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1 無名さん

お墓にたどり着く私

結婚するまで、あてもなく散歩すると必ず墓地に辿り着いてしまいました。
旅先でなんとなく決めたホテルも、実は墓地の近くということがしばしばありました。
ある時、友人たちと山道をドライブしていた時です。友人の一人が催して、道中あった公衆トイレを見つけて車を止めました。
友人がみんなトイレに行ってしまい、私は暇だったのでその辺を歩いてみました。すると、少し先に小さなレンガのトンネルがありました。なんとなく、興味本位でトンネルに入った私。トンネルは人が1人通れるくらいの大きさで、伝統の備え付けもありませんでした。そしてその先にあったのは…。

巨大な墓地でした。山肌一面、見渡す限りの墓、墓、墓…。そこだけ音もなく、山と墓地が一体となり、そこにあるのが当然な感じ。整備された霊園という感じではなく、場所そのものが眠りについた遺跡のようでした。

寒さとか、嫌な感じはしませんでした。ただ、「あ、これ以上進んではダメだ…戻らなきゃダメだ」と感じ、すぐにトンネルを引き返しました。

トンネルの向こうで友人たちが探していました。でも、合流してもトンネルのことは友人に言いませんでした。友人は肝試しが好きだったので、興味本位で墓地に立ち入ったらいけない気がしてなりませんでした。

それからしばらくして、あの墓地はなんだったんだろうと思って何度も地図を調べていますが見つからず、友人も覚えていないということです。
後日、別の霊感が強い友人と出かけていた時に、「あなたは守護霊が強いけど、あなた自体に警戒心がないから悪い方向に引っ張られることがある。守護霊が強いから何とも無いみたいだけど、見ててハラハラする」と言われました。墓地はあまり嫌いではなく、むしろ落ち着くときがありましたが、それはあまり良くない状態なのではないかと気付きました。
結婚して子供が産まれたら墓地にたどり着くことがまったくなくなりましたが、今でもあの静かな墓地のことを思い出します。