指も、崩れてカビが生えていた。そこは錬金術師や贋金造り、詐欺師たちの地獄だった。全身を異常な痒さが苛んでいるのだろう。誰もがころげまわり、体を砂にこすりつけ、狂ったように爪で体中を掻きむしっている。所々乾いてカサカサになった皮膚が、爪で掻かれる毎にバラバラ落ちる。掻いても掻いてもきりがない。身から出た錆と、やはり言うべきなのだろう。腐って落ちた皮膚が、地面を被ってカビを生む。それがころが回る体に付着して、更なる腐敗と痒みをよぶ。すえた臭いがあたりに籠る。息をつくのも苦しい程の異臭の中で、おそらく苦しさをまぎらわすためだろう、わめきちらしている亡者がいる。大声をあげて息を吸い込めば、その分だけ更に、今度はカビが中にも巣くう。恐るべき悪循環の中を、無数の亡者が、蛆虫のようにうごめいていた。自らの、腐った体のすみずみが、更なる腐敗を育てていた(略)路端には、病んだ亡者の声が満ち、自分の足で立つことすら出来ない亡者も大勢いた。しばらく行くと、互いにぴったりと身を寄せ、もたれかかる二人がいた。まるでそのまま縫い付けてくれと言わんばかりの二人だが、それが頭から足の先までぴったりとこびりついたかさぶたに、全身被われていた。二人は贋金造りだった。二人でしきりにかさぶたを、まるで魚の鱗でもとるように、掻き落としていた。いろいろな亡者たちがいた。猛り狂い、追い回し、引き倒し、噛んで相手の身を裂く狂人がいた。体の一部が痩せ細り、他の部分が水ぶくれになった異様な亡者もいた。贋金造りに詐欺師、偽証の罪を犯した亡者や遺言状を偽造した亡者、自分の欲望をとげるために道を外れた、ありとあらゆる亡者たちが、そこにはいた」
7 神曲の抜粋
「私たちは、こっそり谷間を抜け出すと、地獄の第八圏の第八の邪悪の壕に向かう道を行った(略)「あれがマホメット。さすがに気丈なものだ。その前を、顔を縦に割られて泣きながら駆けて行くのはアリ、彼のいとこだ。ここには分裂、仲違いの元凶をなした者がいる。向こうに長い剣を持った鬼がいるだろう。あいつがあの鋭い剣で手当たり次第に切りまくる。一族や身内、同じ仲間の間で骨肉の争いをさせた連中がここでこうして、今度は自分の体を切り裂かれている。」
「彼らはどこへ向かって駆けているのですか?」
「この涸れた壕は丸い円になっている。ああして割れた体をかかえて、連中はそのサーキットを回るのだ。走らずにはいられないだろう。生身の人間なら即死するほどの傷だ。痛みにかられて走り続け、またここに戻ってくる頃には、いつの間にか傷が元通りになっている。消えた痛みに気付く間もなく、そこにはもう鬼の剣が待っている。戦をけしかけた者はその舌を、人の心を惑わした者はその頭を、鬼の剣が叩き切る。中で最も重い罪は、異端の教えをもった主の民を、分裂対立へと導いた者たちだ。」
「見るがいいこの俺を!俺が手に持つ提灯が、俺の行く手を照らし出す。俺の姿を映し出す。元は一つのこの体、離れて見ればよく見える。俺の首には足が無い、俺の肩には首が無い。元は一つのこの体、俺の名前はベルトラン、俺の名字はボルン。一つお城に住んでいた。一つ体で息をした。俺の名字はボルン、俺の名前はベルトラン。ああ暗い、暗くて見えぬ足元が、照らせ行く手を俺の首、少しは先が見えるなら。ああ寒い、体を風が吹きぬける、夜風が胸を吹き抜ける。かつて俺は詩人だった。ボルン家のベルトランと言えば、少しは知られたものだった。俺の言葉が一つの国を割る程に・・・・・・。ー」
6 神曲の抜粋
※以下はグロテスクな内容を含みます。
地獄編より
「第七の邪悪の壕には、盗人たちが墜ちていた。何と形容したら良いのだろう、その凄まじい光景を!無数の裸の亡者と蛇、蛇が首筋に噛みつくと、亡者の体はたちまち燃え尽き、灰になる。灰はそのまま元の姿の形に落ちて、再び五体が甦る。蛇が絡まり、体を伝い体中を締めつける。しびれる毒が、鋭い牙が狙いをすます。逃げて隠れる場所も無く、それを持てば姿が消えるという、魔法の石も今は無く。くり返す無限地獄。蛇地獄。人が逃げ、蛇が追う。しかし谷は狭く、それに比して、蛇の数はあまりにも多い。(略)そのうち一匹の巨大な蛇が三人の男を追ってこちらの方にやってきた。(略)蛇は素早く中の一人に追いつくと、足を絡めて大地に倒す。尾が男の胴から足を締めつけて、胸から手、そして首へと蛇の頭が絡みつく。巨大な蛇がギリリと男を締めつけると、世にも不気味な音がした。どうやら男の骨という骨が、音をたてて砕けてしまったに違いない。