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1 無名さん

ホテルのトイレの窓から

私は霊感があるほうではないのですが、今までにちょっと不思議な出来事を経験したことが2~3回あります。
その中でも特に忘れられない出来事についてお話したいと思います。
それは私がまだ19歳の時にことです。
当時私はバンケットコンパニオンの仕事をしていました。
当時はまだ仕事がたくさんあり、私はアルバイトとして勤めていました。
私が不思議な体験をしたのは東伊豆に行った時のことです。
その日は大部屋で約100名くらいのお客様の接客をしました。
私はいつも途中でトイレに行きたくならないように、仕事が始まる少し前に必ずトイレに行くようにしていました。
その日は同僚は行かないというので、私は一人でトイレに行きました。
いつも来ているホテルだったので、いつも通り当たり前のようにトイレにたどり着き用を足すためにトイレの個室に入りました。
すると、夏だったためかトイレの窓が全開になっていたので私は窓を閉めようと思い手を伸ばした次の瞬間、窓の外に和服を着た女性がいるのが見えました。
年齢は50代くらいでこちらを見て優しく微笑んできました。
私が驚いて「窓を閉めていいでしょうか?」と言うと、その方は何も言わなかったので仕方なく「すいません、閉めますね」と言って窓を閉めました。
その後は何もなくそのままトイレを出たのですが、後から考えるとあの女性はとても不自然です。
まずトイレの真横に女性が立っているのも変ですが、そもそもトイレがあるのは2階でした。
女性がトイレの外に立っていられるはずがないのです。
また、その女性が来ていた着物はそのホテルの他の仲居さんが着ている物とは全く違っていました。
つまり、そのホテルの仲居さんではないということになります。
では一体あの女性は誰だったのか?
今でも思い出すと背筋がゾッとする話です。
その日はそれが不自然なことだとは思わなかったので、他に同僚に「こんな女性見たことある?」と聞かなかったのですが、後から聞いてみると誰も見たことがないと言っていました。
ただ、その日を境に私は不思議な体験を一切しなくなったので、あの女性は怖い存在ではなく守り神のような存在なのかもしれないと勝手に考えています。
人に話してもあまり信じてもらえない話ですが、これは私が体験した本当の話です。
今は霊感は年齢とともになくなっていくものなのかもしれないとも思っています。