1 K
知らない番号からの電話
私が経験した話です。
ある時から、知らない番号から私のスマホに電話がかかってくるようになりました。ずっとスマホを見ているわけではないので電話をとれたことはなかったのですが、1日1回か少し間をおいて数日に1回くらいの頻度でかかってきていました。後で着信履歴を確認して、ああ今日もかかってきてたのかと気付くような感じでした。
相手の番号を見ると固定電話からかけてきているようで、市外局番で調べてみると私の住んでいる地域に近いところではなく、私の親戚や知り合いがいるところでもありませんでした。
間違い電話かいたずらだろうと思っていましたが、実害があるほどではないので着信拒否にもせずに、そのままにしておきました。
何故かは分かりませんが、1日に複数回かけてくることはありませんでした。
ある時、電話がかかってくるようになってから2週間ほどが経ったくらいでしょうか。たまたまスマホを使っているタイミングでその番号から電話がかかってきました。その時私は家にいて、周りに誰もいなかったので、試しに通話に出てみることにしました。
通話のボタンを押して、相手はどんな事を言ってくるのだろう……と身構えていると、電話の向こうからこう聞こえてきたのです。
「先生……先生……申し訳ありません」
その声を聞いた時、思わずゾッとしました。ただの間違い電話とか、イタズラとか、ナンパで違う番号を渡されてる事に気づいてないとか、そういう感じとは全く違ったからです。
か細い声、恐らく老婆の声でしょう。泣きそうな感じで声を震わせながらこちらに謝ってきているのです。(先生?誰のことだ?)と思いましたが、私が何かを言うと向こう側にこちらの存在を気づかれてしまう、と思ったので何も言わずにただ相手の言葉を聞くだけに留めました。
「先生、先生。これだけしてくださったのにこんな風になってしまい申し訳ありませんでした」
何についての謝罪なのか、具体的なことは何も伝わってきませんでしたが、この老婆は酷く落ち込んでいるようでした。でも、こちらが何も言わない事については全く疑問を持たないようでした。それに、今まで電話に出なかった事についても何も言ってきませんでした。
もしかしたら、私が電話に出たことにすら気づいていないのかもしれません。
そんな事を考えている間も、老婆はずっとこちらに謝罪をし続けています。今までかけてきていた時もこちらが通話に出るかどうかに関わらず、謝罪をしていたのではないでしょうか。
本当に怖くなってきてこちらから通話を切断してしまいました。
その謝罪を長く聞いているような気がしましたが、通話時間を見ると1分半程度だけでした。すぐに着信拒否に設定して、それからはその番号からの着信は来なくなりました。
しかしながら、あの人は電話がつながらなかったとしても、今も『先生』という人物に対してずっと謝罪をし続けているのだろうと思います。
ある時から、知らない番号から私のスマホに電話がかかってくるようになりました。ずっとスマホを見ているわけではないので電話をとれたことはなかったのですが、1日1回か少し間をおいて数日に1回くらいの頻度でかかってきていました。後で着信履歴を確認して、ああ今日もかかってきてたのかと気付くような感じでした。
相手の番号を見ると固定電話からかけてきているようで、市外局番で調べてみると私の住んでいる地域に近いところではなく、私の親戚や知り合いがいるところでもありませんでした。
間違い電話かいたずらだろうと思っていましたが、実害があるほどではないので着信拒否にもせずに、そのままにしておきました。
何故かは分かりませんが、1日に複数回かけてくることはありませんでした。
ある時、電話がかかってくるようになってから2週間ほどが経ったくらいでしょうか。たまたまスマホを使っているタイミングでその番号から電話がかかってきました。その時私は家にいて、周りに誰もいなかったので、試しに通話に出てみることにしました。
通話のボタンを押して、相手はどんな事を言ってくるのだろう……と身構えていると、電話の向こうからこう聞こえてきたのです。
「先生……先生……申し訳ありません」
その声を聞いた時、思わずゾッとしました。ただの間違い電話とか、イタズラとか、ナンパで違う番号を渡されてる事に気づいてないとか、そういう感じとは全く違ったからです。
か細い声、恐らく老婆の声でしょう。泣きそうな感じで声を震わせながらこちらに謝ってきているのです。(先生?誰のことだ?)と思いましたが、私が何かを言うと向こう側にこちらの存在を気づかれてしまう、と思ったので何も言わずにただ相手の言葉を聞くだけに留めました。
「先生、先生。これだけしてくださったのにこんな風になってしまい申し訳ありませんでした」
何についての謝罪なのか、具体的なことは何も伝わってきませんでしたが、この老婆は酷く落ち込んでいるようでした。でも、こちらが何も言わない事については全く疑問を持たないようでした。それに、今まで電話に出なかった事についても何も言ってきませんでした。
もしかしたら、私が電話に出たことにすら気づいていないのかもしれません。
そんな事を考えている間も、老婆はずっとこちらに謝罪をし続けています。今までかけてきていた時もこちらが通話に出るかどうかに関わらず、謝罪をしていたのではないでしょうか。
本当に怖くなってきてこちらから通話を切断してしまいました。
その謝罪を長く聞いているような気がしましたが、通話時間を見ると1分半程度だけでした。すぐに着信拒否に設定して、それからはその番号からの着信は来なくなりました。
しかしながら、あの人は電話がつながらなかったとしても、今も『先生』という人物に対してずっと謝罪をし続けているのだろうと思います。