蛇と男は固く絡みあったまま、しばらくじっとしていたが、やがて蛇の尾がプクリと動き始めた時、渡しは見ていること目を疑った。蛇の尾が二つに別れ始めたのだ。そして蛇はその尾で、グニャリとなった男の二本の足を締めつける。と、見るまに、二本の足が一つとなって、それに応じて二つに割れた蛇の尾がしだいに人の形をとり始めた。やがて蛇から手がのび、男の体から手が消えた。蛇が煙を吐き、それが低く、それらを包んで漂う中を、髪が落ち、髪が生え、耳が消え、そしてもう一方に耳がついた。ほんの少し前まで断末魔の叫びをあげていた男の口が、今ではすでに先が二つに割れ、赤く細い舌を出し、シュウシュウ音を立てていた。前代未聞の転換が行われたのだ。男は蛇に、そして蛇が男になった」
5 イソップ寓話
病気の鹿
「森に住む鹿が、軽やかな脚が動かなくなったため、原っぱに出て乳香樹の若芽の豊富な所に臥せっていた。そこなら腹が減っても、若芽をすぐに餌にできたのだ。さて、この鹿はおとなしい隣人であったので、いろんな動物が群なして見舞いに訪れ始めた。しかしどいつもこいつもやって来ては病人のことなどそっちのけで、葉っぱをむしゃむしゃ食べては森へ帰って行った。このため鹿はまだ嘴細烏の二倍の寿命も満たしていないのに、病気ではなく飢えのために、骨と皮になってしまった。友だちさえいなければ、老齢まで生きたであろうに」(中務訳)
因みに、嘴細烏の寿命は人間の九倍、鹿はその四倍、大烏はその三倍に相当するそう。
この話は、フィガロがファウストだけに打ち明けた寿命が近いという話、また(フィガロガ南の医師であることも関係していると思いますが)現に2部で北の精霊を使役するのに時間がかかっていることや七夕で皆の願いを叶えるべく双子先生の手助けを借りている話にもつながってくると思います。
また、ハシボソガラスに象徴されているオズとの年齢差やファウストが友達アレクにかまけて自分をないがしろしたというフィガロの当初の気持ちも込められている物語のように感じます。
またヘルメスと彫刻については以下のような逸話があります。
ヘルメスと石工
「石工が白大理石でヘルメス神像を彫って売りに出した。二人の男が買おうとしたが、一人は最近息子を亡くしたのでそれを墓石にするつもり、もう一人は職人で、神像として安置する予定だった。その日はもう遅かったので石工も売り渡しはせず、二人が明朝来た時にもう一度見せる約束をした。さて、石工が眠ると、ヘルメス自身が夢の虎口に現れて、こう語るのが見えた。「やれやれ、死人にされるか神様にされるかわしの運命はお前の秤にかけられているわけだ」」(中務訳)
※「オデュッセイア」によると夢の門は二つあり、象牙の門を出て来た者は逆夢、角の門を潜って来た者は逆夢という。
4 3つの彫刻
≪ミロのヴィーナス≫
1820年、メロスあるいはミロというキクラデス諸島の島(エーゲ海にある島)で、ヨルゴスという名の農夫が鋤で畑を耕しているときに発見された。
像の一部だったリンゴを持つ手を含む、他の断片とともに。リンゴはパリスの審判により、もっとも美しい者に選ばれたヴィーナス(アフロディテ)を指し示すものだと考えられた。ただし、建築家のフォンテーヌは日記に、「保管されている破片が偶像の一部であると言う人もいれば勝利の女神だと言う人もいたが最終的に行政のトップたちはこれをヴィーナスと呼んでいる」と記している。
≪サモトラケのニケ≫
「この勝利の彫像の名前は、1863年4月15日にこれが発見された場所であるエーゲ海北方のサモトラケ島(現サモトラキ)島に由来している。この有翼の女性像は勝利の女神ニケに他ならない。船の舳先に立っていることから、海戦の勝利を記念したものであることは明らかだが、具体的にどの戦闘に関するものかはわからない」
(以上の出典,パスカル.ボナフー(著)田中佳(訳).ルーヴル美術館の舞台裏 知られざる美の殿堂の歴史.西村書店。以下は『世界の彫刻1000の偉業』より引用)
「ヘレニズム芸術のもっとも力強い作品のひとつが≪サモトラケのニケ≫であり、エーゲ海の北東にあるサモトラケ島の聖域にあった大規模な記念建造物の部分である。もともとニケは戦艦の舳先に舞い降り、勝利を表していた。その石像の舳先がこの躍動感あふれる像の台座であるが、それらが一体となって、海の波を表す噴水を備えた風景の中に設置されていたのである。この風景と美術と演劇的要素の組み合わせが、ヘレニズム時代の特徴である。(略)ニケの両足の間で大きく膨らむ布地の動きが、この作品にそれまでの彫刻にはない躍動感を与えている。
