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1 無名さん

田んぼの先の人影

ゴールデンウィークのその日は、栃木県に住んでいる親戚の家に家族で遊びに行きました。
ほぼ毎年、ゴールデンウィークや正月に、親の連休に合わせて行くと言うのが通年のイベントとなっておりました。
が、2000年のその日は、いつもの家族旅行とは違うものになってしまいました。
車で自宅を出発し、高速に乗り、途中のパーキングに寄ってから親戚の家へ行くのがお決まりのパターン。
その時もいつも通りに出発し、高速のパーキングに寄りました。
トイレを済まし、なんとなくその広いパーキングの端の方を眺めていると、遠くの方に人?の様なものが立っている事に気付きました。
その足元に目をやると、小さな犬らしき影が二つある事にも気付きました。
その時は、たいして気にもとめず、出発の時間もあったので、そのまま車へ戻る事にしました。
そこで見た事を特に家族に話す訳でもなく、そのまま親戚の家に到着しました。
例年のことなので、到着するやいなや、家族は親戚の家の中へ。
ただ私は、ふと、親戚の家の周りに広がる田畑の方へと目をやりました。
すると、奥の方にある田んぼの先に、人の様なものが立っているではないですか。
まぁ、田畑で仕事をしている人だろうと思ったのですが、よく見てみると、その足元には2つの犬の様な影があるではないか。
「えっ、まさか…」と思いはしたものの、従兄弟から声をかけられたので、その時も特にその影に気を止めるでなく、親戚の家の中へと入りました。
あっと言う間に時間が経ち、初日は特に何がある訳でもなく過ぎて行った。
翌日、誰よりも先に目を覚ました私は、外の空気でもと思い家の外に。
朝の空気を目一杯吸い込もうと伸びをして一呼吸した時、目線の先にまた、その影があるではないか。
流石に少し驚き、それ以上に恐怖を覚えました。
そんな中、目を凝らして見てみると、足元にいる2つの影がハッキリと分かりました。
犬かと思っていたその影は、狐だったのです。
その瞬間、「あ、これは見たらいけないヤツだったのかも…」と思いました。
恐怖を覚えたのですぐに家の中へと戻り、誰かが起きてくるのを一人待っていました。
朝目にした事に恐怖を感じつつ、親戚の人や従兄弟と過ごしている内に、すっかりその事を忘れてしまったまま、2日目の夜。
寝ていると、妙に寝苦しくて目を覚ましたのだけど体が動かない。金縛りだ。
「どうしよう…」と思っていると、足元に何かがいる様な気がし、目線をしたに向けると、そこに2匹の狐がいるではないか。
パーキングや田んぼの奥に見た、あの狐なのかは分かりませんでしたが、翌朝、体調がすぐれないまま帰りの車に乗っていたのは、今も家族は知りません。