PR:一生忘れない怖い話の語り方 すぐ話せる「実話怪談」入門
1 無名さん

私には友達がいません

私には友達がいません。
それはいろんな要因があると思いますが、決定的な要因となったのは今からお話することが根本的な原因だと思っています。
私は虐待されて育ちました。
家では弟が可愛がられ、私には自由も、選択することも許されませんでした。
勿論、洋服や可愛い髪型をさせてもらえないので、小学生の時からいじめにも遭っていました。
小学校と中学校は大体同じメンバーが多いので、必然的に中学校でもいじめられていました。
自殺しようと何回も思いました。
でも怖くて怖気づいて、いつも思うだけでした。
毎日辛くて苦しくて、学校でも家でも私の居場所はなくて近所の駐車場が私の唯一のくつろげる場所でした。
そんな中、高校受験がありました。
私は中学校のみんなが行かないであろう高校を選びました。
今思えばそんな理由で高校を選んでしまって少し後悔していますが、当時の私にはそれしか生きる方法がないとまで考えていました。
志望校は案の定、私と同じ中学の子はいませんでした。
ここで私はやっと高校デビューしました。
高校1年の時はとても楽しかったです。
あぁ、友達がいるってこんなに楽しいんだ!毎日充実している!そう思ったのを今でも思い出します。
しかし、そんな生活も1年は続きませんでした。
今でも覚えています。
あの日、学校から帰ってきて家の椅子に座ったとたんメールが来ました。
メールのあて名は自分の名前でした。
「おまえ最近学校で調子にのってんじゃん。」
と、顔文字も絵文字も何もない文だけが私の携帯に届いたんです。
私はびっくりしましたし、とても悲しかったです。
「なんで?さっきまでみんな仲良くしてたじゃん。どうして?誰なの?なんで私の名前で私のメールに届くの?」
私は頭が混乱していました。
すると続けざまにもう1通届きました。
「いつまでも調子に乗ってんじゃねえよ。まあ明日から気をつけな。」
こういったメールがまた私に届きました。
私は現実を見たくなくて、怖くてすぐその2通を消してしまいました。
メールにあんなことが書いてあったんじゃ、怖くて明日から学校に行けない。
今まで仲良くやってきたのに。
でも、不思議なのが私のアドレスは、まだ友達1人にしか教えていませんでした。
しかもまだ初期のアドレスで、携帯自体も買ったばかりなのに誰がこんな事をしたのでしょうか。
私はすっかり次の日から大人しくなってしまい、またいつもの独りぼっちになってしまいました。
そして、独りで過ごす様になってから別の棟に歩いていく白衣を着た男の人を見るようになりました。
科学の先生は白衣を着ていますが年配の先生で、私が見たのは40代くらいの男の人でした。
決してその先生を間近で見ることはなくて、いつも別棟からチラッと見かける程度でした。
そんな時妙な噂を聞きました。
ウチの高校は元々病院だったのを改造して高校にしたみたいで、不思議な造りをしていました。
私は一人でいるときはいつも決まって、3階の角の階段にいました。
そこの階段は誰も来ないのでとても気が楽だったのですが、不思議と誰も来ないような暗くてジメっとした場所でした。
3階の階段には屋上に続く階段があるのですが、その階段の隣にまた登れるような階段の名残りみたいなのがありました。
その階段の名残りはコンクリートで埋められていて上に行くことができませんでした。
私は屋上に行こうと近寄ってみましたが、屋上には上がれません。
「しかたないか。」
と、階段を降りているときに突然左肩を誰かに押されるような感触がありました。
「あ!危ない!」
と思う間もなく、ガガガっと階段を4段くらい転げてしまいました。
私はびっくりしました。
だって今ここには私しかいないはずなのに。
恐怖とびっくりで動けないでいると右耳にこう聞こえました。
「調子に乗んな。」
女性の声でした。
私はあまりの怖さに、痛めた足を引きずりながら自分の教室へと戻っていきました。

その時初めて自分に霊感があるのを自覚しました。

今までの変なことも霊の仕業のせいだったのだと悟りました。
その日を境に、学校では普段見ない生徒をみたり、知らない先生に話しかけようとしてみたりと怖い目にあってきました。

そして3年前、高校の同窓会がありました。
私は勇気をだして、当時友達だった女の子に昔のことを聞いてみました。
「あれどうしたの?○○ある日から何も話さなくなったよね?」
と言われたので「だってアドレスから調子に乗るなってメールがきたから・・・。」と言うと、
「え?そんなことがあったの?私は知らないよ?」

と、びっくりしていました。

でも私は自分のことも友達も何も信用できません。
だってあの日から世界が変わってしまったんです。
自分が話していた人、触っていたもの、それがこの世のものじゃないと知ったとき、段々信用できなくなっていきました。

自分が見えないものを見て、話をして、触っていたんだとしたら一体何を信じればいいのか分かりません。

もしかしたら学校の上履き隠しも、体操着紛失も、シャープペン紛失も、知らない先生がいたのも、知らない生徒がいたのも、誰もいないのに肩をトントンされたのも、トイレで首を吊っている人がいるのも、霊の仕業かもしれないし、人間の仕業かもしれない。
それが自分ではわからないので、それからはもう友達はいらないと決意しました。