≪アルテミスと雌鹿≫(ヴェルサイユのディアナ)
「鹿を伴って駆け、狩をする力強いアルテミスの描写は、紀元前4世紀のギリシアのオリジナルに由来すると考えられている。アルテミスは処女神のひとりで、狩人であり、野生と豊穣を司る。豊穣との関連から、彼女は出産の女神ともされる。アルテミスはアポロンと双子で、この彫刻のコピーは、しばしば≪ベルヴェデーレのアポロン≫のコピーと対にされる。野生の庇護者と狩人という彼女のふたつの役割が、この作品に認められる。つまり、狩をする一方で、保護する雌鹿を伴っている。一方の手を矢に伸ばし、もう一方の手は修復されているが、もともとは弓を持っていたであろうー」
※また有地京子氏によると、純潔の処女神アルテミスは愛欲を司る愛と美の女神ヴィーナス(アフロディーテ)ともよく対比されるそう。(『名画で味わうギリシャ神話の世界』より)
3 キーワード
@ペルラ
これは「ミロのヴィーナス(アフロディーテ)」と「サモトラケのニケ」という二つの彫刻、及び聖母マリア(それもステラマリス=海の星の聖母と呼ばれるもの)が合わさった存在と考えられます。特にニケとステラマリスはともに航海をする者にとってその安全を支えたり導いたりする存在です。ペルラは海にあったものを引き揚げられました。そしてイライジャはその再現を試みます。
Aフィガロ
フィガロはイエス.キリストで、北5、南のレノ、東のネロとファウスト、西のラスティカ、シャイロック、ムル、中央のオズは12使徒ではないかとする説があります。今回もその流れでステラ.マリスを意識したエピソードが挿入されているものと思われます。また、彼は同時に自分のことを「鹿」として過去を話しています。鹿は狩りが得意で三日月をシンボルとするアルテミスが連れて歩く動物でもあります。またイソップ童話にも、フィガロを意識させる存在として鹿が用いられていることを感じさせるエピソードがあります。
B神曲(ダンテ)
渡し守カロンは冥界へ魂を連れていく存在です。ダンテはウェルギリウスを案内人に、地獄、煉獄そして天国を旅していきます。地獄の最終地点にはルシファーがいて氷地獄が待ち受けます。煉獄は7つの大罪のように、地獄での罪を購う場で、地獄をひっくり返したようなところです。ミスラは渡し守として死者の魂を運んでいます。シノの先生、ファウストは性をラウィーニアといいます。これはダンテを案内するウェルギリウスの著作物の主役の妻の名前です。また物語ではイライジャはひどい傷を負い。また周囲の彫刻も歪な形をしていますが、これも神曲の記述に類似するものと思われます。
Cヘルメス
ヘルメスは盗んだ牛を自分が作った竪琴と交換したことや冥界への案内人や神さまの伝令役を務めたことで、盗賊や旅人の神として崇められています。つまり今回のメンバーではブラッドリーにあたる存在です。
2 流難の神様に捧ぐ祈りは
今回のイベントは理解が難しいので、前提となる情報を書いていこうと思います。まずは前半部のあらすじから。
賢者がフィガロやフィガロに魔法をかけてもらったアーサーが市場で買い物をしているところに、フィガロの昔なじみが現れます。彼はフィガロが北で神のように崇められていたことを知っている人物でした。フィガロが離れた場所で話を聞くと、とある「神様」に執心してしまっている魔法使いについて心配しているようでした。同時期、北の国と東の国の境で陶器(彫刻)が歩いているような音が聞こえる怪異が発生していました。そこで、アーサー、ミスラとルチル、ネロとブラッドリー、シノ、リケそれにフィガロが賢者とともに現地へ向かいます。森の中で封印の甘い場所を見つけた魔法使いたちはある館に入ります。そこにあったのは歪な形をした彫刻でした。さらに倒れている魔法使い、イライジャを見つけます。彼こそが神様、ペルラに執心しているという件の魔法使いでした。イライジャの体には複数の痛々しい傷がありました。フィガロはイライジャがとある鹿と出会った時の昔話をします。その鹿は村人から崇められていましたが、洪水が起こり鹿を残して村人を呑み込んでしまったといいます(賢者は洪水ではなく、雪崩でしたがフィガロの過去として同様の話を聞いていました)その鹿がイライジャと出会います。イライジャは海の底からペルラの彫刻を引き揚げます。イライジャ以外の村人は信仰対象をペルラから代替わりしようとしていましたが、イライジャは異を唱え、一人信仰を続けようとします。