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1 無名さん

ある地方の総合病院

私は医師として約10年色々な一般病院で勤務してきましたが、ある地方の総合病院で勤務していた時の話です。あるフロアの病棟は、心臓疾患の急性期病棟で、治療中に亡くなってしまう患者さんも珍しくありません。ちょっと年季の入った建物で、少し雰囲気があるのです。ちなみに、この病院、私が赴任する少し前に患者さんが屋上から飛び降り自殺してしまったそうです。

本題に入りますと、知り合いの看護師さんから聞いた話です。深夜、病棟を巡回していた時でした。エレベータを待っていたのですが一向にのぼって来ない。ランプは1Fに止まったまま、動く気配がありません。5分ほど待ってはみたのですが、あきらめて階段で降りることにしました。3階分ほど過ぎたあたりで、強烈な違和感を感じました。スニーカーなので靴音は小さいはずなのに、妙に音が響くのです。 注意しながら降りてみると、靴音が多い足音と少しずれたテンポで、もう一つ足音が聞こえた気がしました。 階段への扉があいた音は記憶にないし、周りに人の姿はどこにもありません。気のせいだと思いつつも、気味が悪いので駆け足になります。そうしてスピードがあがると自分の足音も大きくなりますが、その内に、もう一つの足音もハッキリと聞こえるようになりました。半分ほど降りたあたりからは、もう明らかにスニーカーではない固い靴音が カン、カン、カンとすぐ隣で響いていました。パニックになりつつ、とにかく足を早めて何とか下までたどり着きました。最後の一段を駆け降りようとしたその時です。はっきりと足音を響かせ、目に見えない「誰か」が笑いながら脇をすりぬけていきました。 女性か子供のような、高い声だったそうです。他にも、廊下で見た、エレベータで見た、声を聴いた、肩を叩かれた、上半身だけで彷徨っている患者さんの幽霊をみたと、体験談が後をたたないようです。病院には様々な人の後悔や、未練、怨念が彷徨っているように思います。私自身ははっきりと見たことはありませんが、やはり不思議な体験はいくつか経験がありますし、長く医療業界に勤めていると体験している場合は少なくないようです。私も知らない病院の当直バイトに行くのは時々怖い気分を味わうことがありましたので、最近は避けています。夜の病院の恐怖体験のお話でした。